東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)のよろず評論サイトです。

ダイソーで買うと安い食品ベスト10


100円ショップは何でも安い印象があり、行くとついあれこれ買ってしまう。だが、安売りスーパーに行くと同じものが100円以下で売っていることがある。また、スーパーで売っているものより内容量が少ないこともあり、必ずしも安いわけではない。
そこで、ダイソーで売っている食品47種類について、ダイソーと安売りスーパーのどちらがg単価が安いか調査し、ダイソーの方が安かったものベスト10を発表する。価格比はダイソーg単価/スーパーg単価で低いほどダイソーで買った方が割安なことを表している。
皆さんも何がランクインしているか予想してみてほしい。予想とか良いから早く結果が知りたいという方は下記の「47品目の一覧を示す。」をクリックして下さい。


10位 大豆 価格比67.81%

10位には大豆がランクイン。大豆は高たんぱく低脂質で体に良い。
ダイソーは乾きものが充実しており、他にも割安な商品がありそうだ。

 

9位 焼き海苔 価格比64.22%

9位は焼き海苔。5枚入りが100円で購入できる。
私は買ったことがないが、おにぎりを良く作るような人は重宝だろう。

 

8位 お好み焼き粉 価格比61.73%

8位はお好み焼き粉。小麦粉はスーパーで買った方が安いが、お好み焼き粉はダイソーの方が安い。
キャベツと魚肉ソーセージを具にしてお好み焼きを作ると、一食をかなり安くあげることができる。

 

7位 甘栗 価格比59.95%

甘栗はダイソー店頭でかなりプッシュされているだけあって割安だった。
味は栗の味を生かした自然な甘さ。私はもうちょっと甘い方が好き。

 

6位 ピーナッツ 価格比58.08%

これは美味しいので時々買って食べている。高たんぱくで大きな音がしないので会社でのおやつに最適だ。
ただし、脂質も多くてカロリーが高いので食べすぎに注意が必要だ。

 

5位 のど飴 価格比53.19%

118gも入っているので一冬に一回ぐらい購入している。価格があまり変わらないものが多いメーカー品のお菓子で唯一ランクインした。
ただし、調査したスーパーでは同じ商品が置いていなかった。カバヤ食品の飴を扱っているスーパーでは同じぐらいの価格かも知れない。

 

4位 魚肉ソーセージ 価格比51.68%

ダイソー店頭で見て「安!」と驚いて以来、良く買っている商品。3本とスーパーより1本少ないが、価格が半値以下なので非常に安い。
ダイソーで安い製品はプライベートブランドか中小メーカー品が多いが、これは同じ丸大の製品なのに安いのがすごい。


いよいよトップ3の発表だが、トップ3は同じような商品だったので、一気に発表する。

3位 マルチビタミン 価格比45.61%
2位 鉄 価格比30.00%
1位 ヒアルロン酸 価格比28.76%

ダイソーが圧倒的に安かったのがサプリメントだ。鉄とマルチビタミンは常用している。20日分が100円で買え、すこぶる安い。
逆に言うとサプリメントメーカーがボロ儲けしていることが伺える。

 

2月16日追記
栄養成分で比較するとg単価ほどの差はないことが判明しました。記事末尾の追記をご覧下さい。


47品目の一覧を示す。

  ダイソー 安売りスーパー    
品目 g g単価 価格 g g単価 価格比(%) 備考
ヒアルロン酸 5 20.00 918 13.2 69.55 28.76  
10 10.00 460 13.8 33.33 30.00  
マルチビタミン 10 10.00 239 10.9 21.93 45.61  
魚肉ソーセージ 180 0.56 258 240 1.08 51.68  
のど飴 118 0.85 188 118 1.59 53.19  
ピーナッツ 100 1.00 198 115 1.72 58.08  
甘栗 120 0.83 278 200 1.39 59.95  
お好み焼き粉 300 0.33 108 200 0.54 61.73  
焼き海苔 5 20.00 218 7 31.14 64.22 単位は枚
大豆 70 1.43 158 75 2.11 67.81  
蕎麦 250 0.40 128 220 0.58 68.75  
グルコサミン 9 11.11 880 54.6 16.12 68.94  
ガーナチョコレート 50 2.00 128 50 2.56 78.13  
チキンラーメン 1 100.00 118 1 118.00 84.75 単位は袋
ドレッシング 200 0.50 118 200 0.59 84.75  
煮干し 40 2.5 428 150 2.85 87.62  
カットわかめ 30 3.33 228 60 3.80 87.72  
柿の種 100 1.00 79 70 1.13 88.61  
チーズかまぼこ 92 1.09 278 232 1.20 90.71  
うどん 300 0.33 98 270 0.36 91.84  
そうめん 300 0.33 98 270 0.36 91.84  
食塩 1000 0.10 108 1000 0.11 92.59  
鮭ほぐし 50 2.00 258 120 2.15 93.02  
お好みソース 300 0.33 178 500 0.36 93.63  
米油 160 0.63 598 900 0.66 94.06  
インスタントコーヒー 50 2.00 498 240 2.08 96.39  
干し芋 75 1.33 298 220 1.35 98.43  
ポテトチップス 60 1.67 99 60 1.65 101.01  
生わさび 43 2.33 98 43 2.28 102.04  
カットよっちゃん 30 3.33 48 15 3.20 104.17  
わかめ味噌汁 12 8.33 88 12 7.33 113.64 単位は食
サラダせん 1 100.00 88 1 88.00 113.64 単位は袋
コーヒー 500 0.20 87 500 0.17 114.94  
さきイカ 17 5.88 288 57 5.05 116.42  
ジャム 130 0.77 79 120 0.66 116.85  
きな粉 130 0.77 98 150 0.65 117.74  
スパゲッティ 400 0.25 198 1000 0.20 126.26  
穀物 500 0.20 79 500 0.16 126.58  
ココナッツサブレ 1 100.00 78 1 78.00 128.21 単位は袋
ミックスナッツ 50 2.00 198 130 1.52 131.31  
小麦粉 400 0.25 188 1000 0.19 132.98  
サバ缶 90 1.11 128 160 0.80 138.89  
かつお 15 6.67 288 60 4.80 138.89  
麦茶 20 5.00 178 56 3.18 157.30 単位は袋
桃缶 188 0.53 128 425 0.30 176.61  
醤油 300 0.33 135 1000 0.14 246.91  
砂糖 220 0.45 168 1000 0.17 270.56  
               

