株式市場の乱高下が続いている。トランプ大統領が対中関税の引き上げを発表して以降、株価は急降下。その後もトランプ大統領のツイートに株価が振り回されている。普通は、S&P500指数が1%以上動くとちょっとしたサプライズだが、今年の8月は22営業日中11営業日も1%以上動いている。異常なことが日常化してしまった感じだ。
問題は、日本から米国株を買っている投資家だ。日本の投資家が米国のS&P500のような株式指数に投資しようと思ったら、まず考えられるのは投資信託だ。楽天・全米株式インデックス・ファンド、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)、そしてさきごろ発表されたSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドと、日本円で買える米国株投資信託には経費率が安い素晴らしい商品が揃っている。
だが、問題は投資信託は当日の市場が開く前に買わねばならないので、一日で1%以上も指数が動くような相場では思ったような値段で買えないということだ。
下記に2019年8月のS&P500のチャートを示す。
米国市場の急落を受け、翌日に日本の投資家が投資信託の買い注文を出すと、翌営業日の終値で買うことになる。黒矢印の急落を受けて投資信託の買い注文を出した投資家は赤矢印で買うことになる。
8月の乱高下相場ではしばしば急落の翌日に反発している。二回目の下落は良いが、一回目と三回目では1%以上も反発した後に買うはめになった。
外国株取引で米国株ETFを直接買う方法もある。VOOやVTIなどの米国株に投資するドルベースのETFは経費率が格安で、種類も豊富だ。
だが、これには1)円をドル転しなくてはならず、面倒くさい。2)売買手数料が高い。3)手続きをしないと税金を二重に取られるというデメリットがある。
そこでおすすめなのが、東京証券取引所に上場している円で買える米国株ETFを買うことだ。
現状では、経費率を考えるとSPDRS&P500(1557)一択だ。
SPDRS&P500(1557)が最も優れているのは、米国株の急落を受けて、日本市場でも下落した状態で買える所だ。
SPDRS&P500(1557)の始値のチャートを示す。
米国株急落の翌朝が赤矢印だ。上図の投資信託と違って、きちんと下がった所を買えていることが分かるだろう。
SPDRS&P500(1557)唯一の欠点は一株が3万円程と高いことだ。一回の購入金額が3万円以下の投資家は、投資信託を買うしかない。
ETFは必ず配当金を出さねばならず配当金に税金がかかるため、税制上投資信託より不利だ。だが、投資信託で底値を拾おうとすると、3回の平均で0.88%損をするのに比べれば微々たる損だ。
現在のような乱高下相場が続くうちは、投資信託よりSPDRS&P500(1557)を買った方が良いだろう。