東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)の書評サイトです。ジオシティーズ(http://www.geocities.jp/shinonomenod/)から移転してきました。

PERによるタイミング投資は有効か

1.はじめに
 日経平均が急騰後に暴落した。
 私はこの流れに翻弄された。まず急騰に完全に乗り遅れた。私は日経平均ETFを2株しか持っておらず、そのうち1株を上がり始めてすぐに売ってしまったので、1株分しか値上がりを享受できなかった。まるで昭和の時代の一坪一株運動家のようだ。
 さらに問題だったのは上がった後だ。急騰後に下げたのを天井ではなく押し目だと思い、1株買い足してしまったのだ。その後利益を確定する前に株価が急落したので、含み損を抱えることになってしまった。

 この件で痛感したのは、値動きに惑わされず割安な株のみを買うべきだということだ。
 私は値上がり前に、日本株が割安だな、とは感じていた。だが、当時は日本株が低迷していたため、さらに下がるのではとビビってしまい、2株しか買わなかった。
 さらにまずかったのは上がった所で買い足したことだ。上がった時点で日本株はバブル以降最高値であり、PER的にもそれほど割安なわけでもなかった。上がっていようが下がっていようが、割安な時に買い、割安でないときは買わなければ、今回のような失敗を防げるのではないか。


2.低PER法の検証
 そこで、PER(株価収益率、時価総額÷純利益)が過去の中央値より低い時のみ買うという購入法(低PER法)を考え、有効かどうか検証を行った。

 検証には2007年7月から2018年7月までの日経平均予想PERと株価の時系列月次データを用いた。

www.ginkou.info

 低PER法は、その時点のPERが過去の時系列PERデータの中央値より低い時に2万円購入し、高い時には購入を見送った。中央値にしたのは、PERは100超のようにやたら高くなることがあり、平均にするとそれに引っ張られてしまうためである。
 これと、毎月1万円ずつ購入するドルコスト平均法の比較を行った。
 2008年1月から購入を開始し、2018年7月の段階で1株あたりの購入金額を比較した。

低PER法
購入株数 117.2914株
投資金額 1440000円
1株あたり購入金額 12277.11円

ドルコスト平均法
購入株数 100.1959株
投資金額 1270000円
1株あたり購入金額 12675.17円

 低PER法の方が3.14%安く買えていることが分かる。

 中央値未満で購入するのではなく、中央値よりずっと低い時だけ購入すればさらに効率が良いのではないだろうか。
 そこで、現在のPERが過去PERの中央値の-2未満の時のみ4万円購入するようにした所、下記の結果となった。

超低PER法
購入株数 91.89989株
投資金額 960000円
1株あたり購入金額 10446.15円

 17.59%も購入金額を下げることができた。ただし、超低PER法は、総投資金額がどの程度になるか分からず、低PER状態が長く続くと資金が枯渇しかねないという欠点がある。

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 低PER法、超低PER法がどのタイミングで購入したかをグラフで示す。超低PER法は黄色の月に、低PER法は黄色とオレンジの月に購入している。

 低PER法の問題点として、経済危機時にはしばしば企業業績が急激に悪化してPERが急上昇するので、株価は安いのに買うことができないということが挙げられる。例えば、2009年2月に日経平均は7568.42円の調査期間中最安値をつけているが、予想PERが28.71と急騰したため、買うことができなかった。
 経済危機時に急騰したPERを無視して臨機応変に買い出動できれば、低PER法はさらに効果を発揮するだろう。


3.ダウ平均と上海総合指数における検証
 低PER法は日経平均以外でも有効なのだろうか。ダウ平均と上海総合指数でも同様に検証を行った。
(この項は検証結果が書いてあるだけなので、お急ぎの方は末尾部分だけ読んで頂ければ十分である。)

ダウ平均
低PER法
購入株数:90.64株
投資金額:1020000$
1株あたり購入金額:11253.55$

ドルコスト平均法
購入株数:92.06株
投資金額:1270000$
1株あたり購入金額:13795.17$


上海総合
低PER法
購入株数:766.85株
投資金額:1920000元
1株あたり購入金額:2503.74元

ドルコスト平均法
購入株数:476.07株
投資金額:1270000元
1株あたり購入金額:2667.69元

 両市場共、低PER法によってドルコスト平均法より1株あたり購入金額を抑えることに成功した。

 ダウ平均では低PER法によって1株あたり購入金額を18.42%も抑えられており成功のようだが、大きな問題がある。ダウ平均は年々PERが上昇しているため、2013年2月を最後に全く買うことができていないのだ。

