東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)のよろず評論サイトです。

1/4イールドスプレッドの提唱

PERかイールドスプレッドか、それが問題だ。

株の割安さを測る指標としてはPER(益利回りの逆数)とイールドスプレッド(S&P500益利回り-米10年国債利回り)がある。東雲製作所ではどちらの指標が有効なのかを何度か記事にしてきた。

shinonomen.hatenablog.com

PERは株に投資すると何年で元本を回収できるかを示す指標だ。一方、イールドスプレッドは、益利回りと国債の利回り差を示す。安全な国債利回りが低ければ、益利回りが低くても仕方なく株を買うだろうという考えを元にしている。

S&P500益利回り、米10年国債利回り、イールドスプレッドの2017年からの推移を示す。

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米国債利回りが低下してもイールドスプレッドは以前と同水準までは下がっていない。
米国債利回りが3%前後だった2018年にはイールドスプレッドは3%前後で推移しているが、米国債利回りが低下した2019年は3.5%前後になっている。
イールドスプレッドは株の割安さの指標として役に立たない。

イールドスプレッドは運用先がS&P500と10年米国債しかないことを想定している。だが、実際は米国債以外にもディフェンシブな高配当株やリートなど、様々な投資対象が存在する。米国債利回りが株の割安さにダイレクトに影響するという想定には無理がある。

ただし、米国債利回りが株の割安さに全く影響しないわけではない。S&P500の益利回りを見ると、若干右下がりの傾向がある。つまり、米国債利回りの低下が株の割安さに多少影響していることが示唆される。

2018年1月と2020年1月に株の割高さが原因で調整が入っている。両調整時の値が同じになるよう米10年国債利回りのウェイトを計算すると、下記のようになる。

5.058-1.877x=5.195-2.476x
0.559x=0.137
x=0.245

米国債利回りのウェイトは約0.25。つまり米国債利回りを1/4にして益利回りから引けば、適切な割安さの指標になるということだ。

S&P500益利回り-1/4×米10年国債利回りを「1/4イールドスプレッド」と命名する。

前掲のグラフに1/4イールドスプレッドを加えたグラフを示す。

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イールドスプレッドが右肩上がり、益利回りが若干右肩下がりになっているのに対し、1/4イールドスプレッドは概ね水平になっており、割安さの指標として適切であることが示唆される。

1/4イールドスプレッドの過去の中央値は5.1なので、5.1程度が適正値だ。
現在の1/4イールドスプレッドは4.659なので割高と言える。
4/17の米10年債利回りは0.642%なので、
5.1-1/4×0.642=4.940 すなわちPER20.24程度が適正値だ。

また、1/4イールドスプレッドが4.6を切ると調整リスクが高まる。
4.6-1/4×0.642=4.440 すなわちPER=22.52を超えると危険だということだ。

1/4イールドスプレッドには二つ問題がある。
第一に国債利回りのウェイト1/4は2つのデータのみから推計しているということだ。ゼロ金利付近でも効き方が同程度であるという保証はない。
第二の問題は私が勝手に言い出しただけなので市場関係者は誰も1/4イールドスプレッドを意識していないということだ。PERのように意識されている指標の方が値動きに影響を及ぼしやすい。


現在のS&P500の予想PER 20.75は1/4イールドスプレッド的にやや割高だ。ただし、今後本格化する決算発表で下方修正が相次ぐだろうことを見込むとかなり割高だ。
S&P500の実績PERは22.10であり、現在の予想PERは去年より増益を見込んでいる。常識的に考えて増益するなどありえないだろう。
今年の企業収益が去年と同程度という甘い見通しでもPER22.10なので、下方修正が相次げば危険ラインのPER=22.52を超えてもおかしくない。今後1年だけの利益を見れば米国株は既にかなり割高である。

長期的に利益が元に戻ることを考えれば割高ではないので、二番底への備えができている長期投資家は売る必要はない。
だが、現金比率が低くて急落が来ても身動きが取れない人は、少し売っておいても良いのではないだろうか。

 

チコちゃんは人間が小さい

チコちゃんに叱られる!』を楽しみにしている。視聴者の多くはチコちゃんが「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とゲストを叱りつけるのを楽しみにしているのだろうが、私はゲストに正解を言い当てられて「つまんねー奴だなぁ」と不貞腐れているのを見るとすっきりする。
私がすっきりする理由。それはチコちゃんが人間として小さいからだ。

