東雲製作所

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葬儀雑感

母が亡くなった。東雲製作所も三週間ほどお休みを頂いた。
再開にあたり、まずは母の葬儀に関して感じたことを書いておきたい。


1.会葬令状は自分で書け
葬式では出席者に喪主から会葬令状が配られる。故人を偲び、出席者に感謝を伝える往復はがき大の挨拶状だ。
会葬令状の文章は葬儀社の専門家が、喪主から数分間電話で故人について聞き取りを行って作成する。
前日打ち合わせの席で、専門家が書いた文章が提示されたのだが、「人と人とのつながりがいかに大切かを教えてもらった」など私が全然言ってないことが書いてあったのでその場で考えて直してもらった。
最低限度の所は直したけれど、推敲に数分しかかけられなかったので細かい部分で不満が残った。

葬儀社の担当者は会葬令状を書くプロなので、全体としてまとまりのある耳あたりの良い文章にする能力は長けている。文章を書くのが苦手な人には良いシステムだ。
だが、担当者は故人について数分間又聞きしただけの他人にすぎない。ブログで日常的に文章を書いているような人なら、文例を元に自分で書いた方が良い文章になるだろう。

文章を書いているとどうしても「人と人とのつながりが大切だ」みたいなベタな結論を書いて話をまとめたくなるが、そうすると往々にして真実から遠ざかってしまう。丹念にディティールを積み重ねていかねばならない。


2.葬儀費用や戒名料が高いのは後悔を埋めるため
葬儀は葬儀会社に依頼したのだが、費用が高くて驚いた。
特に燃やしてしまう棺などが非常に立派なのはもったいない。結婚式が終わったらウェディングドレスを燃やしてしまうようなものだ。
火葬場で遺体だけ取り出して火葬し、棺は再利用した方がエコなのではないか。
戒名料も高かった。実家は浄土宗で念仏を唱えるだけで誰でも極楽浄土に行けるという教えなのだから、立派な戒名などいらないのではないか。

故人が生前に自分でプランを選ぶようにしたら、葬儀費用は格段に下がるだろう。
「孝行をしたい時には親はなし」というが、私も母にもっと色々してあげれば良かったと後悔している。
葬儀費用が高いのは、故人のためにもっとできたんじゃないかという後悔を埋めるためではないか。
恩など何もなく迷惑しかかけられてないような故人なら、古新聞で包んで火葬、戒名は三文字で五万円ぽっきりみたいなプランで十分だろう。そんなプランはないと思うが。


3.時間をかけて受け入れる
葬儀の一連の流れの中では、納棺の儀、葬儀の前のお別れ、花入れと何度も故人と対面して別れを告げるセレモニーがあり、徐々に別れを受け入れることができた。
また、四十九日の間はお骨を家に置いておき、徐々に日常に戻るシステムになっているのも良くできていると感じた。
一方、火葬場で一時間で骨になるのは早すぎる。棺いっぱいの花で飾られた母が、一時間後にはぼろぼろ崩れ落ちた骨になっていたのにはショックを受けた。遺族が時間をかけて受け入れるという点では土葬の方が良いし、火葬するにしても昔のように一晩かけて行った方が生理的に受け入れやすい。

晩年の母は認知症だった。社会人になってからも毎日弁当を作ってくれた母、私の小説の良い所を探して褒めてくれた母、私がはてな仕入れてきた益体もない話を面白がって聞いてくれた母は時間をかけて失われていった。
もし母が一気に失われていたら、耐えきれなかったかもしれない。