東雲製作所

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立憲民主党は労働民主党に改名しろ

枝野党首が立憲民主党の名に拘っている。

cdp-japan.jp

確かに立憲主義は大事だ。安倍首相が法解釈を変えて黒川検事長の定年を延長したり、国会議員の1/3以上が要求しているのに国会を開かなかったりしたのは問題だ。だが、それを第一に訴えるべきかどうかは話が別だ。

マズローの欲求5段階説というものがある。人の欲求には1)生理的欲求、2)安全的欲求、3)社会的欲求、4)承認欲求、5)自己実現欲求の5段階があり、より低次の欲求が叶えられて初めて高次の欲求をするという説だ。
この説には異論もあるが、大枠では納得がいく。砂漠で乾きで死にそうな人に水(生理的欲求)とはてなスター(承認欲求)を差し出したら、誰もが水を選ぶだろう。

立憲主義有権者にとって高次の欲求だ。3)~5)ぐらいまでが満たされて初めて、立憲主義を訴える余裕が出てくる。
多くの有権者は安全・安心な暮らしや家族・友人からの受容といったより低次の欲求が満たされていない。
コロナで職を失った人や、収入が減って困っている人に、立憲主義を訴えて響く訳がない。

アメリカ民主党大統領候補のバイデン氏は政権を獲ったら法人増税をすると訴えている。
アメリカでは経営者サイドの共和党と労働者サイドの民主党で、政権交代する度に税制が変わる。政治とはお金をどう集めどう配分するかなのだから、政権交代によって税制が変わるのは当然のことだ。

日本の民主党は「コンクリートから人へ」と訴えて政権交代を果たした。税金の使い道を公共事業中心から有権者への直接給付中心に見直すと訴えたわけだ。
民主党政権がつまづいたのは管首相が消費増税をすると訴えて参議院選挙に負けたのが原因で、完全に支持を失ったのは野田政権が三党合意で消費増税を決めたからだ。
有権者はお金の流れを変えてくれると思って支持したのに、お金の流れを自公政権と同じにすることを合意したのだ。失望されて当然だ。

枝野氏は先の参議院選挙では消費増税反対を訴えていたため、野田政権時代とは変わったのだと期待していた。だが、増税実施後は消費減税に曖昧な態度を取っている。これでお金の流れを自公政権と変える気はないのだと有権者に見透かされてしまった。

野党第一党が訴えるべきは、経営者優遇の自公政権から労働者優遇にお金の流れを変えるということだ。そのためには立憲民主党などと言っていてはダメだ。立憲主義は重要だが、第一に訴えることではない。
立憲民主党は労働民主党に改名し、労働者のための党であることをはっきりと打ち出すべきだ。