砂糖、醤油、桃缶、麦茶、花かつお、サバ缶、小麦粉、ミックスナッツなどは安売りスーパーの方が安かった。特に砂糖と醤油は圧倒的に割高なのでダイソーでは買わない方が良さそうだ。
サバ缶は良く買っていたので、g単価ではスーパーより割高なことにショックを受けた。ただし、このスーパーのサバ缶160g128円というのは破格の安さなので、普通のスーパーのサバ缶と比べればそれほど割高ではなさそうだ。


結論:ダイソーで買うと割安な食品はサプリメント、魚肉ソーセージ、のど飴、ピーナッツ、甘栗。

 

2月16日追記

沢山のブクマ、スターを頂きどうも有難うございました。

サプリメントに関してg単価ではなく成分を比較すべきではないかというご意見を頂いたので、ヘム鉄とマルチビタミンに関してダイソーとDHCの商品の比較を行った。スーパーで売っていたのは20日分なのだが、ホームページには30日分の商品しか載っていなかったので、30日分商品と比較を行った。単価の値が小さい方が割安である。

ヘム鉄 ダイソー 単価 DHC 単価 割安な方
価格(税込) 108   626    
内容量(g) 10   20.7    
ヘム鉄(mg) 2000 0.054 15000 0.042 DHC
鉄(mg) 20 5.4 300 2.087 DHC
ビタミンB1(mg) 180 0.6     ダイソー
ビタミンB2(mg) 60 1.8     ダイソー
ビタミンB6(mg) 60 1.8     ダイソー
ビタミンB12(μg) 60 1.8 30 20.867 ダイソー
ビタミンC(mg) 600 0.18     ダイソー
葉酸(μg) 6000 0.018 2250 0.278 ダイソー
           

ヘム鉄はビタミンや葉酸ダイソーの方が割安だったが、肝心のヘム鉄はDHCの方が割安だった。ヘム鉄はヘム鉄を採るための商品なのだから、DHCの方が割安と言えよう。

マルチビタミン ダイソー 単価 DHC 単価 割安な方
価格(税込) 108   381    
内容量(g) 10   16.3    
ビタミンA(μg) 0.6 180     ダイソー
ビタミンB1(mg) 30 3.6 66 5.773 ダイソー
ビタミンB2(mg) 33 3.273 72 5.292 ダイソー
ビタミンB6(mg) 60 1.8 96 3.969 ダイソー
ビタミンB12(μg) 40 2.7 180 2.117 DHC
ビタミンC(mg) 2475 0.044 3000 0.127 ダイソー
ビタミンD(μg) 1.2 90 150 2.540 DHC
ビタミンE(mg) 20 5.4 300 1.270 DHC
ビタミンK(μg) 0.001 108000     ダイソー
ビタミンP(mg)     600 0.635 DHC
パントテン酸(mg) 150 0.72 276 1.380 ダイソー
ナイアシン(mg) 450 0.24 450 0.847 ダイソー
葉酸(μg) 60 1.8 6000 0.064 DHC
ピオチン(μg) 600 0.18 1350 0.282 ダイソー
βカロテン(μg)     162000 0.002 DHC
           

マルチビタミンは比較すべき成分がやたら多いが、割安な成分の数で言うとダイソー9成分、DHC6成分なのでダイソーの方が割安と言える。

栄養成分で比較すると、単価にそれほど大きな差はないことが分かった。サプリメントメーカー様、ボロ儲けとか言って済みません。

 

