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市場平均を上回っている指数まとめ

日経500種平均がバブル期につけた史上最高値を上回ったというニュースがあった。

news.yahoo.co.jp


TOPIX日経平均が最高値の6割付近で低迷する中、日経500種平均はパフォーマンスで圧倒的に上回っている。
TOPIX日経平均を売って日経500種平均に乗り換えれば良いんじゃない? と思ったが、日経500種平均に連動するETFはないらしい。

効率的市場仮説は猿がダーツで決めた銘柄を買っても投資家が選んでもパフォーマンスは同じだと主張している。何らかの基準で株を選定しても、継続的に市場平均を上回ることはできないと言うのだ。
実際には日経500種平均のように市場平均(各国の主要銘柄を広く集めた指数)を上回っている指数が存在するのでまとめた。


1)米国市場(S&P500(過去1年の騰落率6.6%)を上回っている指数)
1-1)NASDAQ100
ナスダックに上場する、金融銘柄を除く、時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均によって算出される株価指数
GAFAMを中心とした巨大ハイテク企業を高ウェイトで組み込んでおり、圧倒的パフォーマンスを誇る。
*連動するETF QQQ(経費率 0.2%)
*過去1年の騰落率(10月末) 36.3%
*組み入れ上位
1 Apple 13.39%
2 Microsoft 10.76%
3 Amazon 10.66%
4 Facebook 'A' 4.26%
5 Tesla Motors 3.45%
6 Alphabet 'A' 3.42%
7 Alphabet 'C' 3.31%
8 Nvidia 2.88%
9 Adobe Systems 2.03%
10 PayPal 1.99%
*日本円で買える商品
上場インデックスファンド米国株式(NASDAQ100)為替ヘッジなし (2568)等


1-2)セクター別ETF(VGT、VHT、VCR)
米国株には11のセクターがある。バンガードが10セクターのETFを発売しているが、VGT(情報技術)、VHT(ヘルスケア)、VCR(一般消費財)の3ETFがS&P500を長期的に上回っている。
VHTやVCRはQQQやVGTにパフォーマンスでは劣るが、ディフェンシブセクターであるため、下落に強いという利点がある。
VGT、VHT、VCRを保有すれば、S&P500よりリターンが高く、QQQよりはリスクが低いポートフォリオを作れることが期待できる。

 

*VGT 情報技術
QQQと似ているが、Amazon,Facebook,Google,Teslaが抜け、VisaやMastercard等が入っている。
カード会社は景気によって利益が変動するので、QQQより景気に敏感。
*過去1年の騰落率(10月末) 33.0%
*組み入れ上位
1 Apple
2 Microsoft Corp.
3 NVIDIA Corp.
4 Visa
5 Mastercard
6 Adobe
7 salesforce.com
8 PayPal Holdings
9 Intel Corp.
10 Cisco Systems

 

*VCR 一般消費財
アマゾン、マクドナルド、ナイキ、スターバックス等、米国株を良く知らない人にもお馴染みの企業が並んでいる。
*過去1年の騰落率(10月末) 28.8%
*組み入れ上位
1 Amazon.com 21.41%
2 Home Depot 7.41%
3 Tesla 6.11%
4 McDonald's Corporation 4.05%
5 NIKE, Class B 3.82%
6 Lowe's Companies 3.20%
7 Starbucks Corporation 2.53%
8 Target Corporation 1.96%
9 Booking Holdings 1.80%
10 TJX Cos

 

*VHT ヘルスケア
製薬メーカー中心のヘルスケアも米国が強い分野だが、薬価引き下げ懸念があり、VGTに比べると過去1年のパフォーマンスは劣っている。
*過去1年の騰落率(10月末) 13.7%
*組み入れ上位
1 Johnson & Johnson
2 UnitedHealth Group
3 Merck & Co.
4 Pfizer
5 Abbott Laboratories
6 Thermo Fisher Scientific
7 Amgen
8 AbbVie
9 Medtronic plc
10 Danaher Corp.

