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10年リターン・シャープレシオの高いETFまとめ

前回の記事で紹介したmyINDEXの2022年12月末時点でのインデックスファンド10年円建てリターンランキングを紹介した。

myindex.jp

ランキング上位は下表の通りだ。

順位 種類 銘柄 信託報酬 純資産 運用期間 年率平均リターン リスク シャープレシオ
            1年  10年  10年  10年
1 海外ETF Direxion デイリー 米国金融株 ブル3倍 ETF (FAS) 0.99% 2460億円 14.2年 -35 27.6 54.8 0.5
2 海外ETF マーケット・ベクトル 半導体ETF (SMH) 0.35% 8450億円 11.1年 -23.9 27 24.4 1.1
3 海外ETF バンガード・米国情報技術セクターETF (VGT) 0.10% 5.1兆円 19年 -19.5 22.9 20.2 1.1
4 海外ETF テクノロジー・セレクト・セクター SPDR ファンド (XLK) 0.13% 4.9兆円 24.1年 -17.3 22.4 19.7 1.1
5 海外ETF iシェアーズ グローバル・テクノロジー ETF (IXN) 0.46% 3460億円 21.2年 -19.7 21 19.6 1.1
6 国内ETF NEXT FUNDS NASDAQ-100 連動型上場投信 (1545) 0.45% 470億円 12.4年 -23 20.9 19.4 1.1
7 海外ETF パワーシェアーズ QQQ (QQQ) 0.20% 18.8兆円 23.9年 -22.8 20.9 19.7 1.1
8 海外ETF マーケット・ベクトル 小売ETF (RTH) 0.35% 190億円 11.1年 -5.8 19.5 18.2 1.1
9 海外ETF ヘルスケア・セレクト・セクター SPDR ファンド (XLV) 0.13% 5.5兆円 24.1年 12.1 19.4 17.3 1.1
10 海外ETF バンガード・米国ヘルスケア・セクターETF (VHT) 0.10% 2.3兆円 19年 8.1 19.2 17.5 1.1
11 海外ETF マーケット・ベクトル バイオテクノロジーETF (BBH) 0.35% 650億円 11.1年 -3 18.9 23.4 0.8
12 海外ETF バンガード・米国メガキャップ・グロースETF (MGK) 0.07% 1.2兆円 15.1年 -24 18.1 18.9 1
13 海外ETF バンガード・S&P500グロースETF (VOOG) 0.10% 8340億円 12.4年 -19.3 18.1 18.2 1
14 海外ETF iシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF (ICLN) 0.46% 6530億円 14.6年 8.3 17.5 26.3 0.7
15 海外ETF バンガード・S&P 500 ETF (VOO) 0.03% 34.4兆円 12.4年 -6.3 17.5 17.4 1
16 国内ETF NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 (1570) 0.80% 5330億円 10.8年 -18.4 17.4 34.8 0.5
17 海外ETF バンガード・米国グロースETF (VUG) 0.04% 8.9兆円 19年 -23.5 17.4 18.8 0.9
18 海外ETF マーケット・ベクトル ワイド・モートETF (MOAT) 0.49% 8380億円 10.7年 -1.2 17.3 18.4 0.9
19 海外ETF バンガード・米国メガキャップETF (MGC) 0.07% 4560億円 15.1年 -8.4 17.2 17.4 1
20 海外ETF バンガード・米国一般消費財・サービス・セクターETF (VCR) 0.10% 4870億円 19年 -25.8 17.2 21.5 0.8
21 海外ETF iシェアーズ グローバル・ヘルスケア ETF (IXJ) 0.46% 5820億円 21.2年 8.8 17.1 16.3 1.1
22 海外ETF SPDR S&P500 ETF (SPY) 0.09% 46.7兆円 30年 -6.3 17 17.4 1
23 国内ETF 上場インデックスファンド 米国株式(S&P500) (1547) 0.15% 340億円 12.2年 -6.2 16.9 17.2 1
24 海外ETF 資本財セレクト・セクター SPDR ファンド (XLI) 0.13% 1.8兆円 24.1年 8.1 16.9 20.2 0.8
25 海外ETF iシェアーズ S&P 100 ETF (OEF) 0.20% 9320億円 22.2年 -9.6 16.8 17.5 1
26 海外ETF バンガード・ラッセル1000 ETF (VONE) 0.08% 4690億円 12.3年 -7.4 16.8 17.7 1
27 海外ETF SPDR ダウ工業株平均 ETF (DIA) 0.16% 3.9兆円 25年 6.4 16.7 17.9 0.9
28 海外ETF バンガード・ラッセル3000 ETF (VTHR) 0.10% 2000億円 12.3年 -7.5 16.7 17.8 0.9