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2023年テレビアニメベスト10

毎年恒例のアニメ年間ベストをお送りする。
去年は5カ月遅れで発表したが、時季外れすぎてほとんど読んでもらえなかったので、頑張って1月に発表することにした。そのせいで、最後まで観れていない作品も多いが、本当に面白い作品ならすぐさま観たくなるだろうから、気にしないことにした。
葬送のフリーレンのような年またぎ連続2クール作品は2024年のベストで扱うため、入っていない。


1)【推しの子】(原作:赤坂アカ横槍メンゴ、監督:平牧大輔、アニメーション制作:動画工房

推しのアイドルの子どもに生まれ変わったアクアとルビー達の活躍を描く芸能界もの。
インターネットのショート動画に慣れ、短時間で強い刺激がないとすぐに飽きてしまう現代人向けにチューンナップされた現代エンタメの最前線。普通の作品ではクライマックスに一個あるかどうかというレベルの驚愕の超展開を一話に一個レベルで投入することで、ジェットコースターのように視聴者を揺さぶって来る。特に一話は推しのアイドルが主人公が勤務する病院にやって来るという掴みだけで十分衝撃的だが、その後も読者の度肝を抜くような展開を乱れ打ちにしている。一話ラストの展開は、「朝に道を聞けば夕べに死すとも可なり」ということを表しており、衝撃的であるだけでなく普遍性もあって心を打つ。
転生ものは大流行しているが、どの作品も異世界に転生するという前提の枠内であれこれ工夫している。本作は前提部分を一捻りして、現代のアイドルの子どもに転生させたことで全く新しい印象に生まれ変わらせた。芸能界の裏事情についても確かにそういうこともありそうと思わせるリアリティがある。
世界的に大ヒットした主題歌「アイドル」も素晴らしい。最後まで聞くたびにうるうるしてしまう。

今まではドラゴンボール、ワンピース、NARUTO鬼滅の刃のように全世界的人気を獲得するアニメ作品はバトルものに限られていた。それが、アイドルものという日本ローカルなテーマを扱っている作品が全世界的人気を獲得したことには隔世の感がある。
父親が誰かを突きとめるという目標のために、門番が課してきたミッションをクリアしていくという構造にすることで、アクアにバラエティに富んだ仕事をさせることに成功している。
アクアの目標が後ろ向きな点が気がかり。最終的に前向きな目標を獲得してくれれば良いのだが。

 

2)鬼滅の刃 刀鍛冶の里編(原作:吾峠呼世晴、監督:外崎春雄、アニメーション制作:ufotable

鬼と鬼狩りの戦いを描いた世界的大ヒット作。今シーズンは刀鍛冶の里を襲撃してきた上弦の肆、伍との戦いを描く。
刀鍛冶の里編の白眉は「無一郎の無」のエピソードで、ボロボロ泣いてしまった。余裕がないと人に優しくできないというのは歳と共に良く分かるようになってきた。
蜜璃のエピソードも心に染みた。私は花澤香菜さんのファンなのだが、蜜璃のようにとことん明るいキャラをノリノリで演じておられるのがすごい好き。
バトル面では、蜜璃が到着した段階で、ああこれでもう大丈夫だという安心感が出て緊張が削がれてしまった。遊郭編のバトルは、天元が弱いお蔭でぎりぎりまで追い詰められ、非常に面白かった。味方が頼りになりすぎるのも考えものだ。

刀鍛冶の里編の敵である半天狗と玉壺はひたすらエゴイスティックな悪い鬼だった。敵が妓夫太郎や猗窩座のように鬼側にも哀しい過去があった方がより感動的になるのだが、同情できる鬼ばかりだとワンパターンになってしまうので、シリーズ全体のことを考えればここで同情できない鬼を出してきたのは理解できる。
最後の展開はびっくりはしたが、伏線がないのでぽかんとしてしまった。珠代の予言を刀鍛冶の里編序盤あたりに仕込んでおいて伏線にした方が良かったのではないか。


3)Dr.STONE NEW WORLD(原作:稲垣理一郎Boichi、監督:松下周平、アニメーション制作:トムス・エンタテインメント

現代科学を一から再構築するという壮大なSFの第3期。宝島を舞台にお宝の争奪戦が描かれる。
地球の裏側まで行く前のお使いミッションかと思いきや、という視聴者の予想の一歩先を行くストーリーテリングに舌を巻く。ラストの引きも壮大でワクワクが止まらない。
敵のラスボス、イバラが悪賢いという言葉がぴったりの厄介な敵。賢い上に慎重でおまけにあらゆる冷酷な手を駆使してくるものだから、千空達が立てた計略が次々覆され、さらにそれの裏をかき、という攻防が繰り返される。
漫画に出て来る天才は本当に天才なの?と思うことが多いが、Dr.STONEは頭が良い原作者が頭脳を振り絞って考えた攻防戦なので、真の天才同士のコンゲームになっており、全く先が読めない。

