昨年はあらゆる資産が値上がりした。特に、米国株の主要指標であるS&P500は28.7%も上昇した。
実際は1年でそんなに儲けた人はほとんどいない。昨年1月は総悲観状態で、どかすか買えたのは著名ブロガーのたぱぞう氏などほんの一部の勇敢な人だけだ。
私はS&P500の積み立てとPERを用いたタイミング投資を併用するのを基本戦略にしている。
(PERは株の割安さを示す指標。PER=株価÷予想1株利益で値が低いほど割安)
2019年1月4日のS&P500の予想PERは14.95だった。2011年頃はもっと低かったため、さらなる下落もあり得ると考え購入額を絞ったが、実際は全力で買うべきだった。
PERを用いたタイミング投資には同じPERでも状況によって割高か割安かが変わるという問題点がある。
同じPER17でもこれから景気が回復し、分母の予想利益の上方修正が相次ぐことが見込まれるなら割安だし、
これから景気が悪化し、下方修正が続出するような局面では割高だ。
以前、VIX指数35以上、実績PER20以下は絶好の買い場という記事を書いたが、より便利な指標を見つけた、Fear & Greed Indexだ。
Fear & Greed Index(恐怖と強欲指数)はCNNが米国市場で取引がある日に毎日算出している、市場参加者の感情を表す指数だ。
下記のサイトの説明が詳しいが、移動平均線乖離率や高値・安値更新銘柄数、プット・コールオプションの割合、VIX値など7つの指標を元に、投資家心理が恐怖から強欲へと振れる様を0から100の数値で表している。
PERが会社が稼ぎ出す利益に比べて株価が割安かを示しているのに対し、Fear & Greed Indexは投資家心理を表しているだけだ。投資家が恐怖にかられているからといって割安だとは言い切れない。
だが、投資家全員の恐怖が最高潮に達し、売りたい人が全員売ってしまえば、売り手がいなくなるので株価の下落は止まる。
Fear & Greed Indexは一昨年末2まで低下した。0-100の指数で2なら恐怖の極限。絶好の買い場だったことが明白だ。
S&P500のチャートとの比較を示す。
Fear & Greed Indexが20以下の強い恐怖になった赤の領域は長期的な買い場と一致している。Fear & Greed Indexが20以下になったら迷わず買いで良さそうだ。
一方、青で示したFear & Greed Index80以上の強い強欲は必ずしも良い売り場ではない。80以上になってもしばらく上昇し、その後に下落していることが多い。
おそらく、市場参加者の全員が恐怖している状態では売り手がいなくなるが、市場参加者の全員が強欲になっている状態では、今まで参加していなかった人が市場に参加してきて、新たな買い手が供給されるからだろう。
2020年1月9日現在、Fear & Greed Indexは93の強い強欲状態にある。
もうしばらく上昇は続くかも知れないが、積極的に買う局面でないことは確かだろう。