29 投資信託 バンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンド (VTSMX) 0.17% 30.7年 -8 16.7 17.9 0.9
30 海外ETF 金融セレクト・セクター SPDR ファンド (XLF) 0.13% 4.2兆円 24.1年 2.4 16.7 22 0.8
31 国内ETF NEXT FUNDS ダウ工業株30種平均株価 連動型上場投信 (1546) 0.45% 150億円 12.4年 6.6 16.6 17.6 0.9
32 海外ETF パワーシェアーズ グローバル クリーンエネルギー ポートフォリオ (PBD) 0.75% 260億円 15.6年 -19.5 16.6 26.5 0.6
33 海外ETF バンガード・米国メガキャップ・バリューETF (MGV) 0.07% 7920億円 15.1年 13.1 16.5 17.3 1
34 海外ETF バンガード・トータル・ストックマーケット ETF (VTI) 0.03% 34.3兆円 21.6年 -7.9 16.5 17.8 0.9
35 海外ETF バンガード・米国増配株式ETF (VIG) 0.06% 8.6兆円 16.7年 3.3 16.4 16.3 1
36 海外ETF バンガード・米国バリューETF (VTV) 0.04% 13.2兆円 19年 12.1 16.3 17.6 0.9
37 海外ETF SPDR S&P 米国高配当株式ETF (SDY) 0.35% 3.1兆円 17.2年 15.4 16.2 16.9 1
38 海外ETF バンガード・米国金融セクターETF (VFH) 0.10% 1.1兆円 19年 0.4 16.2 21.8 0.7
39 海外ETF バンガード・米国資本財・サービス・セクターETF (VIS) 0.10% 4800億円 18.3年 4.7 16.2 20.5 0.8
40 海外ETF 一般消費財セレクト・セクター SPDR ファンド (XLY) 0.13% 1.7兆円 24.1年 -27 16.2 20.7 0.8
41 海外ETF バンガード・米国高配当株式ETF (VYM) 0.06% 6.6兆円 16.2年 14 15.8 16.9 0.9
42 海外ETF 生活必需品セレクト・セクター SPDR ファンド (XLP) 0.13% 2.3兆円 24.1年 13.5 15.7 15.5 1
43 海外ETF iシェアーズ 好配当株式 ETF (DVY) 0.39% 3.1兆円 19.2年 16.5 15.6 17.4 0.9
44 海外ETF iシェアーズ・コア S&P 中型株 ETF (IJH) 0.05% 8.4兆円 22.7年 -0.5 15.6 19.8 0.8
45 海外ETF バンガード・米国ミッドキャップETF (VO) 0.04% 6.6兆円 19年 -7 15.6 18.7 0.8
46 海外ETF バンガード・米国ミッドキャップ・グロースETF (VOT) 0.07% 1.2兆円 16.4年 -18.6 15.6 19 0.8
47 海外ETF バンガード・S&Pスモールキャップ600グロースETF (VIOG) 0.16% 640億円 12.4年 -9.7 15.5 21.3 0.7
48 海外ETF バンガード・米国生活必需品セクターETF (VDC) 0.10% 8830億円 19年 12.4 15.4 15.4 1
49 海外ETF バンガード・S&Pミッドキャップ400 ETF (IVOO) 0.10% 1890億円 12.4年 -0.6 15.3 20 0.8
50 投資信託 バンガード・スモール・キャップ・インデックス・ファンド (NAESX) 0.24% 62.3年 -5.8 15.3 20.6 0.7
51 海外ETF バンガード・S&Pミッドキャップ400バリューETF (IVOV) 0.15% 1020億円 12.4年 6.2 15.1 24.6 0.4
52 海外ETF 公益事業セレクト・セクター SPDR ファンド (XLU) 0.13% 2.1兆円 24.1年 16.1 15.1 17.1 0.9
53 海外ETF バンガード・S&Pミッドキャップ400グロースETF (IVOG) 0.15% 940億円 12.4年 -7.4 15 19.4 0.8
54 海外ETF バンガード・S&P500バリューETF (VOOV) 0.15% 4060億円 12.4年 8.3 15 17.9 0.8
55 海外ETF バンガード・米国公益事業セクターETF (VPU) 0.10% 7450億円 19年 15.7 15 16.8 0.9
56 海外ETF iシェアーズ・コア S&P 小型株 ETF (IJR) 0.06% 8.6兆円 22.7年 -4.1 14.8 21.7 0.7
57 海外ETF バンガード・米国スモールキャップ・バリューETF (VBR) 0.07% 3.2兆円 19年 3.7 14.7 21.3 0.7
58 海外ETF ウィズダムツリー エクイティ・インカム・ファンド (DHS) 0.38% 1940億円 16.6年 23.6 14.6 16.7 0.9
59 海外ETF バンガード・ラッセル1000バリュー株ETF (VONV) 0.08% 8990億円 12.3年 5.7 14.6 18 0.8
60 国内ETF NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信 (1626) 0.32% 13億円 14.8年 -6 14.5 14.9 1
                   