Dr.STONEの一番好きな所は作中キャラにヒエラルキーがないことだ。バトルものだと戦闘力が高いキャラの、推理ものだと推理力が高いキャラの、恋愛ものだとモテるキャラのヒエラルキーが高い。例えば『鬼滅の刃』で言えば、柱のヒエラルキーが一番高い。隠や刀鍛冶のようにバトル以外で貢献しているキャラもいるものの、作中のメインの評価軸はあくまで戦闘力だ。
Dr.STONEの場合、評価軸がキャラの数だけあって完全に対等になっている。そして全キャラにしっかり長所を生かした活躍の場が用意されている所が素晴らしい。怠惰で性格がゲスい銀狼ですら女装が似合うという意外な特技を生かして活躍したのには胸が熱くなった。滅茶苦茶面白いのに、あまり話題になっていないのが不思議だ。


4)無職転生II~異世界行ったら本気だす~(原作:理不尽な孫の手、監督:平野宏樹、アニメーション制作:スタジオバインド)

転生ものの代表作の第二期。ラノア魔法大学での出来事をルーデウスとシルフィの恋愛を中心に描く。
無職転生IIは小説家になろう版の原作既読なのだが、アニメ版は原作に忠実でありながら、サブキャラクターの背景設定のような情報はばっさりカットし、アニメ映えする動きのあるエピソードを中心にぎゅっと濃縮しているため非常に密度が濃い。
背景の美しさも見所の一つ。ラノアの魔法大学や町並みが空気感まで伝わるほど描きこまれており、何気ないシーンでも、外国を旅したかのような満足感がある。

本作と他の転生ものの一番の違いは、現世の男という転生前の意識が消え去らずに残存していることだろう。可愛い天才魔法少年ルーデウスに転生してやり直すという話でありながら、その正体は太った無職の中年男であるという見たくない現実を示し続けている点は、本作の容赦のなさを象徴している。
二人の関係がアンバランスなせいでトラブルが巻き起こる、ひねりが効いたラブコメばかり見てきたので、相思相愛でお似合いな二人が真っすぐに愛を育んでいくラブストーリーが逆に新鮮だ。変なひねりを入れなくても、拒絶されたらどうしようという不安や現状維持したいという臆病な心とそこから一歩踏み出す勇気をしっかり描けば十分面白いと気付かされた。


5)天国大魔境(原作:石黒正数、監督:森大貴、アニメーション制作:Production I.G

それ町石黒正数氏原作のポストアポカリプスものSF。
マルとキルコのロードムービーと謎の学園のエピソードが交互に語られ、徐々に両者の関係が明らかになっていくという凝った構造になっている。こういう込み入った設定のSFでは最初にあれこれ説明したくなるが、本作は何も説明しないことで、視聴者が考察したくなるように作られている。情報コントロールが絶妙で、一つ謎が明らかになると、また別の大きな謎が生じるので、興味が途切れない。
エロスについて踏み込んで描いているのも特徴で、好きという気持ちは美しいだけではなく、薄暗いエゴイスティックな欲望を伴っているということを逃げずに描いている。

完璧な兄を乗り越えることで成長するというモチーフは鬼滅の刃グレンラガンなど多く見られる構造だが、通常は完璧な兄が死ぬことで自立する。本作の兄との決別は全く見たことがないパターンで衝撃を受けた。こんな残酷な決別、他にあるだろうか。そこに至るまでの不穏さが積み上がっていく演出も印象深い。
最終話が近づいているのに、続々と新たな謎が登場し、どんどん謎が重層的に膨らんでいくので、どうやって畳むんだろうと思っていたら、畳まずに終わってしまったので呆然とした。原作が完結してからアニメ化してくれれば良いのに。


6)スキップとローファー(原作:高松美咲、監督:出合小都美、アニメーション制作:P.A.WORKS)

能登から都内の高校に進学してきた岩倉美津未とクラスメイト達の高校生活を描く群像劇。
P.A.WORKSは最近立て続けにバイオレンスアクションをやっていたが、やはり本作のような心がほっこりする日常アニメの方が向いている。
本作は何と言っても美津未のキャラが良い。田舎の大家族でたっぷり愛情を受けて育っているので、ごく自然に人の善性を信じている。彼女の前向きな温かさが、布団に入れた湯たんぽのように周囲をじわじわと変えていく。
本作で描かれているのは大半が高校生の本当にたわいない日常的なエピソードだ。だが、劇的なことが起きなくても、心の落ち込みとそこからの回復を効果的な演出で描けば、十分心動かされるということを気づかされた。

本作は海外の春アニメ評価ランキングで一位を獲得した。【推しの子】は劇的なので外国人にウケるのも分からなくはないが、本作のようなささやかな日常を描いたアニメが海外で大人気と聞くと、日本と海外のアニメファンの差はもはやほとんどないのだということを実感する。
美津未は官僚になってゆくゆくは石川県知事を目指すと公言しており、彼女の世間知らずな真面目さを示すエピソードとして笑って見ていたのだが、正月の地震で奥能登が壊滅的被害を受けた後で見ると、裏にある切実さが見えてきて笑えなくなってしまった。帰省の回で描かれた、東京とは全く時間の流れ方が異なっている奥能登の夏の一日を見たら、誰もが気軽に限界集落からは移住しろなどとは言えなくなるのではないだろうか。