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 長期のPER的に見て、この5年間ダウ平均がずっと割高なのは確かだ。そのうち株価が5年前の水準まで暴落して、やはり割高で買うべきではなかった、ということになる可能性も0ではない。とは言え、5年間ずっと一株も買えないのでは投資法としては役に立たない。
 そこで、過去全てではなく過去3年間までのPERと比較して中央値より低ければ買う戦略にした所、2016年1月と2018年5-7月にも買うことができ、下記の結果となった。

低PER法(3年間)
購入株数:89.74株
投資金額:1040000$
1株あたり購入金額:11589.11$

 1株あたり購入金額は多少上がってしまったが、5年間ずっと買えない戦略よりは多少実用的である。
 

 上海総合も1株あたり購入金額を6.15%抑えることができたが、投資金額が1.51倍にも膨らんでしまったのが目立つ。
 上海総合の場合はダウ平均とは逆に調査開始時の2007年下半期にバブルが発生しておりPERが40前後とやたら高い時期が続いたため、その値に引っ張られ、大して割安でない時も割安と判断してしまい、買いすぎになってしまった。
 PER=30以上のバブル部分は除いて2008年8月から買い付けを開始した所、下記の結果となり、投資金額、1株あたり購入金額ともに抑制することができた。

低PER法(バブル除外)
購入株数:643.39株
投資金額:1540000元
1株あたり購入金額:2393.56円

 低PER法は3市場いずれでも1株あたり購入金額を引き下げる効果があった。
 ただし、実際に行うには市場によって多少修正が必要である。ダウ平均のように年々PER値が高まっているような市場では適用が難しい。


4.まとめ
 低PER法は一般的に言う所の長期逆張り戦略である。ウォーレン・バフェットやその師匠であるベンジャミン・グレアムが長期逆張り投資家であることからも、戦略の有効性が伺える。

 低PER法は有効性が高いが、大きな欠点がある。効果が出るまでに時間がかかるのだ。
 低PERが高PERに変わって株価が上がり始めるまでは、数カ月、長い時は何年もかかる。その間、投資家は値上がりしない株をじっと我慢してホールドし続けねばならない。これは、上昇中の株に乗っかる順張り戦略よりもずっとストレスが溜まる。

 ドルコスト平均法の場合は自動積立にして放っておけば良いが、低PER法の場合は自分で買い付けをしなくてはならないので、雑念に惑わされて買いをためらったり我慢しきれずに売ってしまったりしかねない。

 低PER法は長期的には有効だが、やるには相当な我慢強さが必要なのだ。

 

参考:日米主要指標のPERが確認できるサイト

PER(NYダウ・ナスダック100・S&P500)の推移|株式マーケットデータ

日経平均PER PBR 日経平均株価適正水準

モーニングスター [ 東証1部業種別データ ]

人生を超えるもの――半分、青い。感想2

(本稿は「半分、青い。」のネタバレを含みます。)

 『半分、青い。』ほど賛否が分かれた朝ドラも珍しい。絶賛する人がいる一方で、ツイッターに批判用の「半分白目」タグができる程、叩く人も多かった。
 はてブでも「半分、青い。」を痛烈に批判した、「半分、青い。」を直してみた。~私は北川悦吏子のドラマが好きだった。と高く評価した 「半分、青い。」のここが好きでしたが立て続けにホットエントリー入りした。
 何が視聴者の賛否を分けているのだろうか。


1.賛否を分けるもの
 本作を象徴する台詞が涼次の「納得いくものが撮れれば僕の人生を超える」だ。
 涼次が言う通り、現実の人生を超えるものが存在すると思うかによって本作の賛否が分かれているのではないか。

 フィクションは娯楽と芸術という二つの側面を持っている。
 娯楽は現実の人生を楽しくするためのものだ。受け手を楽しませることが最優先であり、現実のためにフィクションがあるという考えに基いて作られている。
 否定派のsleepingnana氏が提示したのは視聴者を気持よくするという目的に絞った修正案であり、人間のドロドロした醜い部分のような視聴者が見たくない部分は排除されている。氏の修正案は娯楽という点で良く出来ている。

sleepingnana.hatenablog.com

 一方、芸術は作品自体に人生を超えた価値があるものだ。何に人生を超えた価値があると考えるかは人それぞれだが、人間の本質とは何かといった普遍的なテーマに迫ることなどが挙げられる。
 インタビューを読むと本作は、片耳が聞こえないことや、創作に対する考え方、恋愛体験、お母さんへの思いなど、北川氏の私小説的な部分が色濃く出た作品であることが分かる。
 私小説的アプローチの利点は、隠している心の奥底まで描くことができる点で、人間の本質に迫る手段としては極めて有効だ。一方で自分が経験していないことに関しては上手く書けないという欠点もある。

