東雲製作所

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ドル建てMMFは利回り4%超

米国債利回りが急低下している。3月8日に5.070%まで上昇した米国2年債利回りは3月24日には3.767%まで下落した。

FOMC参加者が金利見通しを示したドットプロットによると23年末の金利は5.125%、24年末は4.25%、25年末は3.125%となっている。
FRBの見通し通りなら2年債利回りは4.745%前後になるはずなのに、3.767%しかない。
市場はFRBの言うことを無視している。FF金利先物によると、市場は5月には利上げをせず6月頃に利下げを開始することを織り込み始めた。
FOMC前にSVBバンクなどの破綻を受けて、FRBはより利上げに慎重になるのではないかと予想するなら分かる。
だが、FRBは地銀が破綻したのを見た後でもう一回利上げする、年内は利下げしないと言っているのだ。FRBが言う通りにすると考えるのが普通だ。

債券投資は難しい。私は「米国ハイテク株は米国債より低利回り」という記事で益利回り3.92%のナスダック100より4.62%の米国2年債を買った方が得だと主張し、実際にナスダック100ETFの一部を売って米国短期国債ETFを購入した。

shinonomen.hatenablog.com

その後米国短期国債価格が急上昇(金利が急低下)したので喜んでいたが全然儲からなかった。ドル円がドル安円高に動いたためドル建て米国債の価格を押し下げ、値上がり分を相殺してしまったからだ。為替ヘッジつき米国債ETFを買えば良かったのだが、そこまで考えが回らなかった。

市場は米国債に明らかにおかしな値付けをしている。値付けが適正化されることを見越して差益を得る方法はないのだろうか。
まず思いつくのはドルベースで米国債ETF空売りすることだ。だが日本人が米国株を空売りするのはハードルが高い。外国株信用取引口座を開設しないといけないし、SBI証券信用取引対象銘柄に米国債ETFは含まれていなかった。

東証上場の為替ヘッジつき米国債ETF空売りするという手もある。だが、米国債の値付けが是正されるとしたら、5月2~3日の次回FOMCの結果を受けてだろうから1カ月以上先になる。そうなると手数料負けしそうだ。

ドル円は日米金利差に相関する。将来2年債利回りが上昇するなら、為替はドル高に振れるはずだ。
3月24日現在、ドル建てMMFは利回りが高いものでは4.227%もある。MMF(Money Market Fund)とは高格付け短期債券で運用される投資信託でほぼ預金と同じだが、元本保証はないためごくまれに元本割れする。リーマンショックでは1社のMMFが元本割れを起こしている。
価格が乱高下しておりリスクが高い米国2年債の利回りが3.767%しかないのに、預金に近いMMFで4.227%の利回りが得られるならMMFに置いておいた方が低リスク高リターンだ。
ナスダック100の予想PERは3月24日現在24.85とかなり割高だ(通常は21前後)。S&P500の予想PERは17.75と適正価格なので長期的には悪くないが、短期的にはFRB利上げ、金利上昇により下落するリスクがある。そうなると日本株や全世界株も高確率で連れ安する。
5月のFOMCまではドル転してドル建てMMFに入れておくのが最もリスク当たり利益が高いというのが私の結論だ。

ただし市場が正しくFRBが間違っていた場合(FRBが利上げ断念に追い込まれた場合)、円高になって円ベースでは損をする可能性がある。また、FRBの予想通りだとしても長期的には米国債金利は低下するので、為替が円高方向に振れやすいことには注意が必要だ。