7)君のことが大大大大大好きな100人の彼女(原作:中村力斗・野澤ゆき子、監督:佐藤光、アニメーション制作:バイブリーアニメーションスタジオ)

驚異の100股ラブコメ。2020年3月に『カノジョも彼女』が主人公が堂々と二股する二股ラブコメという新ジャンルを開発したと思ったら、2020年4月には100股ラブコメの本作が登場した。ジンバブエドルも真っ青のインフレっぷりである。
ラブひな』のようなハーレムラブコメは交際していない状態なので、主人公が複数の女子からアプローチされていても倫理的問題はないものの、主人公が優柔不断に見える、最終的にメインヒロイン以外が負けてしまうという問題があった。
負けヒロイン問題に関しては、マルチエンディングにするといった解決策が模索されていたが、優柔不断問題は構造上解決不能と思われていた。
『カノジョも彼女』は優柔不断問題を解決したものの、二人としか付き合わないので負けヒロイン問題は残ったままだった。
本作は主人公に堂々と100股させるというコペルニクス的転換によって、優柔不断問題と負けヒロイン問題の両方を一気に解決することに成功した。100股しなくてはいけない理由を導入することで、主人公恋太郎がX股しているにも関わらず、誠実で格好良いというありえない両立を達成している。

本作はとにかく好本静登場回の第3話が素晴らしい。まさか100股ラブコメなどというクレイジーな内容のアニメでボロ泣きするとは思わなかった。ヒロイン毎にコンプレックスを掘り下げてしっかり描いてから肯定するという王道パターンがなされているので、ほろっとさせられる。
ギャグのテンポが良いことも大きな魅力。栄逢凪乃が登場した第5話は遊園地デートで合理的すぎる凪乃に恋太郎がツッコむという内容。M-1グランプリ並みのギャグ密度で笑い転げた。


8)呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変(原作:芥見下々、監督:御所園翔太、アニメーション制作:MAPPA)

呪霊と呪術師の戦いを描いた大人気バトルアニメ。五条悟と夏油傑の過去を描いた「懐玉・玉折」と渋谷における死闘を描いた「渋谷事変」が続けてアニメ化された。
本作最大の魅力は何と言ってもアニメーションの極致とも言うべき神作画だろう。MAPPAのアニメーションは以前から凄かったが、遂にMAPPAの全能力を極限まで引き出せる原作が登場した感がある。
特に両面宿儺vs魔虚羅は圧巻で、画面上で動いているものの数が既に人がしっかり認識できる限界を超えているので、これ以上複雑にしても意味がない。まさにアニメの極致だ。
リアリティがすごい点にも舌を巻く。細部まで忠実に再現された渋谷の街が、実写のようなリアリティのある破壊のされ方をするという物理的な面だけでなく、長く続いた組織における不毛な足の引っ張り合いとか、田舎の排他的な様など、設定、エピソードにも抜群のリアリティがある。
三輪と与の会話など切ないシーンの演出も印象深い。

一方、本作には不満も多い。最大の不満は「必死に頑張ったが努力は無意味で、最終的に敵の思い通りになった」という展開が繰り返されることで、勧善懲悪が好きな私には滅茶苦茶フラストレーションが溜まった。
渋谷事変では某人気キャラが死ぬのだが、雑魚に圧勝した他は、強敵相手に全然活躍できないままやられてしまった。殺すにしても強敵をぎりぎりまで追い詰めるとか、仲間を守り抜くみたいな見せ場を作ってからにしてほしかった。


9)ゴールデンカムイ(原作:野田サトルチーフディレクター:すがはらしずたか、アニメーション制作:ブレインズ・ベース)

明治時代の北海道を舞台にした金塊争奪戦の第四期。
本作が面白い理由の一つ目は未知の世界を知る喜びだ。日露戦争後の北海道・樺太という今まであまり物語の舞台となって来なかった場所を舞台にし、徹底的に調べて描いているため、アイヌ文化を中心にそんな風習があったのかという文化人類学的面白さがある。今期ではアイヌの下ネタ民話が下らなくて面白かった。下ネタ民話はあまりアイヌ文化として発信されないので、新鮮な驚きがあった。
二つ目の理由は味のあるキャラクターだ。出て来るのは囚人や、囚人の皮を集めて黄金を手に入れようとしている連中であり悪人が多いのだが、単に悪いだけでなく彼らなりのこだわりがあり、そこが魅力になっている。
今期では鶴見中尉の忠実な部下である月島軍曹の隠れた内面が明らかとなり、心打たれた。鯉斗少尉は奇声を上げて転がっていたのでただの変態かと思っていたら、珍しくまともな男だと分かった。私が大好きな谷垣のエピソードも印象深い。
主要キャラクターは全員過去回が回想で入り、それが全て心がざわめくようなエピソードで、棘のように心に残る。深い欠落を抱えた連中の話であり、PTSDの話でもある。日本は戦後長らく戦争がなかったので戦争のPTSDを描いている作品は珍しい。

