東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)のよろず評論サイトです。

酒田のラーメンレビュー

 出張で山形県酒田・余目に長期滞在していたので、ラーメンレビューを記す。酒田はトビウオ・鶏・煮干し出汁のあっさりスープが特徴の酒田ラーメンの牙城で、ラーメン屋の多くが酒田ラーメンの店だった。
 満月、花鳥風月など、名前に月がつく月系の店は修行して独立したといったつながりがあることが多く、一大勢力を誇っている。


花鳥風月

f:id:shinonomen:20190920122457j:plain

ラーメン700円

f:id:shinonomen:20190920122539j:plain

気鋭の人気店。オーソドックスな醤油ラーメンなのだが、何だかよくわからない旨みが効いていて、スープを一口飲んでおっと声が出た。これこそが私と酒田ラーメンの出会いであった。(後にトビウオ出汁であることが判明する。)大きな二枚のチャーシューは低温調理っぽくてかなり美味い。


担々麺の店 福の家北店

f:id:shinonomen:20190920122626j:plain

担々麺(0.5辛) 830円

f:id:shinonomen:20190920122644j:plain

ゴマの風味が効いたクリーミーで濃厚なスープがしっかりとした麺に絡みつき、やみつきになる味。自家製ラー油で味付けしている辛さは0辛から5辛まで調整できる。穴あき鉄スプーンがついてくるので、ひき肉やコーンを余さず食べることができる。私はスープを飲み干したので不要だったが。


麺家ほり

f:id:shinonomen:20190920122720j:plain

ラーメン 700円?

f:id:shinonomen:20190920122739j:plain

老夫婦がやっている老舗。化学調味料不使用のスープはとてもさっぱりしており、麺がものすごく柔らい。オーダーすると「かため、こいめ、あぶら多め」に変えられるのだが、「かため、こいめ、あぶら多め」をスタンダードにした方がよいのではあるまいか。


満月

f:id:shinonomen:20190920122903j:plain

ワンタンメン 780円

f:id:shinonomen:20190920122924j:plain

酒田ラーメンを代表する名店。鶏、トビウオ、煮干し、昆布、野菜で出汁をとられた醤油ベースのスープは、脂っぽくなくてさっぱりしているのに深い旨みがある。魚介系ラーメンは煮干しの苦みが気になるものだが、トビウオメインだからか全く苦くない。麺は細くてツルツル食べられ、チャーシューは柔らかい。名物のワンタンは透けるように薄い。量は結構多いのだがするする食べられる。夏にぴったりのさっぱりとしたラーメンだ。付け合わせの昆布のごま油和えも美味しい。


萬人

f:id:shinonomen:20190920124150j:plain
らーめん 650円

f:id:shinonomen:20190920124207j:plain
余目の人気店で昼時はいつも混雑している。醤油ラーメンは基本の酒田ラーメンよりも脂分が多めで濃厚な味。もうちょっと塩気が薄ければ飲み干せたのだが。平打ち麺はコシが強い。トロトロしたチャーシューが美味い。

からし味噌らーめん 750円

f:id:shinonomen:20190920124227j:plain
麺はラーメンとは違う縮れ麺。上に唐辛子の粉が載っており、溶かして食べると辛くて涙目になってしまった。だが辛さに慣れてくると段々美味くなってきて、店を出てからなぜスープを全部飲み干さなかったのかと後悔した。病みつきになる後を引く美味さだ。


つけ麺道癒庵 

f:id:shinonomen:20190920124252j:plain
しょうゆつけ麺 880円

f:id:shinonomen:20190920124313j:plain
「完熟トマトとモッツァレラチーズつけ麺」など独自のつけ麺を探求しているオシャレな店。麺はうどんのようにコシがあり、モチモチと噛みごたえがある。魚介、動物、野菜を合わせたスープは甘味があり、濃厚に麺に絡みつくが脂っぽくはなくさっぱりしており、割りスープなしで飲み干してしまった。
絶対もう一度行こうと思っていたのに、『東大王』を観ていたら閉店時間になってしまい、行けなかったのが悔やまれる。


東軒 

f:id:shinonomen:20190920124333j:plain
ラーメン600円

f:id:shinonomen:20190920124436j:plain
酒田らーめんの老舗。凝ったスープの月系ラーメンに対しスタンダードな味を楽しめる。具もチャーシュー、メンマ、ネギというシンプルなもの。後味が良い。


三平食堂

f:id:shinonomen:20190920124125j:plain
中華そば 600円

f:id:shinonomen:20190920124511j:plain

典型的な町の食堂なのだが、ラーメンはしっかりとした酒田ラーメンである。酒田ラーメンが町の隅々まで根を張っていることに驚く。


ラーメンとん太

f:id:shinonomen:20190920124755j:plain

熟成味噌ラーメン 780円

f:id:shinonomen:20190920124820j:plain

背脂チャッチャ系のギトギトした味噌ラーメン。味噌の味が強くてパンチがある。普段はあまりこういう体に悪そうなラーメンは好きではないのだが、さっぱりしたラーメンばかり食べていたのでとても美味しく感じた。


中華そば八千代

f:id:shinonomen:20190920125101j:plain

中華そば 600円

f:id:shinonomen:20190920125122j:plain

昼時に行ったらとても混んでおり、左側にある別の入口から入るよう言われ、畳の部屋で知らない親子と相席になった。法事のような気分が味わえる。チャーシューが三枚も載っているのが特徴。味はさっぱりしていて東軒に近い。


夜ラーメン花火 

f:id:shinonomen:20190920125155j:plain

煮干しらーめん 750円

f:id:shinonomen:20190920125214j:plain

酒田駅周辺で夜だけ営業しているこじんまりとした店。スタンダードな酒田ラーメンよりも油分が多く、ツナ缶のような旨味がある。


酒田ラーメン照月

f:id:shinonomen:20190920125356j:plain

ワンタンメン 750円

f:id:shinonomen:20190920125412j:plain

雲を呑むようという語源そのままの雲呑と細麺がツルツル食べられる。花鳥風月の系列店らしく、スープの味はほぼ同じだった。私のように舌が大雑把な人は、酒田ラーメンは月系一店と月系じゃないの一店だけ行けば十分な感じがする。


 同じ山形県でも、寒河江と酒田ではラーメン文化が全く異なっていた。寒河江蕎麦屋兼用・鳥中華・冷やしラーメンといった特徴があるのに対し、酒田は酒田ラーメンが圧倒的に強かった。
 地元の千葉だと、他の店と被らないよう色んな種類のラーメン屋が出店するのに対し、酒田では町の食堂に至るまで酒田ラーメンで統一されているのに驚いた。それだけ酒田ラーメンに誇りを持っているのだろう。

 

おまけ
ホワイトハウス 

f:id:shinonomen:20190920175229j:plain

カレーライス

f:id:shinonomen:20190920175251j:plain

夜はバーをやっている白い店。昼は定食だけでなくカレーにもしっかりサラダがついてくるのが嬉しい。