東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)のよろず評論サイトです。

塩原はのんびり観光地

 毎年恒例の家族旅行に行ってきた。昨年行った草津のホテルおおるりが良かったので、今年は塩原のホテルおおるりを予約した。


 昨年は8時西船橋出発で、お昼の食事休憩を挟んで午後にホテル到着だったが、塩原は近いので12時頃にホテルに到着してしまった。ホテルで昼食は出しておらず、近くにコンビニや食堂もないので、おにぎり等の軽食を持っていった方が良い。これは事前にアナウンスが欲しい所だ。

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 別館宿泊のワケありプランを予約したため、建物や部屋は古びていた。だが、部屋からの眺めは素晴らしかった。

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 向かいに高い山が聳え、その手前には清流が流れ、釣り人が竿を入れている。近くに目を移すと、男性用の露天風呂の一部が丸見えである。露天風呂に入る時はモロ出しで奥まで行かない方が良いだろう。

 食事は例によってバイキングだが、去年の草津の方がやや豪華という印象を受けた。ホテルの違いなのかグループ全体で経費節減を進めているのかは分からないが。

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 草津の場合、温泉街そのものが観光地であり、湯畑などの見どころに歩いて行けるが、塩原では観光スポットまでやや離れている。そのため、朝に観光スポット一箇所への無料送迎サービスがある。

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 私はホテルから徒歩十分の源三窟へは一人で歩いて行き、木の葉化石園へは家族でバスで送ってもらった。

 

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 源三窟は入場料600円。源義経の娘を娶った武将、源有綱が頼朝から逃れるために隠れ住んでいた洞窟で、米のとぎ汁が洞窟から流れ出ているのを追っ手に見つかり、無念の最期を遂げたのだと言う。甲冑模様のエプロンをつけた館長のおじさんが、指し棒で系図のボードを叩きながら講談よろしく説明してくれるのが面白い。

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 源有綱は長男頼光の末裔なので本家筋なのだが、歴代当主が大事な所で戦死してしまったため没落していたとか、源義門は生後すぐ死んでしまったので本来なら系図に入れなくても良いのだが、入れないと源義経が九郎にならないといったことを名調子で説明してくれた。

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 洞窟内には源有綱の人形などが展示してある。暗くてひんやりしており、ずっと隠れ住んでいたら気分が鬱々とするに違いない。

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 洞窟内から見つかったという鎧。

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 土産物店にいた猫。あまりに馴染んでいたので、最初は動くぬいぐるみかと思った。

 

 続けて、塩原八幡宮を見に行った。塩原八幡宮は有綱の祖先が奥州に戦に行く際に戦勝祈願で立ち寄った神社で、有綱自刃の地でもある。昔はここまで洞窟がつながっていたのだという。

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 塩原八幡宮は全く人気がなかったが、昔の雰囲気を残しており趣があった。

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 天然記念物の逆杉は樹齢千五百年。

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 あまりに見事なので自撮りをした。奥に小さく見えるのが筆者。

 

 30万年前に存在した湖に堆積した地層は木の葉化石を多く産出することから木の葉石と呼ばれている。

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 木の葉化石園は算出した動植物化石の他、海外の化石や岩石などを展示している。入場料500円。

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 650円で木の葉石を購入すると、化石割体験ができる。細かく割っていくと時々化石が出てくる。
 木の葉石は持ち帰れるのだが、持って帰っても置き場に困る感はある。

 

 その後ホテルまで送ってもらい、昼前にバスでおおるりグループの蕎麦屋に移動して昼食。

 

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 羽生パーキングエリアで各方面からのバスが終結して、乗り換えを行い、我々は西船橋で解散となった。

 

 塩原は草津と比べ、移動時間が短い分、待ち時間が長かった。観光施設も観光地然としておらず、のんびりしていた。
 予定を詰め込んでガンガン見どころを回りたいような人には不向きだが、都会の喧騒を離れてのんびりするには良い所と言えよう。

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酒田でこあらを発見

 酒田滞在中のことだ。
 ホテルからつけ麺道癒庵に向けて歩いていた私はこんな交差点を発見した。

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 こあら!?