良くない点は話が行きつ戻りつしていて、終わりに向かって進んでいる感が全然ないこと。入れ墨人皮が全部で何枚ぐらいなのかを最初に示さなかったせいで、無限に話を増やすことができる一方、どのぐらい話が進んでいるのか全然分からなくなってしまった。面白いエピソードを強引にねじ込んでいったお蔭で面白くなっているという面もあるので功罪あるが、途中で残り何枚だと示しても良かったのではないか。


10)僕の心のヤバイやつ(原作:桜井のりお、監督:赤城博昭、アニメーション制作:シンエイ動画

クラスメイトを殺す想像をしているヤバい少年が、クラスの人気者女子と仲良くなっていくボーイミーツガールもの。
ヤバい主人公の市川はただの中二病であり、ヒロイン山田の方がより変なのが面白い。
非モテの男子とクラス一の美女が両想いなのになかなか進展しないなどという設定は美女と野獣の昔からあるベタ中のベタ設定だ。だが、二人のキャラの面白さと思春期の鬱屈した想いの解像度の高さで新鮮味を出すことに成功している。それほど劇的なことは起きないのに、二人のドキドキ描写が鮮やかで、観ているこちらまでドキドキしてしまう。キャラと細部が良ければ設定はベタで良いのだと痛感する。
思春期のエロに囚われているが、エロいことは良くないことだという潔癖さも強い中学生男子の葛藤が赤裸々に描かれており、解像度が高い。こういう話だと、主人公男子を単に鈍感にして振り回される女子の可愛さを楽しむ漫画にしがちだ。本作は鈍感ではあるのだが、しばらくしてから気づいたり、他人のことだと気づいたりと、気づき方にリアリティがある。

からかい上手の高木さん』に端を発する高木さんものは、「高木さんが西片をからかい、西片が反撃しようとするが返り討ちにあう」といったような定型構造があるので、やりとりにドキドキしつつも、定型通りに終わるという安心感がある。
本作も最初は「山田の変な行動に市川が内心突っ込みを入れる」という定型がある作品だったのだが、途中から定型がなくなったので、話がどう展開するか分からず、それが恋愛の先が見えないドキドキとマッチしている。

 

他にも「とんでもスキルで異世界放浪メシ」、「吸血鬼すぐ死ぬ2」、「SPY×FAMILY」、「マッシュル-MASHLE-」、「TRIGUN STAMPEDE」、「お兄ちゃんはおしまい!」、「百姓貴族などが面白かった。

2023年のランキングを見るとトップ3がジャンプ作品であり、相変わらずジャンプが強かったという印象だ。トップ10のほとんどが人気作なので、今年はもっとマイナーだが面白い作品を発掘できるよう頑張りたい。

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年初一括投資は有効か

山崎元氏のNISA記事がホットエントリー入りしていた。

diamond.jp


記事中で山崎氏は「投資資金を早くNISA口座内に集めることが合理的」なので、「年初に240万円投資する。」ことを推奨されていた。

確かに、S&P500のようなインデックスは長期的には右肩上がりで上昇するのだから、1~12月に分散して買うより1月に買った方が期待リターンは高くなる。
それでは、年初一括投資と毎月積立投資では実際にどの程度の差が生じるのだろうか。
S&P500指数に対し、1985年~2023年の39回で年初一括投資と毎月積立投資で購入できる株数を比較してみた。

年初一括投資が毎月積立投資を上回ったのは28回。年初一括投資が上回る確率は71.8%だ。
最も年初一括投資が上回ったのは1987年の14.15%、最も下回ったのは2008年の-18.8%だった。
年初一括投資の方が平均3.32%多く購入できる。

 

2%毎のヒストグラムを見ると、±1%以内が最も多く、-1~+15%の頻度が高い。

横軸は年初一括投資の毎月積立投資に対する上回り率。縦軸は回数。


だが、年初一括投資が-9~-19%と大負けしたのが4回ある。何とかして大負けを避ける方法はないだろうか。

株価の割高、割安を簡便に見分ける方法に移動平均線乖離率がある。過去の平均株価と比べ、大幅に割高になっていたら割高と判断する方法だ。今回は50カ月移動平均線という超長期の移動平均線を採用した。
年初一括投資が大負けした年は、1月がバブル的高値になっていたのではないかと予想し、50カ月移動平均線乖離率を調べてみたのだが、乖離率は+45%~-7%とバラバラだった。

移動平均線乖離率と年初一括投資の上回り率の散布図を示す。両者に相関は見られない。

横軸は年初の移動平均線乖離率。縦軸は年初一括投資の上回り率。

 

