東雲製作所

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2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

アホの前向き力――夜桜ヴァンパネルラ感想

(本稿は『夜桜ヴァンパネルラ』の内容に触れています。) 杉井光作品の多くは同じ構造を持っている。すなわち1「ナイーブで切れ者なヒーロー」による一人称で語られ、2「ヒーローに惹かれている真面目なツンデレヒロイン」がヒーローの無自覚な言動によっ…

間に立つ主人公――無花果とムーン感想

(本稿は『無花果とムーン』の抽象的ネタバレを含みます。) 『無花果とムーン』(桜庭一樹著、角川書店)は『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の頃の桜庭氏が完成度を高めて帰ってきたような少女小説だ。『私の男』以降桜庭作品から離れてしまったライトノベ…

すっきりせずにもやもやと残るもの――色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年感想

(本稿は『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の内容に触れています。) 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹著、文藝春秋)は刑事物の構造を持っている。本作を一言で言い表すなら、「仲良し五人組から突然ハブられた謎を解明…