 肯定派のkobeni氏が最も称賛していたのも北川氏が経験に基づいて描いた創作の光と影の部分だった。kobeni氏は創作関係の仕事をされているらしく、自分で創作をしたことがある人しか核心部分は理解できないのかもしれない。

kobeni.hatenablog.jp


 私も小説を書いているが何度も新人賞の壁に跳ね返されているので、ユーコや鈴芽が才能に限界を感じて漫画家の道を諦める展開はグサグサ心に突き刺さった。

 

 娯楽と芸術は対立するものではなく、両立しうる。だが、場合によっては対立する。
 基本的に、フィクションの主人公は現実の人間よりも高潔だ。物語のヒーローは仲間のために命がけで戦ったりするが、現実で仲間のために命をかけている人などめったにいない。
 娯楽の観点からは主人公に英雄的行動を取らせた方が視聴者が気持ちよく見れるが、私小説的に考えると絶対そんなことしないよ、というような場合、作者は娯楽を取るのか芸術を取るのか選択を迫られる。


2.現実からの批判と現実より優先すべきもの
 北川氏は最終週の展開についてインタビューで「たぶん炎上するんだろうなと、覚悟はできています。なぜそれを書いたかというと、自分としてはそれが必要だったから。」と答えている。これは視聴者の望むものを提供する娯楽よりも優先度が高いものがあるという考えの現れだ。

 本作で特に批判を浴びた台詞に鈴芽が涼次に言った「死んでくれ」がある。 
 この台詞に対し、井戸まさえ氏が、離婚相談を数多く受けている経験上、相手から離婚を切り出された時に言う台詞は「死んでくれ」ではなく「死んでやるっ」だと指摘していて感心したのだが、リアリティの観点から不自然な台詞をあえて言わせたということは、リアリティよりも優先すべきものを表現するためにあえて書いたと考えるのが自然だ。

gendai.ismedia.jp

 本作で人生を超えるものが存在すると主張する者は象徴的死の世界に生きている。秋風先生やボクテは子供がいないし、涼次も創作の世界に戻る際に子供と別れる。本作で子供が生まれることは人生の象徴である。
 「死んでくれ」は人生を超えるものが存在すると主張する者は、象徴的死の世界へ行くということを明示するための台詞なのだ。

 同様の批判を浴びたのが裕子の震災死だ。
 裕子が死んだのは、看護師の仕事の中に「人生を超えるもの」を見出したからだろう。惜しむらくは、北川氏はおそらく看護師の経験がないので、視聴者になるほど、と思わせるだけのディティールを書き込めなかったことだ。
 完全な芸術家であるボクテと違い、鈴芽と裕子は半分だけ芸術家としての才能を有している。テーマ的に、片方が生の世界へ向かうためには、もう片方は死の世界へ行く必要があったというのは感覚的には理解できる。

 裕子の死に関しては、震災で津波が来ると分かっていて逃げなかった人などいないという批判がなされている。リアリティの観点からは当然の批判だ。一方、作者は実際にどうだったかという現実よりも「現実を超えるもの」を優先して書いている訳だから、両者の意見は決して交わらない。

 現実よりも優先すべき価値があると言うのは、バッティングしたら現実を犠牲にするということだから、現実を再優先と考える人にとっては到底受け入れがたいし、現実以外に価値はないと考える人にとっては理解しがたい。


3.みんな自分のことを語っている
 前出の記事についたブコメを読むと、肯定派より否定派の方が多かった。現実の人生よりも価値のあるものが存在するという考えの人はマイノリティなのだ。

 多くの人は歳とともに現実重視に考えが変わっていく。sleepingnana氏が昔は北川作品を楽しんでいたが今は酷評しているのも氏の中で「人生を超えるもの」の価値が低下したからではないだろうか。私自身若いころは頑張って文学作品を読んでいたが、今は投資本ばかり読んでいるので、「人生を超えるもの」への感性が低下していくのは良く分かる。

 批判している人は人生を超えるものなんかない、人生を大切にしろ! と怒っており、賞賛している人はそうだよ。人生を超えるものは存在するんだよ。朝ドラで良くぞマイノリティの考えを表明してくれたよと喜んでいるのではないだろうか。


 本作への評論で最も感心したのは【ネタバレ感想】北川悦吏子脚本ドラマ 「半分、青い」とは何だったのか。 だ。

www.saiusaruzzz.com

 私が以前書いた「トリックスターヒロイン論」をより緻密に展開していて舌を巻いた。特に「「花野のためになされた」涼次のプロポーズを、鈴愛は「自分のために」断っているのだ。」という指摘には目から鱗が落ちた。

 うさる氏は「朝ドラのコンセプトや見ている人に中等半端に気を遣った結果、根底に不快なもの(だからこそ面白いもの)を秘めつつ、当たり障りのない物語という非常に残念な出来上がりになってしまった。」と批判しているが、言い方を変えれば北川氏は娯楽であり芸術でもある作品を目指したということでもある。

