東雲製作所

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米国株の割安度チェック

米国株に昨年10月以来の大きな下落が到来している。S&P500は最高値から5.5%、NASDAQ100は7.1%下落した。

S&P500チャート(TradingViewで作成)

 

現在は久々に巡ってきた押し目買いのチャンスなのだろうか。
各種ファンダメンタル、テクニカル指標をチェックしてみた。

1)Fear&Greed INDEX 
31 FEAR 割安

Fear&Greed INDEX(恐怖と強欲指数)は各種指標を組み合わせて市場心理を測る指標である。
4月19日現在、31と昨年10月以来の低さに落ち込んでいる。
ただし、まだFEAR(恐怖)であり、25以下のEXTREME FEAR(極端な恐怖)には達していない。

Fear and Greed Index - Investor Sentiment | CNN


2)予想PER
SP500 20.65 レンジの16-22内に戻るもまだ割高
NASDAQ100 26.22 レンジの20-27内に戻るもまだ割高

予想PERは株価が利益の何倍かを表すファンダメンタル指標である。
レンジ外の非常に割高な状態からは脱したが、過去平均よりは割高な状態が続いている。

PER(ナスダック100・S&P500・ラッセル2000)の推移とチャート


3)イールドスプレッド
-0.22% 非常に割高

イールドスプレッドは10年国債利回り-S&P500の益利回りで、2)の予想PERを10年国債利回りと比べてどうかを測る指標である。
レンジは-2~-4%と言われており、通常はより安全な米国債より米国株の利回りの方が2~4%高いのだが、現在はほぼ同じになっている。米国株は米国債と比べて非常に割高である。

イールドスプレッドの推移とチャート(米国S&P500と長期金利)


4)シラーPER
32.98 非常に割高

シラーPER(CAPEレシオ)は短期の景気変動の影響を除外するため、過去10年分の利益を元に算出したPERである。
私の過去の研究によると、シラーPE32.5以上では5年リターンの期待値がマイナスになる。
現在は依然として32.5以上であり非常に割高だ。

Shiller PE Ratio - Multpl

shinonomen.hatenablog.com


5)RSI
S&P500 日次31.296/週次55.216/月次61.333 短期的には割安。長期的にはやや割高
NASDAQ100 日次29.65/週次50.08/月次61.76  短期的には割安。長期的にはやや割高

RSIは買われすぎ、売られすぎを判定するテクニカル指標。0-100で表され、低いほど割安である。
日次で見れば割安だが、月次で見るとまだやや割高である。

S&P500指数のテクニカル分析(SP:SPX) — TradingView

ナスダック100指数のテクニカル分析(NASDAQ:NDX) — TradingView


まとめると、市場心理や短期のテクニカル指標では割安だが、ファンダメンタル指標や長期のテクニカル指標ではまだ割高である。特に、イールドスプレッドとシラーPERが非常に高いのが気にかかる。


それではどうすれば良いのだろうか。シラーPERが32.5を下回るか、Fear&Greed INDEXがEXTREME FEARになるまで待つのも一法だが、それだと押し目買いのチャンスを逃す恐れがある。
すぐに反発しても、大きな下落が来ても対応できるよう、少しずつ買い始めるのが良いのではないだろうか。

私がやっているのは、最大下落幅を想定し、投資可能資金を最大下落幅で割って、下値を更新する度、下落幅分買い増していく方法だ。
例えば、最大下落幅をリーマンショックの約50%に設定した場合、投資可能資金が5万円なら、1%下落するごとに1000円ずつ買い増していけば、リーマンショック越えの下落が来ない限り、途中で資金が枯渇することはない。
よりリスクを取るなら、最大下落幅をコロナショックの約30%にしても良い。

順調に株価が上がっている時は、定期購入するぐらいしかやることがない。
下落が来た時に、どれだけ冷静に買い向かえるかが、投資家としての腕の見せ所である。