 

今回は、表の中から10年リターン・シャープレシオの高いETFを中心に、個別ETFをピックアップして紹介する。

S&P500連動ETFをリターン、シャープレシオで上回っているか、組み合わせることで分散の面でメリットがあるETFを選出した。投資先選びの参考にして頂きたい。


1.リターンとシャープレシオが高いETF15選

1)マーケット・ベクトル 半導体ETF (SMH)

SMH5年チャート

 

信託報酬0.35%、年率平均リターン27%、年率平均リスク24.4%、シャープレシオ1.1
組み入れ上位
TSMC    11.87%
エヌビディア    9.52%
ASML    5.29%
ブロードコム 5.05
クアルコム 4.99

半導体セクターを中心に、米国で上場する時価総額および流動性の高い企業に投資するETF
リターン1位の「Direxion デイリー 米国金融株 ブル3倍 ETF (FAS)」がレバレッジETFなので、本ETFが実質的なリターントップだ。年率27%という驚異的なリターンを誇る。
AI、自動運転などで今後、半導体需要が増加すると予想されており、長期的な成長が見込める。また、去年23.9%も下落しており、割高感は解消されている。
SMHを買うことで、他のETFにはほとんど入っていないTSMCポートフォリオに組み込むことができる。
欠点は値動きの荒さ。半導体出荷額は景気に左右される景気敏感株であるため、去年のように景気の悪化が見込まれる局面では株価が大きく下落する。TSMCのウェイトが高いので台湾有事リスクもある。


2)バンガード情報技術ETF(VGT)

信託報酬0.10%、年率平均リターン22.9%、年率平均リスク20.2%、シャープレシオ1.1
組み入れ上位
アップル    20.40%
マイクロソフト    18.09%
エヌビディア    3.88%
ビザ 3.39%
マスターカード 3.20% 

米国を中心としてコンピューターやソフトウエア、インターネット企業に投資するETF
米国11セクターの内、ハイテク株を集めた情報技術セクターに投資するETFで、11セクター中最もリターンが高い。
組み入れ上位を見れば分かる通り、GAFAMの中でも特に優良企業であるアップルとマイクロソフトのウェイトが非常に高い。
欠点はアップルとマイクロソフトのウェイトが高すぎることで、どちらかの業績が低迷した場合のダメージが大きい。

リターン4位の「テクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド(XLK)」の組み入れ銘柄はVGTとほぼ同じだ。信託報酬が0.13%とVGTよりやや高く、リターンでもわずかに劣っているので、あえてXLKを選ぶ理由はない。


3)iシェアーズ グローバル・テクノロジー ETF (IXN) 