 最終回でキミカ先生は「生まれることも死ぬことも特別なことじゃない」「生まれることがめでたくて死ぬことが悲しいというのも乱暴な気さえする」と語っている。これは「現実の人生が重要だ」=生と「人生を超えるものがある」=死という二つの考えは等価だということだ。


 感想を色々読んで感じたのは、みな「半分、青い。」について語っているようで自分のことを語っているということだ。
 鈴芽は登場人物の隠された感情を暴いて回るトリックスターだったが、作中で暴くことに飽きたらず作品を飛び出して視聴者の感情をも暴いて回っているかのようだ。
 ヒロイン=正義となりがちな従来の朝ドラと違い、本作は正しい人生を提示せず、登場人物全員の人生を等価なものとして提示している。従って、何をくみ取ってくるのかは視聴者次第だ。
 欠点もある作品だが、非常に優れた写し鏡であることは間違いないだろう。

 

shinonomen.hatenablog.com

FAANGのファンダメンタル(PER、EPS成長率、ROE)まとめ

 GAFAFANGFAANGなどと呼ばれる米国の新興企業が話題だ。
 GAFAはグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字であり、FANGGAFAからアップルを外してネットフリックスを入れたもの、FAANGは5企業全部を指す。

 過去最高を更新している米国の株価を牽引しているのがFAANGだ。アップル、アマゾンは最近相次いで時価総額1兆ドルを突破した。
 『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』という本がベストセラーになり、アップルがアイルランド政府から巨額の追徴課税を課されたり、トランプ大統領がグーグルやフェイスブックが偏向しているとして調査を命じたりしている。

 圧倒的リターンを叩きだしているFAANGだが、「でも、お高いんでしょう? 」と思って買うのを敬遠してきた。だが、9月に入って高すぎる株価に調整が入ってやや下落したので、ファンダメンタルを調べてみた。
 データは9月23日にモーニングスター米国株式情報から取得した。EPS成長率は最新と4年前のEPSから、1年当たりの成長率を算出した。

銘柄名 ティッカー PER PBR EPS成長率 ROE 営業利益率  
アップル AAPL 19.7 9.1 12.84 36.87 26.76 優良株
アマゾン AMZN 151.7 26.7 79.68 12.91 2.31 急成長株
フェイスブック FB 25.2 5.9 73.12 23.84 24.48 優良株
アルファベットクラスC GOOG 50.4 5 -1.45 8.69 26.05 将来性株
ネットフリックス NFLX 164.2 35 54.29 17.85 7.17 急成長株


 アップルは高いROEの割にPERが低く割安である。ROEを重んじるバフェット氏がガンガン買っているのも納得である。
 フェイスブックは高い成長性の割にはPERが低く、お買い得である。
 アマゾンとネットフリックスはEPS成長率はすさまじいがPERも非常に高い。PERが20になったら株価が1/8くらいになるわけで、ハイリスク・ハイリターンすぎる。
 アルファベット(グーグル)は成長性が低い割にPERが高く現時点では良い所がない。将来性が買われているのであろう。

 これらの株を買うには米国株取引をするしかないが、大和投資信託から『iFreeNEXT FANG+インデックス』という投資信託が販売されている。

www.daiwa-am.co.jp

 これはFAANGに、アリババ、バイドゥ、エヌビディア、テスラ、ツイッターの5銘柄を加えた10銘柄を10%ずつセット販売したもので信託報酬は0.7614%だ。10銘柄の多くが有望なら、この投資信託を買う方が日本円で買えるので楽だ。そこで、追加の5社についても調べてみた。

銘柄名 ティッカー PER PBR EPS成長率 ROE 営業利益率  
アリババ BABA 51 7.4 25.12 19.85 28.12 急成長株
バイドゥ BIDU 21.4 3.7 15.03 17.63 18.5 優良株
エヌビディア NYDA 38.5 18.2 17.61 46.05 33.05 優良株
テスラ TSLA - 13.1 - -43.63 -13.88 将来性株
ツイッター TWITR 91.9 3.9 - -2.24 1.59 将来性株


 ハイテク新興企業10銘柄は下記の3グループに分けられる。
1)ROEや営業利益率が高くて収益性が高いが、EPS成長率がさほど高くないのでPERが割安になっている優良株 →アップル、フェイスブック、エヌビディア、バイドゥ
2)営業利益率は低いが爆発的な成長性を誇り、PERが非常に高い急成長株 →アマゾン、ネットフリックス、アリババ
3)今のところ十分な利益が出ていないが、将来性に期待して買われている将来性株→アルファベット、テスラ、ツイッター