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 二度見してみてもこあらである。千葉にはユーカリが丘という地名があるが、こちらはコアラの里とかではなく、コアラそのものなので、よりインパクトがでかい。
 さらに歩いて行くと、こあら中央自治会館も発見した。

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どうやら交差点だけふざけているわけではなく、正式にこあらという地名のようだ。
 すぐ側のバス停でなぜこあらなのかが判明した。

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 こあらは古荒だったのだ。ひらがなで書くとかわいいのに、漢字で書くと急に江戸時代の農村みたいな印象になるのが面白い。
 
 こあらは新興住宅街で特に観光地のようなものはないが、つけ麺道癒庵は美味しいので、こあらを訪れた際はぜひ立ち寄ることをお勧めする。

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酒田のラーメンレビュー

 出張で山形県酒田・余目に長期滞在していたので、ラーメンレビューを記す。酒田はトビウオ・鶏・煮干し出汁のあっさりスープが特徴の酒田ラーメンの牙城で、ラーメン屋の多くが酒田ラーメンの店だった。
 満月、花鳥風月など、名前に月がつく月系の店は修行して独立したといったつながりがあることが多く、一大勢力を誇っている。


花鳥風月

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ラーメン700円

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気鋭の人気店。オーソドックスな醤油ラーメンなのだが、何だかよくわからない旨みが効いていて、スープを一口飲んでおっと声が出た。これこそが私と酒田ラーメンの出会いであった。(後にトビウオ出汁であることが判明する。)大きな二枚のチャーシューは低温調理っぽくてかなり美味い。


担々麺の店 福の家北店

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担々麺(0.5辛) 830円

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ゴマの風味が効いたクリーミーで濃厚なスープがしっかりとした麺に絡みつき、やみつきになる味。自家製ラー油で味付けしている辛さは0辛から5辛まで調整できる。穴あき鉄スプーンがついてくるので、ひき肉やコーンを余さず食べることができる。私はスープを飲み干したので不要だったが。


麺家ほり

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ラーメン 700円?

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老夫婦がやっている老舗。化学調味料不使用のスープはとてもさっぱりしており、麺がものすごく柔らい。オーダーすると「かため、こいめ、あぶら多め」に変えられるのだが、「かため、こいめ、あぶら多め」をスタンダードにした方がよいのではあるまいか。


満月

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ワンタンメン 780円

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酒田ラーメンを代表する名店。鶏、トビウオ、煮干し、昆布、野菜で出汁をとられた醤油ベースのスープは、脂っぽくなくてさっぱりしているのに深い旨みがある。魚介系ラーメンは煮干しの苦みが気になるものだが、トビウオメインだからか全く苦くない。麺は細くてツルツル食べられ、チャーシューは柔らかい。名物のワンタンは透けるように薄い。量は結構多いのだがするする食べられる。夏にぴったりのさっぱりとしたラーメンだ。付け合わせの昆布のごま油和えも美味しい。


萬人

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らーめん 650円

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余目の人気店で昼時はいつも混雑している。醤油ラーメンは基本の酒田ラーメンよりも脂分が多めで濃厚な味。もうちょっと塩気が薄ければ飲み干せたのだが。平打ち麺はコシが強い。トロトロしたチャーシューが美味い。

からし味噌らーめん 750円

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麺はラーメンとは違う縮れ麺。上に唐辛子の粉が載っており、溶かして食べると辛くて涙目になってしまった。だが辛さに慣れてくると段々美味くなってきて、店を出てからなぜスープを全部飲み干さなかったのかと後悔した。病みつきになる後を引く美味さだ。


つけ麺道癒庵 

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しょうゆつけ麺 880円

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「完熟トマトとモッツァレラチーズつけ麺」など独自のつけ麺を探求しているオシャレな店。麺はうどんのようにコシがあり、モチモチと噛みごたえがある。魚介、動物、野菜を合わせたスープは甘味があり、濃厚に麺に絡みつくが脂っぽくはなくさっぱりしており、割りスープなしで飲み干してしまった。
絶対もう一度行こうと思っていたのに、『東大王』を観ていたら閉店時間になってしまい、行けなかったのが悔やまれる。