信託報酬0.46%、年率平均リターン21%、年率平均リスク19.6%、シャープレシオ1.1
組み入れ上位
アップル    19.24%
マイクロソフト    16.52%
エヌビディア    4.41%
ビザ 3.28%
マスターカード 2.86% 

世界の大型テクノロジー株に投資するETF
組み入れ上位を見るとVGTと同じに見えるが、6位にTSMC、8位にサムスン電子が入っている。
欠点は信託報酬が高いこと。TSMCサムスンを2-3%ずつ組み入れるためにVGTより0.35%も高い信託報酬を払うのは割高に感じる。


4)パワーシェアーズ QQQ (QQQ)

信託報酬0.20%、年率平均リターン20.9%、年率平均リスク19.7%、シャープレシオ1.1
組み入れ上位
アップル 11.90%
マイクロソフト 11.72%
アルファベット7.95%
アマゾン 6.41%
エヌビディア 4.01%

ナスダック上場企業から金融を除いた上位100社から構成されるナスダック100指数に連動するETF
GAFAMに加え、エヌビディア、テスラといった米国のハイテク大手が全部入っている。GAFAMはアップルとマイクロソフトが情報技術、グーグルとメタがコミュニケーションサービス、アマゾンが一般消費財とセクターが分かれているが、QQQなら全部まとめて買うことができる。
欠点はハイテク大手のウェイトが高いこと。去年はテスラとメタが大きく下落したため、VGTよりQQQの方が大きく下落した。

ナスダック100指数は人気が高いため、日本円でも買うことができる。
リターン6位のNEXT FUNDS NASDAQ-100 連動型上場投信 (1545、信託報酬0.45%)に加え、より信託報酬が安いMAXISナスダック100上場投信 (2631、信託報酬0.22%)もある。

リターン12位のバンガード・米国メガキャップ・グロースETF (MGK)は構成銘柄がQQQと非常に近い。信託報酬はQQQより安いが、リターンでは劣後している。


5)ヴァンエック・リテールETF(マーケット・ベクトル 小売ETF) (RTH)

信託報酬0.35%、年率平均リターン19.5%、年率平均リスク18.2%、シャープレシオ1.1
組み入れ上位
アマゾン    22.05%
ホームデポ    7.81%
ウォルマート    6.27%
コストコ    5.65%
ロウズ    4.96%

小売事業の収益が全収益の50%以上を占める米国上場企業で構成されるMVIS U.S. Listed Retail 25指数に連動するETF
VCRのような一般消費財セクターETFだとテスラが入るが、RTHは小売業に絞った銘柄で構成されている。
小売業は不況でも一定の収益は見込めるので、比較的値動きが安定している。
欠点はアマゾンのウェイトが高いこと。VCRと比べると信託報酬も高い。
テスラはもうダメだと思う人はRTH、復活すると思う人はVCRを買うのが良いだろう。


6)ヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド(XLV)

信託報酬0.13%、年率平均リターン19.4%、年率平均リスク17.3%、シャープレシオ1.1
組み入れ上位
ユナイテッドヘルス    9.00%
ジョンソンエンドジョンソン 8.72%
メルク    5.52%
イーライリリー    5.35%
アッヴィ    5.21%

ヘルスケア・セレクト・セクター指数に連動するETF
米国は医療費が高額なため、ヘルスケアは巨大産業となっている。
情報技術、一般消費財と並ぶ米国3強セクターの一角で、最も安定した値動きを誇る。
欠点は政策変更リスクがあること。医療保険分野はオバマケアで成長したので、共和党政権交代すると逆風になる。
10位のバンカード・ヘルスケアETFも構成銘柄はほぼ同じ。リターンではXLVが、信託報酬ではVHTが勝っている。


7)マーケット・ベクトル バイオテクノロジーETF (BBH)

信託報酬0.35%、年率平均リターン18.9%、年率平均リスク23.4%、シャープレシオ0.8
組み入れ上位
アムジェン 11.3%
ギリアド・サイエンシス 8.14%
バーテックス・ファーマシューティカルズ 7.12%
モデルナ 5.97%
IQVIホールディングス 5.32%

