2019年テレビアニメベスト10は2019年の年末に書いて発表した。
だが、その後に放送された『慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~』の最終回が滅茶苦茶感動的だった。これを観てから選定していれば、絶対ベスト10入りの出来で、やはり秋アニメも最後まで観てから選定しないとダメだと痛感した。
そこで2020年テレビアニメベスト10は年が改まってから発表することにした。そうしたら発表がこんなに遅くなってしまった。締め切りがないのも考えものである。
1)神様になった日 (原作・脚本:麻枝准、監督:浅井義之、アニメーション制作:P.A.WORKS)
原作脚本を麻枝准氏が務める一夏の思い出を描いた作品。平凡な高校生成神陽太の前に、全知の神を名乗る少女ひなが現れたことで騒動が巻き起こる。テンポの良いキレキレの演出で見せる夏のシーンと、しっとりとした冬のシーンのコントラストが鮮やか。
2)ゴールデンカムイ(第3期)(原作:野田サトル、監督:難波日登志、アニメーション制作:ジェノスタジオ)
大人気冒険活劇アニメの第3期。ひたすら下らないスチェンカの話があったかと思うと、痛切な回想話が入り、はたまた息詰まるスナイパーの銃撃戦があったりと、話の振れ幅がすごい。主要キャラが死ぬかもしれないと話が引き締まる。
樺太はかつて日本だった所なのに、北海道アイヌとはちょっと違う少数民族が住んでいたことなど何も知らなかった。調べたことをきっちりエンタメに落としこんでいるのに感心した。
原作者の筋骨隆々なタフガイ好きが高じて、女性キャラまで筋骨隆々なタフガイになっていて笑った。そのうちアシリパさんも筋骨隆々になるのではないか。
3)波よ聞いてくれ(原作:沙村広明、監督:南川達馬、アニメーション制作:サンライズ)
ラジオ局とカレー屋が舞台の色んな要素が詰め込まれたアニメ。特に階下の住人の心霊騒動を描いた第7話は伏線の貼り方が完璧で素晴らしい。
ヒロインみなれのキャラが強い。アニメのヒロインって、強くてもどこかオタク男にとって好ましい所があるものだが、みなれは男ウケなど知るかという感じで振り切って造形されている。おかげで、視聴者の意表を突くようなトラブルが巻き起こって、楽しい。
日本のアニメは欧州人から見るとティーン向けばかりという指摘があって、首をひねっていたのだが、ヒロイン造形の点では一理あるのではないか。本作ははっきり大人向けアニメと言って良いだろう。
4)デカダンス(監督:立川譲、アニメーション制作:NUT)
人類が怪物のような生命体ガドルと戦う話かと思いきや、さらに凝った設定になっているSFアニメ。
ヒロインナツメが表情豊かで前向きですごく魅力的だ。カトゥーンっぽい絵柄なので見逃しているオタクが多そう。もうちょっと萌え寄りの絵柄だったら大人気になったのではないだろうか。
かなり奇妙な設定なのだが、ミッドポイントで奈落に落ちてそこから這い上がっていくなど、ストーリー展開は王道で、ベタの強さを感じる。
5)ケンガンアシュラ(原作:サンドロビッチ・ヤバ子、だろめおん、監督:岸誠二、アニメーション制作:LARX ENTERTAINMENT)
Netflixで世界的にヒットしている格闘アニメ。観るとアドレナリンがドバドバ出るので、ヒットするのも納得である。
原作者が格闘家らしく、実際に組手をしてから描いているのだと言う。世界中のあらゆるスタイルの格闘術が登場して飽きさせない。
普通、トーナメントでは、主人公と関係ない試合は適度に端折るものだが、本作は全試合しっかりやるので、ほとんどの回で主人公以外が試合をしている。主人公の試合は9割方主人公が勝つのに対し、脇役同士の試合はどちらが勝つか全く分からないので、手に汗を握る展開が続く。むしろ主人公なんかいない方が良いのかもしれない。
6)呪術廻戦(原作:芥見下々、監督:朴性厚、アニメーション制作:MAPPA)
ポスト『鬼滅の刃』の呼び声高い人気作。『鬼滅の刃』がどのキャラも可愛いのに対し、『呪術廻戦』はどのキャラも格好良い。主要キャラが音楽に合わせて踊るエンディングとか格好良すぎでしょう。
「『愛の反対は無関心』が日本では『好きの反対は無関心』に変わった」等、すごく哲学的な所があり、何のために生きているのか考えさせられる。
余談だが、我が家のレコーダーはダブ録ができない。『呪術廻戦』は『トニカクカワイイ』と放送時間が被っていたので、毎回頭が少し欠けている。番組はきっちり0分と30分から始めるようにして欲しい。
7)GREAT PRETENDER(監督:鏑木ひろ、アニメーション制作:WIT STUDIO)
詐欺師集団が悪党を罠にかけて大金を巻き上げるコンゲームもの。ちょっと都合が良すぎる気もするが、とにかくエンターテイメントに徹していて、コロナ禍に見るには最適である。
詐欺師集団が悪者を騙す話は結構あるが、主人公エダマメの存在がユニークだ。エダマメは毎回暴走して、結果的にローラン達の妨害をしている。詐欺をする上では邪魔者だが、話を予測不可能な面白いものにする上では不可欠なのだ。
8)放課後ていぼう日誌(原作:小坂泰之、監督:大隅考晴、アニメーション制作:動画工房)
女子高生が釣りをするアニメ。まったり見れるし、釣りうんちくとしても面白い。
陽渚と夏海が探り探り友情を深めていく様がこそばゆくてたまらない。
細かい感情を丁寧に書いていくと、劇的なことが起きなくても面白いのだということを示しているという点で、ゆるキャン△に通じるものがある。
9)メジャーセカンド 第2シリーズ(原作:満田拓也、監督:渡辺歩、アニメーション制作:OLM)
女子部員が多い中学野球部が舞台の話。中学生らしくみんなすごく不完全な所がよい。キャプテンの大悟は人格者だったのが突如投げやりになったりして面食らうが、中学生の精神状態としてはリアリティがある。
本作は才能がない奴はどうすれば良いのかをテーマにしている。中学生はちょうど男女の体格差が顕著になる時期であり、覆し難い持って生まれたものの差が登場人物達に突きつけられる。
この難しいテーマにどう決着をつけるのか続きが楽しみだ。
10)乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった... (原作:山口悟、監督:井上圭介、アニメーション制作:SILVER LINK.)
悪役令嬢モノの代表作。主要キャラが良い人ばかりなのでノーストレスで見ることができる。
話題作で言うと『映像研には手を出すな』は他のアニメと被っていて録画していなかったため観ていない。NHKだからどこかで再放送するだろうと思っていたら、全然しなかった。乞う再放送。