1.専門家の受け売りのくせに威張っている
「初耳学」などに出演している林先生も威張っているが、彼は自分で調べた結果として博識なので威張るだけのことはある。
一方、チコちゃんは番組スタッフが専門家から聞いてきた情報を事前に教えてもらっただけなのに威張っているのがみっともない。カンニングをして100点を取って威張っているようなものだ。

2.人を批判してばかりだ
チコちゃんは不勉強な大人を「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱りつける。であるなら、正解を出した時は、「きちんと生きている。お見それしました。」などと言うのが筋だ。
しかし、実際は正解しても「つまんねー奴だなぁ」などと難癖をつけて批判している。
何をやっても批判するダメなブクマカみたいな奴だ。

3.勝てそうな奴とばかり戦っている
以前、八嶋智人氏がゲスト出演したことがある。氏は二回中二回とも正解し、チコちゃんを完膚なきまでに叩きのめした。私にとっては神回だ。
チコちゃんが骨のある人間なら、次こそは八嶋氏をぎゃふんと言わせてやるぞと、さらなる難問を用意してリターンマッチを挑むはずだ。だが、私の知る限り、八嶋氏は二度とゲストに招かれていない。
八嶋氏の様な剛の者からは逃げ、大竹まこと氏のようなめったに正解しない人は何度も招く。格下の相手とばかり戦っているボクサーのようなものだ。

このように、チコちゃんは態度はでかいくせに人としての器は小さい。まさに小人と言えよう。

www.nhk.jp

安値で買って高値で売る方法

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S&P500は最高値から30%以上も下落した。現在は少し戻しているがまだまだ予断を許さない状況だ。
こんな時に思うのが、暴落前の高値で売って、暴落後に買い戻せば大儲けできたのにということだ。
もし全知全能の神であれば、2018年末の底値に全力で買って2020年2月の高値で全て売り払い、この度の暴落の底を見極めて全力で買えばボロ儲けができる。
だが我々は神ではない。今から過去のチャートを眺め、2020年2月上旬の段階で全部売った方が良かったと言うのは結果論にすぎない。
今後同じような暴落が来た時に上手く回避するためには、神のような売買を明文化された売買ルールに落とし込む必要がある。
安値で買って高値で売るには大きく分けて二つの方法がある。順張りと逆張りだ。


1)移動平均線を上抜いたら買い、下抜いたら売る。(順張り法)

移動平均線を上抜いたら買い、下抜いたら売る。」というのはチャート分析の基本的な売買法だ。
私はこの手法を安くなってから売り、高くなってから買う愚かな手法だと馬鹿にしていたのだが、このような大暴落を経験してみると、大怪我をしないという意味ではなかなか優秀な売買法ではないかと考えを改めた。

2016年1月からS&P500に対し、200日移動平均線を2%以上上抜いたら買い、下抜いたら売ると下記のようになる。
2016/03/30 2063.95$ 買い
2018/10/24 2656.10$ 売り
2019/03/13 2810.92$ 買い
2020/02/27 2978.76$ 売り
2020/03/04 3130.12$ 買い
2020/03/06 2972.37$ 売り
リターン 602.24$
この売買をするには2370.13$が必要なので、4年間の利回りは25.4%となる。
この手法では移動平均線を抜いてトレンドが反転したと思ったらだましだった場合、持ち続けた場合より資金を浪費することになる。
例えば、2020/03/04の買いは結果的に不要な買いであり、157.75$損する結果となった。
とは言え、4年間の利回りは25.4%は持ち続けた場合の惨状を考えずとも上々の結果と言えよう。
この手法は大暴落から確実に途中で逃げられるという点では優秀だが、最安値、最高値付近では売買できないという欠点がある。順張りらしくローリスクローリターンな手法と言えよう。
また、下げる時は値動きが急なので、移動平均線を下抜けるのを確認してから売っていては間に合わず、押し目の底で売ってしまう可能性もある。


2)長期移動平均線の下方乖離が大きくなったら買い、上方乖離が大きくなったら売る。(逆張り法)