東軒 

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ラーメン600円

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酒田らーめんの老舗。凝ったスープの月系ラーメンに対しスタンダードな味を楽しめる。具もチャーシュー、メンマ、ネギというシンプルなもの。後味が良い。


三平食堂

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中華そば 600円

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典型的な町の食堂なのだが、ラーメンはしっかりとした酒田ラーメンである。酒田ラーメンが町の隅々まで根を張っていることに驚く。


ラーメンとん太

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熟成味噌ラーメン 780円

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背脂チャッチャ系のギトギトした味噌ラーメン。味噌の味が強くてパンチがある。普段はあまりこういう体に悪そうなラーメンは好きではないのだが、さっぱりしたラーメンばかり食べていたのでとても美味しく感じた。


中華そば八千代

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中華そば 600円

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昼時に行ったらとても混んでおり、左側にある別の入口から入るよう言われ、畳の部屋で知らない親子と相席になった。法事のような気分が味わえる。チャーシューが三枚も載っているのが特徴。味はさっぱりしていて東軒に近い。


夜ラーメン花火 

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煮干しらーめん 750円

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酒田駅周辺で夜だけ営業しているこじんまりとした店。スタンダードな酒田ラーメンよりも油分が多く、ツナ缶のような旨味がある。


酒田ラーメン照月

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ワンタンメン 750円

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雲を呑むようという語源そのままの雲呑と細麺がツルツル食べられる。花鳥風月の系列店らしく、スープの味はほぼ同じだった。私のように舌が大雑把な人は、酒田ラーメンは月系一店と月系じゃないの一店だけ行けば十分な感じがする。


 同じ山形県でも、寒河江と酒田ではラーメン文化が全く異なっていた。寒河江蕎麦屋兼用・鳥中華・冷やしラーメンといった特徴があるのに対し、酒田は酒田ラーメンが圧倒的に強かった。
 地元の千葉だと、他の店と被らないよう色んな種類のラーメン屋が出店するのに対し、酒田では町の食堂に至るまで酒田ラーメンで統一されているのに驚いた。それだけ酒田ラーメンに誇りを持っているのだろう。

 

おまけ
ホワイトハウス 

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カレーライス

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夜はバーをやっている白い店。昼は定食だけでなくカレーにもしっかりサラダがついてくるのが嬉しい。

 

他者にしか救えない――鬼滅の刃感想

(本稿は『鬼滅の刃』のネタバレを含みます。)

 アニメ『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴原作、外崎春雄監督、ufotable)が素晴らしい。元々ストーリー・設定・キャラクターが魅力的な原作にufotable神作画が加わってものすごい高みに達している。特に第十九話『ヒノカミ』は観ていてアドレナリンがドバドバ噴出して、しばらく興奮が止まらなかった。

 『鬼滅の刃』は大正時代の日本を舞台に人を襲い食らう鬼と鬼を殺す鬼殺隊の戦いを描いた話だ。
 主人公竈門炭治郎は家族を鬼に殺され、唯一生き残った妹禰豆子も鬼にされてしまう。炭治郎が禰豆子を人間に戻す方法を探しながら、様々な鬼と戦って回るのが本作の基本構造だ。

 本作最大の魅力は、底抜けに優しい炭治郎のキャラクターだろう。
 炭治郎は妹禰豆子や鬼殺隊の仲間に対して優しいだけでなく、自らの家族の敵である鬼に対してすら優しさを向け、少しでも彼らの魂が安らかであるよう頑張る。炭治郎からは、家族からの愛情をたっぷり受けて育ってきたおひさまのような暖かさが伝わってきて、何て良い子なんだと抱きしめたくなる。

 炭治郎と戦った鬼の多くは、死に際して魂を救われている。本作は炭治郎が鬼を殺して回る話であるが、見方を変えれば鬼を救って回る話でもある。
 本作の鬼の多くは理性を失い欲望だけになった存在だ。だが、食欲や性欲だけに従っているのではなく、自己承認欲求のような高次の欲望も有している。肥大化した自意識の成れの果てである山月記の虎に近い。この設定が作品に深みを与えている。
 鬼は欠落を抱えており、欠落を埋めたいという欲求が行動原理となっている。。
 累は家族との繋がりを求めており、響凱は自らの作品が認められることを求めていた。