 将来性株という言葉はないが、適当なカテゴリーがなかったので私が命名した。
 順調に成長する新興企業は「将来性株→急成長株→優良株」という順にクラスチェンジしていく。
 フェイスブックはEPS成長率が極めて高い急成長株だったが、直近の四半期決算の伸びが少なかった(四半期成長率が3%)ので優良株へカテゴリーが代わり、株価が急落した。
 私は優良株が好きなので、買うとしたらアップルかフェイスブックだろう。

 投資信託は通常、個人では買えない幅広い銘柄をセットにすることで、下落リスクを軽減するための商品だ。だが、『iFreeNEXT FANG+インデックス』は近い値動きをする銘柄をパッケージングしており、あまりリスク軽減になっていない。『iFreeNEXT FANG+インデックス』を買うより、最もPERが低いアップル株だけ買った方がおそらくリスクは低い。
 また、10銘柄しかないというのもマイナスだ。10銘柄くらいなら自分で買い集めた方が信託報酬がかからないし、自分好みではない銘柄を除外できる。

 アマゾン、アップル、アルファベット、フェイスブック、テスラ、ツイッターの6銘柄はワンタップバイで1000円から手数料0.5%で買える。NEXT FANG+の信託報酬は0.7614%なので、1年4ヶ月以上保有するなら、個別に買った方が手数料は安くなる。 

 逆に言うと、ハイリスク・ハイリターンを好んでいたり、短期に売買を行う投資家にとってはメリットのある商品だ。急成長株が好きだが一社だけ買うのは怖すぎるという人や、手軽にちょっとだけリスキーな商品も持っておきたいという人、相場観に自信があり短期で売り抜けようと目論んでいる人にとっては良い投資信託ではないだろうか。 

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

  

バイ&ホールド最強説は本当か

 投資本にはしばしば「株や投資信託を頻繁に売買すると損をするからバイ&ホールドが最強だ。」と書いてある。売買する毎に手数料がかかるので、できるだけ売買しない方が良い。特に売却すると税金がかかるので、値上がりして下落しそうでも売らずに我慢すべきだと言うのだ。

 この内、手数料の部分は、株に関しては正しいが、投資信託に関しては間違っている。
 バイ&ホールド最強説を採る投資本は基本的にコストの安いノーロード型投資信託を買うよう薦めている。ノーロード型投資信託は売買手数料が無料なので、頻繁に売買しようがずっとホールドしていようがコストは変わらない。むしろ売った方が売って現金化している間の信託報酬がかからないので、コストが安いぐらいだ。
 ETFの場合は売買手数料がかかる場合もある。だが、多くの証券会社では1日10万円以下なら売買手数料無料だし、カブドットコム証券なら特定のETFは取引量にかかわらず売買手数料無料になる。証券会社に払う手数料がかさむから、出来る限り売るなという意見は間違っている。

 では、税金に関してはどうだろうか。株を売却すると利益の20.315%課税が課税される。売却すると20%も損すると書いてある本もあるが本当だろうか。

 具体的な例で途中で株を売って利食いした方が良いか、売らずにホールドし続けた方が良いか検証してみよう。
 計算が煩雑になるため、税率は20%とした。

ケース1 1000円→1100円→1080円→1200円という値動きの場合
1)ホールドして1200円で売る
2)1100円で売って1080円で買い直し、1200円で売る

1)最終利益は200*0.8=160円
2)最初の売却益は100*0.8=80円
1080円で購入1200円で売却するから二回目の税金は120*0.2=24円
最終利益は200-24=176円 
途中で売って買い直した方が16円利益が多い。

ケース2 1000円→1100円→1090円→1200円の場合
1)ホールドして1200円で売る
2)1100円で売って1090円で買い直し、1200円で売る

1)最終利益は同じく160円
2)最初の売却益は80円
1080円で1090円の株を買うと0.99株しか買えないので、1080円で買って1189円で売ることになり、二回目の税金は22円
最終利益は189-22=167円。
10円下げた場合も途中で売って買い直した方が7円利益が多い。

 何円で利益が等しくなるかは、下記の式を解けば良い。
1080/X*1200-1000-(1080/X*1200-1080)*0.2=160

 課税額を厳密化すると
1079.685/X*1200-1000-(1079.685/X*1200-1079.685)*0.20315=160
となる。

 数学の知識が錆び付いていて解けないので、Excelで左辺を計算すると、下表のようになる。

1090 166.5090084
1091 165.6408407
1092 164.774263
1093 163.909271
1094 163.0458603
1095 162.1840267
1096 161.3237657
1097 160.4650731
1098 159.6079446
1099 158.752376
1100 157.8983629

つまり、X=1097以下なら2)が得、すなわち3円の下げを回避するだけでも売る意味があるということになる。
 予想よりはるかに僅かな下げでも利食い→再投資した方が良いことが分かる。