株価は移動平均線から大きく離れると近づく方向に動きやすいという性質がある。
2016年1月からS&P500に対し、200日移動平均線からの下方乖離が-10%になったら買い、上方乖離が+10%になったら売ると下記のようになる。
2016/02/11 1829.08$ 買い
2018/01/05 2743.15$ 売り
2018/12/20 2467.42$ 買い
2020/01/13 3288.13$ 売り
リターン 1734.78$
4年間の利回りは驚異の94.8%だ。
この手法は乖離率を上手く設定すれば、最安値付近で買って最高値付近で売ることができる点が最大のメリットだ。この例のように上手く決まれば1)の手法の4倍近い利回りを得ることができる。
逆に言うと、乖離率の設定をミスると安い時に買えず高い時に売れなくなってしまう。乖離率10%と設定して乖離率+9%から暴落したら売り逃してしまうし、乖離率が20%を超えるような大暴落になった場合は早めに買いすぎてしまう。
(売りで終わらないとリターンが計算できないため書かなかったが、今回の暴落では2020/3/11に2741.38$で買ってしまうことになる。)
逆張りらしくハイリスクハイリターンな手法と言える。


3)現実的な方法

2)のような方法はスパッと決まれば良いが、目論見が外れた時に悲惨なことになるのでリスクが高い。例えば、乖離率+10%になった後、0%ぐらいで下げ止まり、十年間の安定成長に入ったら、十年分の上げを取り逃がすことになる。
S&P500の200日移動平均線乖離率は、過去-39.65~20.62の間で変動している。通常時は投資可能資金中、株などのリスク資産60%のポジションを取っておいて、下記のような感じで変動させるのが現実的な方法だろう。
乖離率+20%になったらリスク資産の割合を30%にする。
乖離率+15%になったらリスク資産の割合を40%にする。
乖離率+10%になったらリスク資産の割合を50%にする。
乖離率  0%になったらリスク資産の割合を60%にする。
乖離率-10%になったらリスク資産の割合を70%にする。
乖離率-20%になったらリスク資産の割合を80%にする。
乖離率-30%になったらリスク資産の割合を90%にする。
乖離率-40%になったらリスク資産の割合を100%にする。
 
乖離率が大きくなると乖離率が減る方向に動きやすいというのはあくまで確率であり、100%そちら側に動く訳ではない。
予想が外れても対応できるようにしておくことが肝要だ。

美帆さんの母親陳述感想―N=1は十分強い

相模原障害者施設殺傷事件で植松聖被告に死刑判決が下った。
裁判で印象深かったのが、被害者美帆さんのお母さんの陳述だ。

web.archive.org

文章強度に圧倒された。これほど力強く心に訴えかける文章は読んだことがない。
なぜ、この文章がこれほど力があるのか。それは、本当のことしか書いてないからだ。

美帆さんがいろいろな曲を聴いてノリノリで踊っていたこと。すーっと人の横に来て挨拶をして、前から知り合いのように接していたこと。殺された体が一生忘れることのできない冷たさだったこと。全て本当のことだ。
本当のことしか書いてないから説得力がある。反論を差し挟む余地がない。
唯一、植松被告がかわいそうな人だと言った個所は想像だが、そこもそう思ったということは事実だ。
自分の人生を題材にすれば誰でも一作は傑作小説が書けると言われるが、実感のこもった真実は何より強い。

植松被告の主張は「意思疎通がとれない者は周囲の人を不幸にする」というものだ。美帆さんのお母さんは具体的事実を積み上げて不幸ではないという反例を示し、植松被告の主張を論破した。
それに対して記者から問われた植松被告は「不幸に慣れただけで幸せではないと思う」と答えている。これは自説に合わないデータの存在を指摘された科学者が、検証もせずに「データの取り方が悪いだけだ」と言っているようなものだ。真実を探求することより自説を守ることの方が大事だと白状しているようなものではないか。


