トランプ政権の関税政策によって世界的に株価が暴落している。
S&P500は4/3,4の2日間で10.5%も暴落。最高値からの下落幅は17.4%になった。
市場の感情を1-100で表すFear&Greed Indexは4というまれな低さになっている。
過去にFear&Greed Indexが20以下のExtream Fear(極端な悲観)になった時は良い買い場であることが多かった。
今は米国株の良い買い場なのだろうか。それは今回の下落が景気後退を伴う下落かどうかによる。
1.景気後退を伴う下落と伴わない下落
下表は2000年以降の主な株価下落をまとめたものだ。
景気後退を伴わない下落では下落幅は最大でも25.4%だが、景気後退を伴う下落では過去3回で平均46.6%も下落している。
今回の下落が景気後退を伴わない下落であれば、最大でも25.4%程度しか下落しないのだから、17.4%下落した現在は良い買い場だ。しかしながら、景気後退を伴う下落であれば、この先30%前後も下落するのだから、とても買うべき局面ではない。
リーマンショック、コロナショックと比較したグラフを示す。
リーマンショックやコロナショックのように景気後退が起こるなら、今回の下落はまだ下落の序盤であることが実感できるだろう。
2.景気後退は起こるのか
各社のレポートを読むと、報復関税の連鎖になった場合は危険という意見が多い。中国とカナダは既に報復関税を発表した。
一方、関税は交渉によって引き下げられるという見方もある。ベトナムは対米関税の撤廃を提案し、追加関税を課さないよう要請した。
上記記事によると、景気後退が起こるかについては見解が分かれている。
JPモルガンはGDP成長率を+1.3%から-0.3%に下方修正し景気後退を予想。バークレイズも景気後退を予想している。
一方、シティグループはGDP成長率+0.1%、UBSは+0.4%と悪化はするものの景気後退は回避すると予想している。
4社中2社が景気後退を予想していることから、景気後退確率はざっくり50%程度と言える。つまり、買い場かどうかはどちらとも言えない。だが、50%程度の確率で景気後退が発生し、景気後退が発生した場合、過去にはここからさらに30%前後下落しているというのは看過できないリスクだ。
多くの米国株を保有している人は、何らかの方法でリスクヘッジする必要がある。
3.リスクヘッジする方法
それではどうやってリスクヘッジすれば良いのだろうか。主に二つの方法がある。
3.1 株式の一部を売却して現金比率を増やす
最も分かりやすい方法は保有株式の一部を売却して現金比率を高める方法だ。「キャッシュイズキング」という格言もある通り、下落相場では現金が最も強い資産となる。
3.2 信用売り
より積極的な方法は信用売り(空売り)だ。
S&P500や全世界の投資信託やETFを保有している人は、保有額の一部相当額のS&P500連動ETF(MAXIS米国株式(S&P500)上場投信(2558)等)を信用売り(空売り)しておくと、値動きが相殺されるので、暴落から資産を守ることができる。
信用売りと言うと危険なイメージがある。確かに、株を買った場合、どれほど下落しても0になるだけだが、空売りした場合上昇は青天井なので際限なく損失が膨らむリスクがある。個別株を空売りするのはリスクが大きい。
だが、保有しているものと同じ指数に連動するETFを信用売りするのであれば、指数が上昇して信用売りに損失が発生しても、保有資産に利益が発生して相殺されるので信用売りしない場合よりリスクは低い。
また、下落相場で一部でも上昇する資産があると心理的に楽になるというメリットもある。
信用口座を開設しておらず、信用売りできない人は、iFreeETF S&P500インバース(2238)のようなインバースETFを買っても良い。ただし、インバースETFは長期保有に向かないので、信用売りできる人は信用売りの方が良い。
もちろん、ここが相場の底である可能性はある。相場の底で売ってしまった場合非常に悔しいが、リスクヘッジのための保険料を払ったと考えれば納得できる。
ただし、S&P500の日足RSIは23.25と売られ過ぎを示している。株の一部売却や信用売りを行うなら、株価が一時的に反発して売られ過ぎ状態が解消されるのを待ってからの方が良いかも知れない。