東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)の投資と評論サイトです。ジオシティーズ(http://www.geocities.jp/shinonomenod/)から移転してきました。

評論

テスト結果をごまかすと実力が低下する

近年、民主主義国家でトランプ流の強権的リーダーが台頭している。ブラジルのボルソナロ大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領、トルコのエルドアン大統領等々。程度の差はあれ、強権化を進めている国は枚挙に暇がない。ロシアのプーチン大統領はそれらの先…

東大王はなぜ面白いのか――好きなことを全力で

『東大王』(TBS系列水曜19:00-)は最も楽しみにしているテレビ番組の一つだ。現役東大生から選抜された東大王チームが芸能人チームと戦うクイズ番組なのだが、問題文を見る前に押すなどハイレベルな攻防がすさまじい。特に、芸能人チームに助っ人として…

美帆さんの母親陳述感想―N=1は十分強い

相模原障害者施設殺傷事件で植松聖被告に死刑判決が下った。裁判で印象深かったのが、被害者美帆さんのお母さんの陳述だ。 web.archive.org 文章強度に圧倒された。これほど力強く心に訴えかける文章は読んだことがない。なぜ、この文章がこれほど力があるの…

M-1グランプリ2019感想――期待通り+期待を越える=大きな笑い

M-1グランプリ2019はレベルが高かった。特に、1~4位になった「ミルクボーイ」「かまいたち」「ぺこぱ」「和牛」は歴代優勝者に勝るとも劣らない出来だった。 上位4組の漫才はどれも同じことを繰り返すという構造を持つ。視聴者の期待通りのことを繰り返…

他者にしか救えない――鬼滅の刃感想

(本稿は『鬼滅の刃』のネタバレを含みます。) アニメ『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴原作、外崎春雄監督、ufotable)が素晴らしい。元々ストーリー・設定・キャラクターが魅力的な原作にufotableの神作画が加わってものすごい高みに達している。特に第十九話『ヒノ…

単純化との向き合い方―ブラタモリの探求感想

幕張メッセで毎年5月末に日本地球惑星科学連合大会という地学分野の研究発表や企業展示が一堂に会する大会が開かれている。その中で『ブラタモリの探求-「つたわる科学」のつくりかた』という一般公開プログラムを実施していた。『ブラタモリ』の製作者や出…

スマホが表現を規定する

TBSラジオのアフター6ジャンクションで12月4日、1月8日の二回にわたってWebトゥーンの特集をしていた。 www.tbsradio.jp Webトゥーンとは縦スクロール、フルカラーのウェブ連載されている漫画のことだ。 12月4日は「海月姫」など紙漫画のヒットメーカーであ…

圧倒的に賢いことを示せないのなら、アウトサイダーの意見も聞いてくれ

JR東日本が山手線の新駅名を高輪ゲートウェイに決定した件はネット上を中心にフルボッコにあった。名前がダサいこと以上に反発を招いたのは、公募順位上位の高輪、芝浦、芝浜を抑えて、130位の高輪ゲートウェイが選ばれたことだ。 www.j-cast.com 問題点は二…

和牛はなぜM-1グランプリで優勝できなかったのか

M-1グランプリ2018は霜降り明星が優勝した。一個一個のボケ-ツッコミのレベルが高く、大笑いしながら見ていたので優勝には納得だ。 一方、練りこまれた脚本で唸らされた和牛も霜降り明星に勝るとも劣らない出来だったが、またもや僅差で優勝を逃し、3年連続…

シャブ山シャブ子をめぐる三つの論点

少し前に、シャブ山シャブ子が話題になった。 シャブ山シャブ子はドラマ「相棒シーズン17」第4話に登場した薬物依存症患者の主婦なのだが、鬼気迫る表情で被害者をハンマーで撲殺。取り調べでは「シャブ山シャブ子でーす! 17歳でーす!」と叫び、ものすごい…

人生を超えるもの――半分、青い。感想2

(本稿は「半分、青い。」のネタバレを含みます。) 『半分、青い。』ほど賛否が分かれた朝ドラも珍しい。絶賛する人がいる一方で、ツイッターに批判用の「半分白目」タグができる程、叩く人も多かった。 はてブでも「半分、青い。」を痛烈に批判した、「半…

