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野党は消費増税に争点を絞れ

 荻上チキSession22で立憲民主党枝野幸男代表のインタビューを行っていた。その中で枝野氏は金融政策について問われ、こう答えていた。

今の安倍政権は積極財政ですし、金融も著しい緩和をしている。過去の評価に対して言えば間違った緩和をやりすぎたと思っていますが、いったん緩和してしまったものを、経済状況が好転していないのに引き締めをやるということはありえないと思っています。従って、安定的に消費が伸びていくという状況が作れるまでは、いわゆる出口というのはできないという風に思っています。

 つまり、消費が好転するまでは金融緩和を継続するということだ。
 何でそれを大々的に表明しないんだ!

 経済政策を重視する人の間では、消費が低迷している上に景気後退しかかっている現状で消費増税するのはありえないが、野党が政権を取ったら金融引き締め→円高→製造業大打撃になりかねないためどこも支持できないという意見が多い。消費増税に反対している立憲民主党が金融緩和継続をアピールすれば、そういう層をごっそり取り込めるはずだ。

 にも関わらず、立憲民主党は先ごろ発表したボトムアップ経済ビジョンでも金融緩和を継続するとは書いていない。それどころか「間違った緩和をやりすぎた」という所に力点を置き、「弛緩した金融政策について、市場と丁寧に対話しつつ、正常化を図っていく。」なんて書くものだから、ただちに引き締めかねないと疑念を招いているのだ。

cdp-japan.jp

 

 安倍政権が金融緩和をやりすぎかどうかは私には分からない。FRBの利下げに対して日銀が打つ手なしになっている現状を考えると、あれほどの緩和は景気が悪化した時の奥の手としてとっておくべきだったのかも知れない。また、輸入品が値上がりするので消費に悪影響を与えているのかも知れない。
 ただ少なくとも国民の多くは金融緩和によって経済が好転したと思っている。その状況で金融緩和を批判しても、支持を減らすだけだ。

 参議院選挙で、野党は主に年金問題に力点を置いて与党を攻撃している。だが、野党が政権をとっても老後に2000万円必要なのは変わらず、老後の暮らしが楽になるわけではない。年金問題なんか訴えるから、首相に「野党はひたすら国民の不安をあおるだけ」などと反撃されるのだ。

 野党は「消費増税に賛成か反対か」というシングルイシューで戦うべきだ。これなら、消費増税には反対の人の方が多いのだから、野党に勝機があるはずだ。しかも安倍首相は過去に何度も消費増税を延期しており、「なぜあの時は延期したのに、景気後退しそうな今実施するのか」と問われれば上手く答えられないはず。消費増税こそが与党最大のウィークポイントなのだ。

 実際の野党はあらゆる観点から政府を批判しているため、争点がぼやけてしまっている。これでは与党の思うつぼだ。

 もしこのまま与党が大勝してしまったら、与党の増税派は消費増税しても選挙で勝てるじゃないか、と味をしめ、どんどん増税し始めるかも知れない。そうなったら日本経済はおしまいだ。

 野党はただひたすらに消費増税反対だけを訴えて頂きたい。