*日本円で買える商品
いずれもなし。主要証券会社の外国口座で買える。経費率0.1%

ただし、近年はハイテク大手のサービスが生活必需品のようになっており、QQQの値動きもディフェンシブセクターに近づいている。
以前よりはハイテクとディフェンシブセクターを組み合わせるメリットは減っている。

 


2)日本市場TOPIX(過去1年の騰落率-5.2%)を上回っている指数)
2-1)日経500種平均
前述の通りパフォーマンスは素晴らしいが連動するETFがない。まさに絵に描いた餅である。
早く連動する投資信託ETFを出して欲しいが、毎年銘柄を大きく入れ替えるので運用が大変なのかもしれない。
*過去1年の騰落率(10月末) 7.4%

 

2-2)JAPANクオリティ150
ROEでかつその持続性が見込まれる企業で構成された指数。
似たようなコンセプトのJPX日経400が全然ダメなのとは違い、こちらは優秀なのだが、全く話題にならない。
信託報酬が高いのが難点。
*連動する投資信託ETF
eMAXIS JAPAN クオリティ150インデックス 信託報酬0.44%(税抜き0.4)
MAXIS JAPAN クオリティ150上場投信 というETFもあり信託報酬は安いが、板がスカスカで適切な値段で売買できなそう。

*過去1年の騰落率(10月末) 5.2%
*組み入れ上位
1 東京エレクトロン 2.5%
2 ダイキン 2.3%
3 ソニー 2.2%
4 第一三共 2.2%
5 HOYA 2.1%
6 村田製作所 2.1%
7 KDDI 2.1%
8 NTTドコモ 2.1%
9 SMC 2.0%
10 伊藤忠商事


2-3)セクター別ETF
米国株と同様の戦術は日本株でも可能である。TOPIXはS&P500と比べ、全然成長していない企業を多数含むので、それらを外せば比較的オーバーパフォームしやすい。
日本株は成長業種だけに投資せよで書いた通り、日本企業が強い分野である医薬品、小売、情報通信・サービス、素材・化学の4業種を保有すればTOPIXをオーバーパフォームすることが期待できる。

shinonomen.hatenablog.com


中でも、情報通信・サービスはコロナ下でもパフォーマンスが好調だ。
信託報酬が0.18%と安かったダイワ上場投信・TOPIX-17シリーズが償還してしまい、0.32%のNEXT FUNDS(TOPIX-17)上場投信しか残っていないのが難点。

*NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信 1626 信託報酬(税抜き)0.32%
*過去1年の騰落率(10月末) 12.2%
*組み入れ上位
1 ソフトバンクグループ 12.47%
2 任天堂 8.20%
3 日本電信電話 6.80%
4 リクルートホールディングス 6.42%
5 NTTドコモ 6.41%
6 KDDI 4.73%
7 エムスリー 3.51%
8 オリエンタルランド 3.46%
9 ソフトバンク 2.55%
10 Zホールディングス 2.31%

 


3)中国MSCI China(過去1年の騰落率+32.6%)を上回っている指数)
3-1)CXSE ウィズダムツリー中国株ニューエコノミーファンド
国有企業を除く中国企業に投資するETF。2020年に主要国で唯一プラス成長の中国は全体的にハイパフォーマンスだが、非効率な国有企業を除いてさらにパフォーマンスを高めている。
BAT(バイドゥ、テンセント、アリババ)のようなハイテク株のウェイトが高い。

*過去1年の騰落率(10月末) 48.66%
*組み入れ上位
1 Tencent Holdings Ltd 13.45%
2 Alibaba Group Holding Ltd 10.98%
3 Ping An Insurance Group Co of China 6.55%
4 Meituan Dianping-Class B 5.83%
5 JD.com Inc ADR 3.45%
6 NetEase Inc ADR 2.10%
7 Baidu.com ADR 1.97%
8 Wuxi Biologics Cayman Inc 1.52%
9 Xiaomi Corp-Class B 1.44%
10 Pinduoduo Inc-ADR 1.37%

*日本円で買える商品
CXSEは主要証券会社の外国口座で買える。経費率0.32%


基本的に情報技術中心のグロース株比率が高い指数が市場平均を上回っている。
コロナによってハイテクのような勝ち組企業と観光業のようなダメージの大きな企業の格差が拡大している。デジタル化は長期的な傾向なので、長期的にはハイテクのウェイトを高めた方が良いのではないか。

ただし、グロース株とバリュー株のパフォーマンス格差はITバブル期並みに拡大している。


昨日、ファイザーの新型コロナワクチン治験結果が発表され、グロース株を売って出遅れバリュー株を買う動きが発生した。
中~短期的にバリュー株の巻き返しが来るかも知れないので注意が必要だ。

注:過去1年の騰落率は2019.11/1~2020.10/30で計算した値です。正しくは2019.10/30~で計算すべきでした。