 売却して20%の税金を取られたくないのであれば、株券を保有し続け、現在の値段を眺めてニヤニヤしたまま死ぬより他なく、いずれかの時点で売らないと役に立たない。途中で売ろうが最後に売ろうが値上がり分の税金をいつ払うかの違いであり、良く言われる税金の繰り延べ効果はさほど大きくないのだ。
 バイ&ホールド最強説を採る本の中には雹が降ろうが槍が降ろうが絶対に売っては駄目だみたいなトーンのものもある。確かに初心者はちょっとの上げ下げで恐れを抱いて売ってしまいがちなので、売りを我慢せよと説くことには意味がある。しかし絶対売るなと言うのは言いすぎだ。

 株を売却すると損だというのは、アメリカのように基本的に右肩上がりの相場の場合である。右肩上がり相場では、天井かな、と思って売ってもすぐに上がってしまい、利益を逃すことになりかねない。
 一方、現在の日本株のようにボックス相場化している場合は、単にバイ&ホールドしていてもほとんど儲からない。下がった時に買い、上がった時に売る技術が求められるのだ。

チェーン店の期間限定メニュー八番勝負

 「チコちゃんに叱られる!」を観ていたら、大人になると日々感動することが少ないので、時間が早く過ぎると言っていた。
 私は普段、夕飯はチェーン店の安い看板メニューで済ませることが多い。マクドナルドならハンバーガー、吉野家なら牛丼だ。看板メニューは薄利多売のためコスパが良いからだ。
 だが、看板メニューは何度も食べているので食べても印象に残らない。数日前に何を食べたのかも思い出せないような生活をしていては、あっという間に老いて死んでしまう。これではいかん、と一念発起した私は、チェーン店の看板メニューではなく、期間限定メニューを食べてみることにした。

 最終的に私が良く行くチェーン店八店の期間限定メニューを食べ歩いたのでレビューする。メニュー毎に、看板メニューと値段や味を総合的に評価してどちらが勝ちか判定した。

サイゼリヤ
『ズッキーニとトマトのトロフィエ』(399円)vsミラノ風ドリア(299円)

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 トロフィエというのはストローを指くらいの長さに斜めに切って捻ったような形状のショートパスタだ。
 具はたっぷりのズッキーニ、トマト、ベーコンで粉チーズがかかっている。野菜とベーコン、チーズの味が染み込んだスープが美味で、同価格帯のレギュラーメニューのパスタを上回る美味しさである。
 野菜が全く入っていないミラノ風ドリアより上等な食事という感じがする。
期間限定メニューの勝利!

 

松屋
『ごろごろチキンのトマトカレー』(590円)vsプレミアム牛めし(380円)

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 ゴロチキはカレー専門店並みの美味しさで話題になった松屋の看板期間限定メニューだが、今回はそれをアレンジしてトマトカレーに仕立ててきた。ニンニクが効いたソースの辛さがトマトで中和されて前より食べやすくなっている。鉄板で焼いた香ばしい鶏肉の塊が文字通りごろごろ入っていて、満足感が高い。
 牛めしよりはだいぶ高いが、高いだけのことはある。
期間限定メニューの勝利!

 

モスバーガー
『ナンタコス』(430円)vsモスバーガー(370円)

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 タコスの上にカレーのような風味のひき肉を乗せ、その上にキャベツ、トマト、トルティーヤをどっさり載せたもの。もっちりとしたタコス、しっとりしたトマト、シャキシャキしたキャベツ、パリパリしたトルティーヤが一度に口の中に広がって「食感の宝石箱やー」という感じである。
 だが、モスバーガーに比べると肉が少ないので物足りない。
看板メニューの勝利!

 

丸亀製麺
『牛山盛りうどん』(640円)vsぶっかけうどん(290円)

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 注文を受けてから小さなフライパンで炒め始める牛丼の具が別皿で提供される。牛肉は甘辛くて美味しく、見た目以上に食べごたえがあるが、うどんで640円は割高な感じを拭えない。
 ぶっかけうどんに温たま、とろろ、かしわ天を載せてもお釣りが来るし、牛肉はうどんよりご飯の方が合うと思う。天丼用ご飯+肉+無料のネギでねぎ玉牛丼にするのはありかも知れない。
看板メニューの勝利!

 

マクドナルド
『宮崎名物チキン南蛮バーガー』(390円)vsハンバーガー(100円)

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 キャベツ、鶏の唐揚げ、炒り玉子を挟んだハンバーガー。柔らかく甘辛い鶏の唐揚げがどっさり挟んであって食べごたえ十分である。
 ハンバーガーは驚異的に安いことが売りだが、これは値段の割には美味しいバーガーで比べにくい。ビッグマックと比較すれば良いのだが、もう何年もビックマックを食べていないのだ。
引き分け

 

吉野家
『麦とろ牛皿御膳』(590円) vs牛丼(380円)

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 麦飯、牛皿、とろろ、オクラ、味噌汁という五皿からなる定食。甘くて美味しいとろろを使っており、夏バテして食欲がない時でもするする食べられそう。麦飯の量は控えめでおかずがたっぷり。栄養バランスも取れており、小料理屋で出てくるようなグレードの高い食事だ。
 牛丼よりだいぶ高いが、定食屋なら1000円くらいしそうなのでお得感がある。
期間限定メニューの勝利!