バイオテクノロジー企業に投資するETF
リターンは高いが、それ以上にリスクも高い。
製薬株は新薬開発に巨額の費用がかかり、承認されるかどうかで株価が乱高下するため、投資が難しい。
バイオテクノロジー企業はヘルスケアETFに含まれているので、強いこだわりがない限り、わざわざバイオテクノロジー株だけ抜き出して投資する必要はない。


8)バンガードS&P 500グロースETF(VOOG)

信託報酬0.10%、年率平均リターン18.1%、年率平均リスク18.2%、シャープレシオ1
組み入れ上位
アップル 11.62%
マイクロソフト 6.20%
アルファベット5.97%
ユナイテッドヘルス 2.96%
エクソンモービル 2.72%

S&P500 Growth Indexに連動するETF。S&P500構成銘柄の内、グロース株のみに投資する。
エクソンモービルがグロース株というのは違和感があるが、3年間の1株当たり利益成長率等から機械的に選定しているためである。
信託報酬が安いのは魅力だが、業績に波がある企業が一時的な業績の好転で組み入れられてしまうという欠点がある。


9)iシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF (ICLN)

信託報酬0.46%、年率平均リターン17.5%、年率平均リスク26.3%、シャープレシオ0.7
組み入れ上位
エンフェーズ・エナジー 7.34%
ソーラーエッジテクノロジー 6.40%
ファースト・ソーラー 6.31%
イベルドローラー 5.92%
コンソリデーテッド・エジソン 5.71%

S&Pグローバル・クリーンエネルギー株指数に連動するETF。太陽光、風力発電等の企業に投資する。
クリーンエネルギー分野は長期的に有望だが、期待先行で株価が上がっている側面があり、コロナショックでは大暴落した。
SMHよりリスクが高く、買うタイミングが非常に重要になる。


10)バンガード・S&P 500 ETF (VOO)

信託報酬0.03%、年率平均リターン17.5%、年率平均リスク17.4%、シャープレシオ1
組み入れ上位
アップル 6.03%
マイクロソフト 5.55%
アルファベット 3.10%
アマゾン 2.31%
バークシャー・ハサウェイ 1.73%

S&P500指数に連動するETF
グロース株からバリュー株まで幅広い500銘柄によって構成されているため非常に分散が効いている。かのウォーレン・バフェット氏が妻に、自分の死後はS&P500連動ETFで運用せよと言ったことでも有名。
0.03%という圧倒的経費率の低さも他の追随を許さない。
S&P500指数に連動するETFにはより運用期間が長いSPYもあるが、VOOの方が信託報酬が安い。
米国を代表する指数だけあって、円建て商品も投資信託ETF共に多数存在する。


11)ヴァンエック・モーニングスター・ワイド・モートETF(MOAT)

信託報酬0.49%、年率平均リターン17.3%、年率平均リスク18.4%、シャープレシオ0.9
組み入れ上位
ボーイング 3.05%
メルカドリブレ 2.88%
バイオジェン 2.72%
テラダイン 2.70%
エッツィ 2.66%
モーニングスターの調査に基づき、掘を持ち持続的競争力のある割安銘柄へ投資するETF
他のリターン上位ETFと構成銘柄が全然違うユニークなETF
競合他社が市場を奪えない独自の強み、ウォーレン・バフェットが言う所の「堀(ワイドモート)」を持つ企業に投資する。
他と組み入れ銘柄が全然違うので、組み入れることでリスクを分散できる。
欠点は信託報酬が高めなこと。リターンもS&P500に若干劣後している。


12)バンガード・トータル・ストックマーケット ETF (VTI)

信託報酬0.03%、年率平均リターン16.5%、年率平均リスク17.8%、シャープレシオ0.9
組み入れ上位
アップル 5.17%
マイクロソフト 4.71%
アルファベット 2.60%
アマゾン 1.92%
バークシャー・ハサウェイ 1.37%