S&P500のチャートを示す。オレンジが50カ月移動平均線、グレーが50カ月移動平均線乖離率10%の線を示す。

チャートを見ると現在の右肩上がり相場が始まって長期移動平均線が上向いた2012年以降、乖離率10%以下はどれも良い買い場だったことが分かる。
そこで、2012年以降の移動平均線乖離率と年初一括投資の上回り率の散布図を描いた所、右下がりの相関が現れた。

横軸は年初の移動平均線乖離率。縦軸は年初一括投資の上回り率。

 

2012年以降の平均乖離率は23.22%であり、平均乖離率以下だった年はマイナスになったことがない。
一方、乖離率45.98%と著しく割高だった2022年は-15.58%と大きく一括投資が下回った。
2012年以降は移動平均線乖離率を元に、割安なら一括投資、著しく割高なら毎月積立投資にする戦略がある程度有効であることが分かる。

 

まとめ
50カ月移動平均線乖離率が10%以下なら、一括投資した方が良い。
50カ月移動平均線乖離率が10~23%もどちらかと言うと一括投資した方が良い。
50カ月移動平均線乖離率が23~40%の時はどちらとも言えない。
50カ月移動平均線乖離率が40%以上の時は一括投資は止めた方が良さそう。

ちなみに12月16日時点での50カ月移動平均線乖離率は20.61%だ。来年初も今と同程度の価格であるなら、乖離率23%以下なので、一括投資しても良さそうだ。

ただし、この法則は右肩上がり相場が続いている場合に限られる。右肩上がり相場が終わって00年代のようなボックス相場になると、この法則は使えなくなるので注意が必要だ。

 

反劇的物語としての葬送のフリーレン

(本稿は『葬送のフリーレン』断頭台のアウラ編までのあからさまなネタバレを含みます。)

『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人、アベツカサ、監督:斎藤圭一郎、アニメーション制作:マッドハウス)は劇的物語のアンチテーゼとして設定されている。通常の物語に存在する、物語を劇的に盛り上げる要素がことごとく排除されているのだ。

1)主人公に達成すべき外的目的がない。
劇的物語では魔王を倒すというような主人公が達成すべきミッションが明示される。魔王をいついつまでに倒さなければ世界が滅ぶというようなミッションを達成すべき理由が提示されることで、主人公の物語は切実さを増す。
葬送のフリーレンは魔王を倒し終わって目的が消滅した所から始まる。達成すべき外的目的を失った後を描いた物語なのだ。
その後、かつて魔王城があったエンデに行ってヒンメルの魂と対話するという一応の目的は提示されるが、フリーレンがエンデに到達できなくても誰も困らないので全く切実さがない。

2)主人公に内的動機がない。
フリーレンは魔族に故郷を焼かれて仲間を皆殺しにされている。復讐は強い動機付けになるので、『鬼滅の刃』をはじめ、多くの劇的物語において、主人公を駆り立てるのに使われている。
葬送のフリーレンの場合、襲撃者は師匠によって殺されており、襲撃を命じた魔王も物語開始時点で倒されている。敵討ちという動機が既に達成されてしまったので、フリーレンには強い動機がない。魔族には強い敵意を抱いており、遭遇すれば倒そうとするが、魔族壊滅を目的に行動しているわけではない。何かと理由をつけて北に行くのを先延ばしにしようとしており、エンデにもそれほど強く行きたいようには見えない。

3)主人公に感情の起伏が乏しい。
読者は基本的に主人公に感情移入して物語を楽しむ。主人公の感情を揺さぶることで、読者の感情も揺さぶることができる。
フリーレンは感情の起伏が小さいため、劇的物語の主人公には適していない。血沸き肉躍る物語にするためには、主人公が激昂したり、怯えたり、泣いたり、叫んだりした方が良いのだが、フリーレンはいつも冷静なのでそんなことはしないのだ。
ただ、アニメ版では種崎敦美氏が感情を抑制しつつも、心の奥底の静かな怒りや悲しみが伝わる素晴らしい演技をされているので、原作よりは劇的になっている。

4)主人公がピンチにならない。
劇的物語では主人公が絶体絶命の危機に陥り、そこから脱出するというサスペンス要素を入れることで読者の感情を揺さぶることができる。
フリーレンは最強の魔法使いなのでピンチらしいピンチにならない。読者はフリーレンが敵に負けて殺されるかもとは思わないので、読んでいてハラハラしない。


反劇的設定は日常系のような読むと心が癒される作品とは食い合わせが良い。読者の感情を大きくは揺さぶらないことで癒しを与えることができるからだ。例えば、『ゆるキャン△』の主人公、志摩リンも「外的目的、内的動機、感情の起伏、ピンチ」という物語を盛り上げる4要素を欠いているが、『ゆるキャン△』はドキドキハラハラするのではなく、まったりと楽しむ作品なので、反劇的設定と合っている。それについては映画ゆるキャン△評で論じたので参照頂きたい。

shinonomen.hatenablog.com

 