 竈門炭治郎は鬼達にとって初めての他者だ。例えば雲取山の鬼、累は鬼になって以降複数の存在と接触したが、いずれも累にとっては他者ではなかった。
 鬼の創造主たる鬼舞辻無惨は鬼の欠落を利用して操っている。無惨にとっては、鬼が抱える欠落が深いほど都合が良い。鬼の肥大化した自我を膨らませることに力を貸す存在であり、他者というより自我の増幅器のような存在だ。
 累の"家族"は累の力を恐れて従っていただけ。異を唱えないから他者足り得ない。
 鬼殺隊はただ累の命を狙っているだけで、累に対して対話を求めないから他者足り得ない。
 唯一炭治郎だけが累の考えに異を唱えた。
 肥大化した自意識によってタコツボに入ってしまった者を救えるのは異なる意見をぶつけてくる他者だけだ。
 他者と衝突することで、初めて、ハマっていた穴から抜け出すことができるのだ。

 

SPDRS&P500(1557)のすすめ

 株式市場の乱高下が続いている。トランプ大統領が対中関税の引き上げを発表して以降、株価は急降下。その後もトランプ大統領のツイートに株価が振り回されている。普通は、S&P500指数が1%以上動くとちょっとしたサプライズだが、今年の8月は22営業日中11営業日も1%以上動いている。異常なことが日常化してしまった感じだ。
 問題は、日本から米国株を買っている投資家だ。日本の投資家が米国のS&P500のような株式指数に投資しようと思ったら、まず考えられるのは投資信託だ。楽天・全米株式インデックス・ファンド、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)、そしてさきごろ発表されたSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドと、日本円で買える米国株投資信託には経費率が安い素晴らしい商品が揃っている。
 だが、問題は投資信託は当日の市場が開く前に買わねばならないので、一日で1%以上も指数が動くような相場では思ったような値段で買えないということだ。

 下記に2019年8月のS&P500のチャートを示す。

f:id:shinonomen:20190904183955p:plain 米国市場の急落を受け、翌日に日本の投資家が投資信託の買い注文を出すと、翌営業日の終値で買うことになる。黒矢印の急落を受けて投資信託の買い注文を出した投資家は赤矢印で買うことになる。

 8月の乱高下相場ではしばしば急落の翌日に反発している。二回目の下落は良いが、一回目と三回目では1%以上も反発した後に買うはめになった。

 外国株取引で米国株ETFを直接買う方法もある。VOOやVTIなどの米国株に投資するドルベースのETFは経費率が格安で、種類も豊富だ。
 だが、これには1)円をドル転しなくてはならず、面倒くさい。2)売買手数料が高い。3)手続きをしないと税金を二重に取られるというデメリットがある。

 そこでおすすめなのが、東京証券取引所に上場している円で買える米国株ETFを買うことだ。
 現状では、経費率を考えるとSPDRS&P500(1557)一択だ。
 SPDRS&P500(1557)が最も優れているのは、米国株の急落を受けて、日本市場でも下落した状態で買える所だ。
 SPDRS&P500(1557)の始値のチャートを示す。

 

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 米国株急落の翌朝が赤矢印だ。上図の投資信託と違って、きちんと下がった所を買えていることが分かるだろう。
 SPDRS&P500(1557)唯一の欠点は一株が3万円程と高いことだ。一回の購入金額が3万円以下の投資家は、投資信託を買うしかない。

 ETFは必ず配当金を出さねばならず配当金に税金がかかるため、税制上投資信託より不利だ。だが、投資信託で底値を拾おうとすると、3回の平均で0.88%損をするのに比べれば微々たる損だ。
 現在のような乱高下相場が続くうちは、投資信託よりSPDRS&P500(1557)を買った方が良いだろう。 

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奴が最高になって帰ってきた! 松屋のごろごろチキンのバターチキンカレーとその代替品