トリックスターヒロイン――半分、青い。感想

(本稿は「半分、青い。」のネタバレを含みます。) 「半分、青い。」(北川悦吏子脚本、NHK)について朝日新聞で「逃げるは恥だが役に立つ」の漫画家、海野つなみ氏が語っていた。海野氏は「半分、青い。」について、先が読めない面白さがある、観ていて心…

行為には責任が伴う――万引き家族感想

(本稿は万引き家族の抽象的なネタバレを含みます。) 『万引き家族』(是枝裕和監督)を見終わった直後はそれほど傑作だとは感じなかった。確かに安藤サクラ氏の泣きの演技は素晴らしかったが、冗長な部分も多いように感じたのだ。だが、時間を置いて、感想…

他者の必要な場所――ゼロ・グラビティ感想

(本稿は『ゼロ・グラビティ』のネタバレを含みます。) パリ・ダカールラリーでエンジニアはボロボロになって完走した車を調べ、壊れた箇所ではなく、壊れていなかった箇所を補強したという。壊れた箇所は壊れていても走れたのだから、完走に絶対必要な要素…

なぜ白王子は黒王子に負けるのか

少女漫画や少女小説に登場するヒーローには2パターンいる。優しく紳士的な白王子と意地悪で粗暴な黒王子だ。普通に考えれば白王子の方が良さそうだが、白王子と黒王子が直接対決した場合、勝つのはたいてい黒王子だ。 少女小説の源流は『嵐が丘』だ。『嵐が…

一瞬で伝わるもの――ヨコハマトリエンナーレ2017感想

ヨコハマトリエンナーレは12年前に行って面白かったのだが、遠いので二の足を踏んでいた。だが、日曜美術館で壇蜜さんが紹介していたので、俄然興味が高まった。さらにはぶっださんもレビューを書かれていたので、重い腰を上げて行くことにした。 ヨコハマト…

文化の盗用と関西弁

しばらく前にわっとさんが文化の盗用の問題点について書かれていた。 www.watto.nagoya 私はモデルのカーリー・クロス氏が和服を着てグラビア撮影を行い、バッシングされた事件で文化の盗用という概念を知ったので、文化の盗用=行き過ぎたポリコレだと捉え…

エスカレート・立場の逆転・身体性・斬新さ――キングオブコント2017感想

(本稿はキングオブコント2017のネタバレを含みます。) キングオブコント2017はかまいたちが優勝した。一方で、最も衝撃を与えたのはにゃんこスターのリズム縄跳びネタだろう。 全15ネタを見返した所、高得点を得たネタに共通する要素が見えてきた。それが…

何故けものフレンズは人気なのにリベラルは叩かれるのか

テレビ東京系で『けものフレンズ』(たつき監督)が再放送された。私も冒頭だけ見てから出社し、帰ってきてから録画を見て癒やされていた。ほんと、幸せな気分になるアニメだよね。 けものフレンズのメッセージはオープニングテーマの「けものはいてものけも…

自らの人生を選び取っているか?――おんな城主直虎第33回 嫌われ政次の一生感想

(本稿は「おんな城主直虎第33回 嫌われ政次の一生」のあからさまなネタバレを含みます。) おんな城主直虎第33回で直虎が政次を自ら刺し殺したのには驚愕した。実家に帰省して家族で見ていたのだが、終わるまで誰一人口を開くことができなかった。 直虎の政…

観客は主人公と一緒に叩き落とされる

(本稿は『君の名は。』『この世界の片隅に』『時をかける少女』『アナと雪の女王』『ベイマックス』の内容に触れています。核心部分は反転していますが、抽象的にはネタバレになります。) 最近、アニメ映画で驚愕することが多い。 もろネタバレになるので…

南渓和尚キュゥべえ説――おんな城主直虎第6回感想

(本稿は『おんな城主直虎』第6回と『魔法少女まどか☆マギカ』のネタばれを含みます。) NHK大河ドラマ『おんな城主直虎』(森下佳子作)は全く期待しておらず、おとわが可愛いから見始めただけだったのだが、登場人物の葛藤が丁寧に描かれていて面白い。 第…

歌番組としての矜持――第67回NHK紅白歌合戦感想

(本稿は第67回NHK紅白歌合戦のネタばれを含みます。文中の敬称は略させて頂きました。) 生放送の魅力は何が起こるか分からないことだ。紅白歌合戦は生放送の歌番組だが、歌番組は最も生放送に向いていない。何故なら、歌は古典芸能と並んで最も何が起こる…