 

なか卯
『4種チーズの親子丼』(590円)vs親子丼(490円)

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 親子丼の具がチーズで一固まりになってピザの具みたいになっている。親子丼ととろけるチーズの旨味がミックスされた濃厚な味はもちろん美味いのだが、ジャンク度も増してしまっている。
 親子丼そのものが完成された美味しさなので、それを凌駕しているかというと微妙。100点の親子丼に30点のチーズを加えて100点になっている感じ。
看板メニューの勝利!

 

日高屋
『ごま味噌冷し』(550円) vs中華そば(390円)

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 ごまだれにつけて食べる冷やし中華。酸味があってさっぱりしており、暑い時期にはぴったりである。
 ただ、多くの冷やし中華同様、一夏に一回食べれば良いかなという感じ。これを食べるなら、同じ値段で餃子3個をつけてもお釣りがくる中華そばの方が満足度が高い。
看板メニューの勝利!

 

トータル
期間限定メニュー3勝
看板メニュー4勝
引き分け1
看板メニューの勝利!

 

 期間限定メニューは事前の予想どおり割高なものが多かった。しかし中にはかなり美味しいものもあったので、先入観に囚われず試してみるのも重要だと感じた。
 なお、私が原稿を書くのが遅いので、レビューしたメニューの多くが既に販売を終了している。食べに行く際は、事前にホームページ等でまだ販売しているか確認して頂きたい。

ひふみ投信が下落したのはトランプのせい

 ひふみ投信レオス・キャピタルワークスが運用するアクティブファンドで、長期に渡ってTOPIXを上回るリターンを出していることや、アクティブファンドの割には信託報酬が安いことから個人投資家に人気がある。
 楽天証券の7月の買付金額ランキングではひふみ投信の銀行・証券会社向け商品であるひふみプラスが1位になっている。
 そんなひふみ投信のリターンが悪化している。

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 図1に日経平均TOPIX、JPX日経中小型株指数、ひふみプラスを1月4日の終値を100として比較した年初来リターンを示す。
 ひふみプラスは7月末までは諸指数を上回る年初来リターンを叩き出していたが、8月に入って値を下げ、日経平均を下回った。

 ひふみ投信のリターンが高いのには、ファンドマネージャーの能力以外に二つ理由がある。米国株を含むことと、小型株を多く含んでいることだ。

 ひふみ投信は2割程度、AmazonやVisa、マイクロソフト等の急成長している米国株を含んでおり、その分日本株のみの投資信託よりリターンが高くなっている。これは資産配分は自分で決めるから日本株ファンドは日本株だけで運用して欲しいと考える投資家には不評だが、高いリターンの米国株だけをピンポイントで保有できるという点では悪くないとも言える。

 小型株が良いのは小型株効果が働くからだ。
 小型株効果効果とは時価総額が大きな大型株より、小さな小型株の方が長期のリターンが高くなることで、研究により実証されている。これは小型株の方が倒産等のリスクが高いので、その分リターンが高くなっているからだと言われている。
 しかし、小型株は常に大型株よりリターンが高いわけではない。下げ相場の時は大型株より下げるが、上げ相場の時に大きく上げるから、トータルとして上回るのだ。

 投資家達がイケイケの状態になっているリスクオンの時は、ハイリスク商品である小型株やさらにリスクが高い新興国株に資金が流入し、急速にリターンが改善する。一方、リスクオフの時は大型株や米国株のような手堅い株に資金が集中し、小型株や新興国株はだだ下がりになる。

 前掲の図1を見ると、2月末から5月にかけての上げ相場の時には、中・小型株のみで構成されるJPX日経中小型株指数が好調だったが、それ以降の下げ相場では大型株中心に構成される日経平均構成銘柄に資金が集まっていることが分かる。(TOPIXは大型株と小型株を両方含むので中間的な値動きになっている。)

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 図2にS&P500(米国)、TOPIX(日本)、MSCIコクサイ(先進国)、MSCIエマージング(新興国)の円ベースETFの値動きを示す。新興国株が下がり、米国に資金が集中していることが分かる。