 松屋の期間限定メニュー、ごろごろチキンカレーは牛丼屋らしからぬ本格的なルーと、わざわざ鉄板で焼いているというチキンが文字通りごろごろ入っているという贅沢さで名高い。私も復活する度に食べに行っている。

 前回復活した時は『ごろごろチキンのトマトカレー』で、チェーン店の期間限定メニュー八番勝負で絶賛している。

 そんなごろごろチキンカレーがこの夏復活した。今度のアレンジは『ごろごろチキンのバターチキンカレー』だ。元々コクのある欧風カレーにバターなんか入れたら美味いに決まってるじゃん! という訳で食べてきた。

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 カレーの旨味、ニンニクの旨味にバターの旨味までもがプラスされてごろチキ史上最高の出来栄えである。これが税込650円とか冗談か。こんな安っぽい皿ではなく、ランプみたいな銀色の奴で出せば1200円ぐらい取れる逸品である。

 期間限定なのでお早めに、と書いて記事にしようと思っていた所、先週ぐらいで『ごろごろチキンのバターチキンカレー』は終わってしまった。終了前にもう一度食べようと思っていたのにがっかりだ。
 だが、ファミマに入った所、こんなものを見つけた。
『スパイス香るバターチキンカレー』(税込460円)

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 松屋のに比べるとご飯が固いのとチキンがしょぼいのと野菜が少ない点が劣っている。だが、ルーはニンニクとバターが効いていて、ほぼ完コピ状態だ。

 ごろチキバターチキンカレーが無くなって嘆いている人は、ファミマのバターチキンカレーを食べて寂しさを紛らわそう。

 

shinonomen.hatenablog.com

 

逆イールドとは何か

 8月14日に米国で米国10年国債利回りが2年国債利回りを下回る逆イールドが発生した。逆イールドは景気後退(リセッション)の前兆とされることから、株価は大きく下落。S&P500は-2.93%と今年最大の下げ幅を記録した。

 ニュースサイトを見ても、逆イールドは景気後退の前兆だと書いてあるだけで、景気後退が起こる理由は書いてないことが多い。そこで逆イールドとは何か、逆イールドが発生するとなぜ景気後退が起こるのか、今回も本当に景気後退が起こるのかについて調べてみた。


1)逆イールドって何?
野村證券の解説を引用する。

逆イールド
短期金利長期金利を上回り、イールドカーブ(利回り曲線)が右下がりの曲線となっている状態のこと。市場関係者が将来的に金利が下がるとみている場合に起こる現象で、一般的に景気後退の兆候として捉えられる。

 通常、国債長期金利短期金利より高い。長期間お金を貸すとその間自由に使えないわけだから、貸し手がより高い金利を要求するのは当然だ。
 だが、将来金利が下がる場合はどうか。例えば今後2年間は金利が2%だが、その後は1%まで下がるとする。そうすると、2年間の金利は2%だが、より長期の10年間の金利は2%を下回る。これが逆イールドだ。

 長短金利の逆転は全て逆イールドと呼ぶ。3月にも米国10年国債利回りと3ヶ月国債利回りが逆転し、逆イールドだと騒がれたことがあったが、景気後退の前兆としてより適切なのは米国10年国債利回りと2年国債利回りの逆転らしい。3月の騒ぎは何だったのか。

 過去7回の景気後退では、毎回逆イールドという前兆が発生している。

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 大和投信の資料から孫引きしたグラフを見ると、確かに「長短金利差が縮まっていき逆イールド発生→景気後退が起こって長短金利差が急拡大」を繰り返していることが分かる。


2)なぜ逆イールドが起こると景気後退するの?
 一般に、景気が減速すると、景気を良くするため、米国の中央銀行に当たるFRBが利下げをする。従って、10年国債利回りのような長期金利が低下するということは、債券投資家が将来景気が減速するだろうと予想していることの表れだ。
 ただし、景気の減速=景気後退ではない。景気後退とは一般に二四半期連続でGDPがマイナス成長することを指す。GDP成長率が3%から1%に減速しても、景気後退ではない。