3500以上のあらゆる時価総額の米国株を保有するETF
株には小型株ほどリスクが高い分平均リターンが高くなるという小型株効果があることが知られており、小型株を多く含むVTIはVOOより高いリターンを上げられるはずなのだが、ここ10年のリターンは負けている。GAFAMに代表される大型株のパフォーマンスが良いからだ。
VOOより分散性の面で勝っているということはすなわちハイテク大手のウェイトが低いということでもある。分散するほど良いかどうかは微妙だ。
円建てでは楽天・全米株式インデックス・ファンドとSBI・V・全米株式インデックス・ファンドが連動している。


13)バンガード米国増配株式ETF(VIG)

信託報酬0.06%、年率平均リターン16.4%、年率平均リスク16.3%、シャープレシオ1.0
組み入れ上位
ユナイテッドヘルス 4.12%
ジョンソンエンドジョンソン 3.84%
マイクロソフト 3.43%
JPモルガンチェース 3.27%
P&G 3.02%

10年間連続増配を続ける米国の中・大型株に投資するETF
10年間連続増配を続けているということは利益が安定的に成長している優良企業ということを示しており、暴落に強い。
リターンではVOOに劣っているがリスクの低さでは勝っている。


14)生活必需品セレクト・セクター SPDR ファンド (XLP)

信託報酬0.06%、年率平均リターン16.4%、年率平均リスク16.3%、シャープレシオ1.0
組み入れ上位
P&G 14.76%
コカ・コーラ 10.42%
ペプシコ 10.41%
コストコ 9.55%
フィリップモリス 4.7%

米国の大型生活必需品株に投資するETF
生活必需品は不況時でも売れるため暴落に強く、値動きが安定している。その分、リターンはVOOに劣後している。
XLPはバンガードのVDCに信託報酬では劣っているが、リターンでは上回っている。


15)NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信 (1626)

信託報酬0.32%、年率平均リターン14.5%、年率平均リスク14.9%、シャープレシオ1.0
組み入れ上位
NTT    10.65%
任天堂    7.68%
ソフトバンクグループ    7.20%
リクルートホールディングス    6.99%
KDDI    6.79%

TOPIX構成銘柄の内、情報通信・サービスセクターの株に投資するETF
業績が安定している通信株やハイテク成長株を多く含み、リターンが日本株ETF最強なのに低リスク。シャープレシオは1とVOOと同レベルを誇る。
日本株保有しておきたいが、TOPIX日経平均のリターンやシャープレシオは不満だという方におすすめ。


2.どのように組み合わせるか

ETFを組み合わせる際はできるだけ銘柄の重複を避けたい。
例えば、QQQ+VGTのような買い方をすると、アップルとマイクロソフトのウェイトがやたら高くなってしまう。
主な組み合わせを例示する。

1)VOO+QQQ
S&P500より高いリターンを狙うための最もシンプルな方法。
QQQは広範な成長株を含んでいるため、基本的にはVOO+QQQで十分である。
VOOとQQQは共に円建て投資信託ETFが存在し、ドル転しなくても買えるという点も大きい。

2)VOO+VGT
どうせ買うならQQQより過去のリターンが高いVGTの方が良いだろうという戦略。
VGTはSBI証券で購入手数料無料なので買いやすい。

3)VOO+QQQ+SMH
私がやっている戦略。SMHは非常にリターンが高いため、少量トッピングしている。
VOO+VGT+SMHでも良い。

4)QQQ+VIG
米国株ブロガーのもみあげ氏が推奨されていた組み合わせ。
QQQとVIGは銘柄重複が15%しかなく、成長株と連続増配株を組み合わせることで、バランスの良いポートフォリオを構成できる。

5)VGT+VHT+VCR
米国の3強セクターを組み合わせる戦略。セクター別ETFの組み合わせは、全く銘柄重複がないというメリットがある。
不況期に強いヘルスケア、回復期に強い情報技術、好況期に強い一般消費財を組み合わせることで互いの欠点を補い合うことができる。

6)SMH+VGT+RTH+XLV
シャープレシオ1.1で銘柄重複の少ないETFを組み合わせた攻撃的なポートフォリオ
理論的には最もシャープレシオが高くなりそう。

7)SMH+VGT+VCR+VHT+ICLN+MOAT+VIG+VDC+1626
傾向の違うETFを全部合わせて分散を利かせた組み合わせ。
ここまでやるとVOOとあまり変わらない気もする。