 つまり、現在は国内市場も海外市場もリスクオフになっていることが分かる。

 投資家達がリスクオフになっている原因は二つある。一つは米国の中央銀行にあたるFRBが利上げをしていること。安全資産である米国債が高金利で買えるなら、わざわざリスクを取る必要はないと考えた投資家達が、リスク資産から資金を引き上げている。
 もう一つはトランプ大統領が仕掛けている貿易戦争だ。関税引き上げ合戦により景気が悪化するリスクが高まっているので、投資家がリスクを取りたがらないのだ。
 つまり、ひふみ投信のような小型株ファンドのリターンが悪化したのはFRBトランプ大統領のせいである。

 それでは、投資家のリスクオフはいつまで続くのだろうか。
 この原稿は日曜に書き始めたのだが、書いているうちにリスクオフ状態は弱まり、リスクオンに変わりつつある。
 グラフ末尾の8月24日にかけて上がり始めた各種指数は水曜時点でも上昇を続けている。
 原因としては、パウエルFRB議長の発言が利上げに慎重だと受け止められたことや、アメリカとメキシコが通商協定に合意したことが挙げられる。

 だが、このままリスクオン状態が継続するかは疑わしい。世界経済最大のリスクである米中貿易戦争は一向に解決していないし、トルコの通貨危機も危機のままだからだ。

 国内小型株のリスクは大したことないので、一時的にに下落したからと言って、すぐさまひふみ投信を売り払う必要はない。
 だが、よりリスクが高い新興国株を買うのは慎重になった方が良いだろう。

www.rheos.jp

大井町のラーメン屋はこだわりが強い

 研修で二日間大井町に通った。大井町駅は品川の隣駅で複数本の電車が乗り入れている大きな駅だが、生活圏から離れているためこれまで降りたことはなかった。

 私はラーメンの食べ歩きが趣味だが、健康を考え、ラーメン屋に行くのは週に一回にしている。だが、大井町にはもう二度と訪れることはないだろうからと、二日間に三軒のラーメン屋をはしごした。

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 初日の夜は『アジトイズム』に行った。夫婦で運営している店で、天井の配管がむき出しになっているなど、内装も凝っている。

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 注文した『濃厚ピザそば』(850円)はピザの具を麺と混ぜあわせて食べるという斬新な混ぜそば。具はサラミ、ピーマン、玉ねぎ、トマト、アンチョビパウダー、クレソンなどがどっさりかかった本格的なもので、もっちりとした麺がチーズと混ざり合って美味しいが、この具なら麺よりピザの方が合うのではないかという気がしないでもない。

 

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 二日目の夜は『中華そば大井町和渦』に行った。店主一人にカウンター数席しかないこじんまりとした店で、寿司屋のような雰囲気だ。

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 『三位一体』(850円)とわずか10円のディナー丼を注文。店主が無添加にこだわったスープは「完成品」なので胡椒などの薬味をテーブルに置いていないのだと言う。
 味の印象はポタージュラーメンといった感じ。ロールキャベツ、トマト、二種類のチャーシュー、煮玉子が配され、チーズがかかっている。麺はそうめんのような柔らかい細麺。野菜そのものの旨味が感じられる上品なラーメンだ。

 新しいラーメン屋のこだわりが強いのは良くあるが、老舗はどうなのか。

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 二日目の昼に行った『永楽 そば店』は飲食店が立ち並ぶ路地にある、いかにも昔からある町中華といった店で、大勢の客で混雑していた。

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 650円のラーメンを注文。中央にどっさりともやしが配され、横にチャーシューと煮卵が乗っている。ここまでは普通だが、特徴的なのはスープ。茶色いスープの中に細かい黒いものが多数浮いており、熊本ラーメンのような見た目なのだ。この黒いものは焦がしネギらしい。
 ほのかに苦く油たっぷりなスープは最初はそれほど美味しいと感じなかったのだが、何口も飲むうちに引き込まれた。毎日でも食べられるような癖になる味だ。

 普通の町では、オーソドックスなラーメン屋が数軒あり、独自色を発揮したこだわりの店が一軒あるかないかというのが普通だが、大井町では行った店全てこだわりの店だった。しかも、行き帰りに前を通ったラーメン屋も、一癖も二癖もありそうなラーメン屋ばかりだったのだ。

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 大井町には2016年までニコン大井製作所があり、今でも「光学通り」という名が残っている。こだわりの技術者達がこだわりのラーメン屋を育んだのかも知れない。あるいは、品川区民は高所得者が多いから、住民の舌が肥えているのかも知れない。大井競馬場行きのバスが出ていることもラーメン屋が多いことと関係しているのかも知れない。

 よそ者の私が驚く程のラーメン激戦区になっている大井町だが、ラーメンと言えば大井町などという話は聞いたことないし、地元の人も異常にこだわった店が集まっているのを、とりたててすごいことだと思っている風もない。
 世界はささやかな謎に満ちている。