植松被告もいくつか手記を発表している。

ironna.jp

植松被告の文章は一面の真実を突いていると評価する人もいる。だが、私から見れば美帆さんのお母さんが指で弾いただけで崩れ落ちる程ペナペナだ。

植松被告の文章は何ひとつ本当のことが書かれていない。植松被告も障害者施設で働いていた経験があるのだから、その時に感じた気持ちには本当のものがあったはずだ。
植松被告の文章に書かれているのは「意思疎通がとれない者を安楽死させる」というような抽象的結論だけであり、そういう考えを持つきっかけとなった具体的エピソードが欠落している。
番犬の鳴き声が憎しみに満ちていたなどという文学的表現に逃げず、入所者からこんなことをされて憎しみを抱いた、仕事がきついというような泥臭い事実を書くべきだ。
具体的事実の裏づけがないため、植松被告の文章は結論だけが書いてある論文のように説得力がない。

人は誰しもN=1(サンプル数1)ではなく普遍性のあることを訴えたいという欲求を持っている。植松被告が具体的エピソードを書かなかったのも、N=1のエピソードなど価値がないと思ったからかも知れない。

だが、美帆さんのお母さんの文章を読めば分かるように、N=1は十分強い。N=1のままで十分に価値があるし、普遍化する必要などない。
個々の事例から普遍的結論を導こうとすると、どうしてもいくらかの真実がこぼれ落ちる。人間は多様であるし、人の感情は一様ではない。

私にも認知症の母がいるので植松被告の問題提起は人ごとではない。部屋が散らかっていて眠れないと夜中の2時に起こされた時は殺意を覚えたし、訳の分からない話を延々聞かされるとイライラする。だが、私が作ったカレーラーメンを美味しいねえと言って夢中になって食べている様は可愛い。意思疎通がとれない者の家族が大変なのは確かだろうが、不幸だと決めつけるのは、人間と感情の多様性を無視しているが故に間違っている。

植松被告は自分がN=1の存在でしかないことに耐えられなかったのだろう。だが、自分がN=1でしかないことを受け入れ、そこから論を組み立てていかない限り、本当のことなど見出だせないのだ。

米国株の適正価格は投資期間によって異なる

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世界的な株の暴落が続いている。NY株式市場では下落率7%で取引中止になるサーキットブレーカーが3月に入って3回も発動した。
S&P500の最高値からの下落幅は17日時点で25.3%。16日には29.5%に達した。
このような乱高下相場ではバリュエーション(株式の適正価値)が意味を成さない。だが、いずれ市場が落ち着けば、株式は適正価格に落ち着くはずだ。
 
日経平均の適正価格を割り出すのは簡単で、PBR1.0倍の20252円だ。
これは日経平均を構成する全企業がトータルとして未来永劫全く利益を生み出さないという厳しすぎる仮定での適正値なので、日本経済がいくら消費増税新型コロナウイルスのダブルパンチでボロボロであろうとも、これより安ければ安すぎる。3/18時点で日経平均は16726.55円と適正値より17.4%も安い。
問題は米国株だ。


1.米国株の適正PER

S&P500の2018年からの平均予想PERは17.51だ。PER17.5ぐらいがS&P500の適正値だろう。
3/13のS&P500の予想PERは15.12と平均より13.65%安い。
ただし、現在の予想PERは新型コロナウイルスによる減益がほんとんど反映されていない。どの程度の減益が予想されるだろうか。


2.米国株の減益予想

新型コロナウイルスによる減益予想では、先行する中国が参考になる。
中国の1-2月の統計によると、
工業生産高は前年同期比13.5%減
社会消費品小売総額は前年同期比20.5%減
新型コロナウイルスの影響を受ける1-3月の売上高が両者の平均の17%減とすると、年間では4.25%減となる。
人件費のような固定費があるので、利益は売上以上の落ち込みとなる。

TKC経営指標速報版 製造業

上記のサイトによると製造業の固定費割合は平均33%、変動費51%だったので、
売上高100 固定費33 変動費51 利益16

売上高95.8 固定費33 変動費48.8 利益14 で12.5%の減益となった。
これは上海総合の高値からの最大下落率11.8%と概ね一致する。

www.chemicaldaily.co.jp


また、新型コロナ 緊急アンケート 中国事業、20年「減収減益」7割によると、
・「年央まで落ち込むが、下期にかけて回復。通年では若干の落ち込み」との回答が6割
・67%の企業が「減収減益」と予想。
・工場稼働率5割程度
とある。「若干の落ち込み」が具体的にどの程度か分からないが、12.5%よりは小さい感じがする。少なくともリーマンショックのような40%減益レベルではないだろう。