 景気後退はFRB金利操作ミスによって起こる。FRBが景気減速に先んじて十分金利を下げて景気を下支えすれば、景気は後退までには至らずに踏みとどまるが、FRBの利下げが遅れると景気後退に至ってしまう。
 10年国債利回りが将来景気がどうなるかの予想なのに対し、2年国債利回りFRBがどのように金利誘導するかを予想したものだ。逆イールドが発生するということは、債券投資家がFRBが十分利下げをしないせいで将来景気後退し、FRBがさらなる利下げに追い込まれると予想しているということなのだ。


3)今回も景気後退するの?
 世界的に景気が減速しているのは間違いない。英国の4-6月期GDP速報値が前期比-0.2%、ドイツは前期比-0.1%とマイナス成長になったし、日本も消費増税を控え、10-12月期はマイナス成長が予想されている。欧州各国や日本が景気後退入りする可能性は低くない。

 だが、米国債の逆イールドは米国の景気後退の前兆とされている。米国は景気後退するのだろうか。
 結論から言うと、米国は当面景気後退しない可能性が高い。

 第一に、逆イールド発生から景気後退までの期間は平均22ヶ月もある。必ずしも景気後退が差し迫っているわけではない。
 バンク・オブ・アメリカの集計によると、1956年以降で逆イールドが発生したケースは10回あり、逆イールド発生からS&P500が天井を打つまでの期間は2ヶ月から2年だった。すぐに株を売ってしまったら、2年間の上げ相場を指をくわえて見るはめになるかも知れない。
 
 第二に、専門家の多くが景気後退しないと予想している。
リセッション懸念が2011年以来の高水準、バブルのリスク広がる-調査 - Bloomberg

によると、8月に実施した調査に答えたファンドマネジャーの約3分の1は、今後12カ月の間に世界的な景気後退が起こる可能性が高いと考えている。逆に言うと3分の2は1年以内に景気後退しないと予想しているということだ。
 また、イエレンFRB前議長は逆イールドについて「歴史的には良い警告だが、今回は当てはまらないかもしれない」「(米経済は)景気後退を回避できる力強さがある」「(景気後退入りの)可能性は明らかに高まっている」ものの「ほとんどない」と指摘している。
 IMFが今年7月に改定した米国のGDP成長率予想は2019年が1.9%、2020年が1.7%だ。米中貿易戦争の激化で低下するとしても、マイナスまで行くとは考えにくい。

 第三に、各種経済指標が好調である。米国雇用統計によると、2019年7月の失業率は3.7%と過去最低水準で推移している。非農業部門雇用者変化数は16.4万人増と堅調。消費者物価指数は+0.3%。景気後退の兆候は見られない。

 第四に、過去の逆イールドとは状況が異な‭っている。これについては広木隆氏のレポートを読んで頂くのが手っ取り早い。

media.monex.co.jp

 広木氏の主張は以下のとおりだ。
 逆イールドが景気後退を招くわけではない。逆イールドの状況が発生しているにもかかわらずFRBが利上げをやめないことが要因。
 今回、リセッションにつながるようなバブルの生成とその崩壊懸念はなく、そしていつもバブルを潰してしまう当局の引き締めもすでに停止されている。どう考えても深刻なリセッションは到来しないだろう。

 広木氏の主張は論理的で説得力がある。それに対し、景気後退が起こると言っている人は「過去にもそうだったのだから今回も起こる」としか言っていない。

 逆イールドで景気後退と言っている人は、債券投資家が正しく、FRBが間違っていると考えているということだ。経済指標を見る限り、米国景気は堅調で、大きな利下げは必要ないと言っているFRBの方が正しいと思う。
 1月の株の急落を見ても分かる通り、投資家はしばしば見通しを間違える。どうして債券投資家の景気後退予想(=逆イールド)だけは必ず的中すると思うのか。

 ただし、市場参加者がみな景気後退を恐れて資金を引き上げると本当に景気後退する可能性はある。米国経済が長期の景気成長の終盤にあることは確かだ。だが、それはだいぶ前から分かっていたことだ。
 逆イールドが起きたからと慌てふためいて株を全部売り払うのではなく、長期的視点で将来、景気後退が起こっても耐えられるよう備えておくことが重要だ。