葬送のフリーレンはあっさり主要キャラが死ぬようなハードな世界観で、必ずしも読者をほっこりさせようとしてはいないのに劇的にする仕掛けを極力さけているのがユニークだ。

なお、フリーレンの仲間であるシュタルクは劇的4要素を全て兼ね備えている。シュタルクを主人公にすれば普通の劇的物語になる。逆に言うと、さすがにフリーレンを一人で放っておくとあまりに劇的じゃなさすぎるので、多少は劇的になるようにフェルンとシュタルクを同行させたともいえる。
「第9話 断頭台のアウラ」で描かれたフェルン、シュタルクとアウラ配下とのバトルは劇的要素が多く、普通の少年漫画みたいだと思って観ていたが、続く「第10話 強い魔法使い」で描かれた対アウラ戦はいかにも葬送のフリーレンらしい反劇的物語だった。

第10話はクライマックスの演出や音楽が劇的なので何となく劇的に見えるが、内容を要約すると「フリーレンは魔力量を少なく見せかけている。アウラは見せかけの魔力量に騙されて服従の天秤を使って負ける。」の二行で済んでしまう。なるほど、アウラが騙されて負けるんだな、と思って見ているとその通りに騙されて負けるので、あまりに捻りがなさすぎる。
また、フリーレンにとってアウラは過去に一度戦ったことがあるだけのワンオブゼムの敵にすぎない。

第10話はちょっとした工夫をするだけでより劇的にすることができる。断頭台のアウラはかつての仲間を殺した仇だとか、そこまでしなくてもグラナドの息子とフリーレンがかつて会ったことがあるという設定を足すだけで、フリーレンとアウラの因縁が強化され、ぐっと劇的になる。
バトル演出面でも、不死の軍勢による力押しを続けられたら危ないということを事前に提示したり、アウラがフリーレンが無策なことに疑念を抱いて服従の天秤を使うのを止めかけたりすればより読者をハラハラさせることができる。
アウラ、落語家になれ」というSSが流行っていたが、多くの視聴者が展開があっけなさすぎると感じたから補完要素を求めてSSが流行ったのではないか。

葬送のフリーレンの最大の魅力は長命種であるエルフの視点を通すことで浮き彫りになる人間の生の儚さや、それでも生きる意味について考えさせられる点だろう。また、「魔族にとっての魔力は人間にとっての地位に当たる」のような興味深い設定や「私の嫌いな天才だ」のような決め台詞の格好良さも際立っている。現状でも十分面白いが、劇的要素を足せばより面白くなるのではないか。
劇的でないことで独特の緩さが出てはいる。独特の緩さこそが至高と感じる人もいるのだろうが、私は劇的でないことによる損失を補うほどではないと思う。
葬送のフリーレンは戦士が劇的要素という武器を持たずに徒手空拳で戦っているような作品だ。徒手空拳でも十分強いが武器を使った方がより強いのではないか。

ただ、アウラが冷酷無比な敵にも関わらず人気が出たのは、あっけなく間抜けなやられ方をしたお陰で残念属性やドジっ娘属性を獲得したからだろう。そう考えると、劇的要素など足さない方が良いのかもしれない。

 

弘前の観光名所巡り

出張で青森県弘前に行ってきた。寒さに震えながら、重い機材を背負ってスキー場の斜面を延々登り続けたり、足を滑らせたら数メートル下の川に転落する獣道のような登山道を歩いたりと大変な仕事だった。一方、紅葉の時期に当たっており、景色は良かった。
仕事の合間と帰りの電車に乗る前に撮った写真をアップする。

岩木山

岩木山弘前市中心部の西にある弘前のシンボルだ。紅葉目当ての観光客が多数訪れていた。


岩木山山麓にある二子沼。


紅葉の森。


岩木山八合目。有料道路岩木スカイラインで上ることができる。


山頂方向。


八合目からの眺望。遠くに海が見える。紅葉の山を海と同時に見られるのは珍しいのではないか。


岩木山登山道。時折、山頂から降りてくる下山者に遭遇した。


登山道入り口。

弘前市

最勝院。


重要文化財五重塔


青森銀行記念館(重文)。明治期の洋風建築がいくつか残っている。


弘前市立図書館


山車展示館。ねぶたの山車について展示している。


山車は謡曲の説話等を題材にしているものが多いのだが、ふたまた大根の山車もあるとのこと。


藤田記念庭園。


弘前城追手門。弘前城には中国人のツアー観光客が大勢訪れていた。


石垣の改修工事が行われていた。


城内にある護国神社弘前城は広広していた。


亀甲門。


ねぶた村。

 

地方都市に行くとシャッター商店街が広がっているなど寂れているところが多いのだが、弘前は町並みも観光地も綺麗に整備されていた。歴史ある建造物も多く、文化資本の豊かさを感じた。
色々観光地を巡ったが、最も印象深かったのはふたまた大根だった。私自身の文化資本が豊かであれば、「ほほう。これは〇〇公が建立した寺院か」などとより興味深く見て回れただろうに残念だ。