それでは米国の減益はどの程度だろうか。
中国はコロナショックの震源であり、2月中旬には2万人もの患者がいた。
普通に考えれば米国の減益幅は中国よりも小さくなるはずだ。
ただし、一切の経済活動を止めて徹底的に封じ込めを図った中国に対し、米国は対策が甘いし、国民皆保険でないため貧困層に蔓延すると収集がつかなくなるという指摘はある。
減益率は中国以下となる可能性が高いが、米国全土に爆発的に感染が拡大する最悪のケースでは、中国以上の減益になる可能性もある。
また、サウジアラビアの増産表明で原油価格が急落した悪影響も見逃せない。
シェールオイル企業は、ハイイールド債で大きな位置を占めているため、債務不履行を起こすと金融危機になるという指摘もある。
 
中国同様12.5%減益とすると、
3/13の予想PER15.12は利益が12.5%減るから、15.12÷0.875=17.28 となる。中国並みの減益になったとしても現在の株価は平均より割安だ。
3/13のS&P500の予想PER15.12が平均より13.65%安いということは、市場は13.65%の減益を織り込んでいる。
中国での新型コロナウイルスの減益を上回る減益だ。もちろんそうなる可能性もあるが、中国を超える被害が出ることは既に織り込み済みであり、それよりマシな結果になれば割安だと言える。


3.適正価格は投資期間によって変わる

今まで、株価は今後1年間の利益によって決まるという前提で話をしてきた。だが、市場にはデイトレーダーから永久保有の長期投資家まで様々なスパンの投資家がいる。
株式会社の利益は株主のものだ。
1年で売買する短期投資家は今後1年で会社が上げる収益を受け取るから、12.5%減益だと株価が12.5%下落する必要がある。
四半期で売買するさらに短期の投資家は今後3ヵ月分の収益しか受け取れない。もし中国と同程度の減益が発生すれば3ヵ月では50%の減益になる。それを考えれば、短期投資家が先を争って売っているのも納得がいく。
一方、10年間投資する長期投資家は今後10年分の収益を得られる。1年の12.5%減益しても得られる収益はトータルでは1.25%しか減らないからそれ以上株価が下落すれば割安になる。
市場を支配している機関投資家の多くは四半期からせいぜい一年毎に売買を繰り返す短期投資家であるから、株価は四半期毎の業績によって大きく変動する。
ウォーレン・バフェット氏は永続的に成長する優良企業の業績が一時的に悪化して株価が下落した時を狙って投資することで莫大な富を築いた。氏の投資手法は投資期間によって適正な株価が異なることを利用したものだ。

個人投資家の強みは機関投資家のように四半期毎に成果を示す必要がないことだ。
半年後になるか数年後になるかは分からないが、経済活動が元に戻れば株価は平均的PER(17.51)×現在のEPS(179.3)の3139.54まで回復する。
買った後株価が急落すると嫌な気持ちになるが、長期保有するつもりなら、短期で株価が上がろうが下がろうが関係ない。
個人の長期投資家は短期投資家の右往左往に付き合ってあたふたする必要はないのだ。
 

カレーラーメンの組み合わせを検証した。

以前、袋麺にレトルトカレーを入れて食べると美味いという記事を書いた。

shinonomen.hatenablog.com


その時は豚骨ラーメン+蕎麦屋のカレーという組み合わせだったが、もっと美味しい組み合わせがあるかも知れない。

そこで、最も合うカレーラーメンの組み合わせは何か検証してみた。
ちなみに、以前の記事ではお湯が沸騰してからちぎったキャベツを投入していたが、水の段階で入れてから煮た方が柔らかくて美味しいことが判明したので、今回は先に入れている。

まず、小麦粉たっぷりな蕎麦屋のカレーに対し、豚骨、味噌、醤油のうち最も合うのはどれかを検証した。

豚骨ラーメン+蕎麦屋のカレー

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豚骨スープがカレーに対して一歩引きながらもしっかりと美味しさを下支えしている。美味い。

 

味噌ラーメン+蕎麦屋のカレー

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非常にまろやかだが、味噌が濃い所は突然味噌汁を飲んだみたいで違和感がある。味噌を入れるなら隠し味程度に留めるべき。

 

醤油ラーメン+蕎麦屋のカレー

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醤油スープの主張が少なく、すっかりカレーの中に隠れている。美味しいは美味しいのだが、もうちょっと主張が欲しい。

豚骨ラーメンが勝ち抜いたので、今度はカレーの方を変えてみた。

 

豚骨ラーメン+ビーフカレー

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蕎麦屋のカレーに比べるととろみが少ない。悪くはないがカレーうどん同様、カレーラーメンもトロトロしていた方が美味い。

 

豚骨ラーメン+バターチキンカレー

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マイルドの極み。最初からこういう商品であるかのようにとんこつスープとバターチキンカレーがマッチしている。クリーミーな食感がたまらない。

 

豚骨ラーメン+キーマカレー

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キーマカレーの辛味をとんこつスープが中和してマイルドになっている。辛いひき肉と甘いキャベツの相性も抜群で後味が良い。

 

豚骨ラーメン+グリーンカレー

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東南アジアテイストのシャバシャバした麺。ラーメンというよりトムヤムクンみたいな感じ。後から辛味がやって来る。

 

結果
豚骨ラーメン+バターチキンカレーの優勝
7種類のカレーラーメンを試した結果、僅差で豚骨ラーメン+バターチキンカレーが優勝した。豚骨とバターのクリーミー二重奏が素晴らしい。
豚骨ラーメン+キーマカレーのやみつきになる感じも捨てがたい。辛いのが好きな人は豚骨ラーメン+キーマカレーの方が好きではないだろうか。

盛り付けと写真が下手くそなせいであまり美味しそうに見えないが、味は絶品である。簡単なのでぜひお試しあれ。

レシピ再掲
鍋でちぎったキャベツを煮て、沸騰したら袋麺を投入。一分ぐらいしたら卵を割り入れる。二分半ぐらいしたらレトルトカレーと粉末スープを投入し、かき回して完成。


おまけ
キムチ餃子鍋

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ゆるキャン△の真似をして作成。キムチ鍋の元を1人前入れたらあまりの辛さに涙目になった。韓国人は我慢強いんだなあ。

 

 

 

短期の値動きより本質的価値に注目しよう

 先週のS&P500はすさまじい下げっぷりだった。3.35%、3.03%、0.38%、4.42%、0.82%と5日続落し、一週間で12%も下落した。

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 私は2月14日に「落ちるS&P500はさっさと掴め」という記事を書いた。靴磨きの少年が株の話をし始めたのを聞いた投資家が株を売り払って暴落を免れたという話があるが、私のような凡人が「落ちた所は買い場だ!」とか言い出すと暴落が近いのであろう。

shinonomen.hatenablog.com

 私は記事で書いた通り、3.35%の下落直後から買い向かった。リーマンショック時には急落直前から44.05%下落している。底で多めに買うことも勘案し、投資可能資金を50等分して、1%下落する毎に買い付けているのだが、一向に下落が止まらない。
 そろそろ下落の底なのだろうか。いくつかの底の判定法でチェックしてみた。


1.底の判定法によるチェック

1)もみ合ってダブルボトムをつけてから上放れしたら底
古典的な底値の確認方法。株価がWのような形のチャートを形成すると、下値支持線が形成され、それ以上下落しにくくなる。そこからもみ合いゾーンを上抜けて上がり始めたら上昇トレンドの始まりなので買うというのがテクニカル分析の教え。「ナイフが地面に突きささり、しばらく揺れ動いた後、しっかり止まってからつかむ」という奴である。
この手法は個別株に対しては今でも有効である。だが、最近のS&P500などのインデックスは悠長にもみ合ったりせず、いきなり急反発することが多い。悠長にダブルボトムを形成するのを待っていたら大抵買いそびれる。
今回の下落でもダブルボトムは全く形成されていない。

2)下げがいったん止まったらとりあえず底とする
一番簡単な方法。その後続落するリスクはあるが、大底で買いたければこの程度のリスクを犯さねばどうしようもない。
2/28現在、S&P500は続落中。NASDAQは2/28に+0.01%といったん止まった。ただしNASDAQは2/26にもいったん止まってから2/27に再度急落している。

3)先物が下げ止まったら底
2)よりさらに攻撃的な方法。ただし、先物は上げていたが、市場が開いてみたら続落ということは良くある。先物価格は参考程度にしかならない。
2/28現在、S&P500は2954.22、先物は2988.00と反発している。

4)RSI( Relative Strength Index:相対力指数)
買われすぎ、売られすぎを判断する指標。数値は0-100で表され、70-80%以上で買われすぎ、20-30%以上で売られすぎと言われる。
S&P500のRSIは2/28現在で19.164と売られすぎである。

5)セリングクライマックス
大規模な調整の大底付近ではしばしば投げ売りが相次いで株価が急落、出来高が急増する。
2/28は急落しておらず、出来高もやや増えているが急増という感じではない。

つらつら書いてきたが、底を確認する手法はどれも確度が低く、決定的なものはない。
いったん底をつけても、再度下落に転じることもある。底を確認してから買うのは難しい。


2.米国株は割安か

2/28現在、S&P500のPERは16.82。これは、過去2年間で、一昨年末の暴落時を除けば最安値圏である。逆に言うとまだ一昨年末の暴落時ほど割安にはなっていない。
PERではピンと来ないかも知れないが、益利回りで言うと5.945%。アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾンといった優良株の詰め合わせでの待利回りが6%近いのなら少なくとも割高ではないだろう。
ただし、現在の予想利益は新型コロナウイルスによる減益がほとんど反映されていない。今後下方修正が見込まれることを考えれば、さほど割安でない可能性も否めない。

一方、米国10年国債利回りは1.163%と過去最低水準まで低下した。
S&P500の益利回りと10年国債利回りの差であるイールドスプレッドは4.782%。
過去2年間でイールドスプレッドが4%を超えたことはほとんどなく、突出して大きい。長期的に見ても非常に割安だ。

完全な恐怖が0、完全な強欲が100であるFear&Greed Indexは2/28に極度の恐怖である10まで低下している。
過去を振り返るとFear&Greed Index20以下は絶好の買い場であることは既に記事にした通りだ。

shinonomen.hatenablog.com

まとめると、現在の市場は恐怖に支配された投げ売りが起きた結果、米国株は割安もしくは適正価格になっており、米国債と比べると非常に割安である。
適正なのか非常に割安なのかどっちやねんという感じだが、イールドスプレッドに関して言うと、株が安いというより国債が異常に高いと見るべきだ。結構値動きが大きく、大幅下落リスクもある米国債利回りが1.163%では明らかにリターンがリスクに見合っていない。ましてや日本国債などマイナス金利国債は明らかにバブルと言えるだろう。


3.重要なのは株価が本質的価値より安いかどうか

株価が3100→3000→3100と推移した場合と、3000→2500→3100と推移した場合を考える。
共に3000で購入した時、投資家はしばしば前者は成功で後者は失敗だと考える。だが、どちらも3000で買って3100になったのだから、リターンは同じである。
重要なのは3000で買った時に割高か割安かだ。

現在の下落は新型コロナウイルスが世界的に蔓延して経済活動を阻害する懸念によるものだ。
あなたが1年以内で売買を繰り返す短期投資家なら、今買うのはリスクが高い。コロナウイルスがどの程度米国経済に影響を与えるか分かっておらず、どこまで株価が下がるか、いつまで調整が続くか分からないからだ。
一昨年末の暴落は、FRBが利下げを発表したことで、一気に反転したが、今回は一気に株価が反転するシナリオも考えにくい。コロナウイルスの流行が一気に収束することなどあり得ないからだ。

一方、あなたが10年以上の長期投資家であるなら、現在が良い買い場であることはほぼ間違いない。
例えばリーマンショックのような金融システム不安であれば、金融機関が融資を絞るなどの影響が残るので立ち直るのに時間がかかり、長期の企業業績にも影響が及ぶ。
一方、コロナウイルスの流行はいずれ収束し、以降の企業業績には影響を及ぼさない。今後10年間の企業業績に与える影響は軽微だ。であるならば、割高でなければ買ってしまって問題ないはずだ。

様々な指標を駆使しても、短期の値動きを予想することは難しい。今後株価がどう動くかより、現在の株価が本質的価値と比べて割高かどうかの方が重要ではないだろうか。