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VIX指数35以上、実績PER20以下は絶好の買い場

 今から見れば、年末年始は絶好の株の買い場だった。
 S&P500は12/24からの一ヶ月で12.4%も上昇した。年率なら148.8%だ。
 普段なら、超凄腕の投資家が相当苦労して隠れた有望株を発掘しても、なかなか月に10%のリターンを上げることは難しいが、年末に勇気を持ってS&P500などの適当なインデックス投信を買いさえすれば、誰でも濡れ手に粟で10%以上のリターンが手に入ったのだ。買いのタイミングに比べれば、他のことなど取るに足らないことが分かるだろう。

 私は千載一遇のチャンスにほんのちょっとしか買えなかった。
 最大の原因はさらに下落するのではないかとビビってしまったことだろう。
 12月末のS&P500の実績PERは19.5ぐらいだが、2011年には13.5まで下がっている。そこまで下がる可能性もあると思うと、思い切った買いに踏み切れなかったのだ。
 米国株が他国株に比べて割高で、下落余地が大きいのは確かだ。買い向かう理論的根拠を探しておかないと、もう一度暴落した時にまた買い逃す羽目になる。

 市場のパニック度合いを示す指数にVIX指数がある。VIX指数は恐怖指数とも呼ばれ、S&P500の値動きから複雑な計算式で算出される。

 1990年以降のVIX指数とS&P500の比較図を示す。(見やすいようVIX指数は50倍にしている)

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 VIX指数のピークとS&P500の底が一致しているのが分かる。グラフを見ると、VIX指数が35(上のグラフは50倍しているので1750)を超えた所で買えば、底値を拾うことができそうだ。

 リーマンショック以降、VIX指数が35以上になったのは6回ある。初めて35以上になった日と下落の底を比較した表を示す。

日付 S&P500 VIX指数 底までの日数 底までの下落率
2008/09/17 1156.390015 36.22 119営業日後 41.5%
2010/05/07 1110.880005 40.95 40営業日後 8.0%
2011/08/08 1119.459961 48.00 40営業日後 1.8%
2015/08/24 1893.209961 40.74 1営業日後 1.4%
2018/02/05 2648.939941 37.32 3営業日後 2.6%
2018/12/24 2351.100098 36.07 当日 0.0%

 2011/08/08、2015/08/24、2018/02/05、2018/12/24の4回はほぼ底値を拾えていると言って良い。

 2010/05/07はそこから7.95%下げているのでやや買うのが早過ぎるが、底値をつけてから16営業日後には元値を回復しているから、2010/05/07に買っても悪くはない。(5/7に買ってから、下値を更新する度買い増していければなお良い。)

 唯一全然駄目なのがリーマンショック時の2008/09/17で、VIX指数が35超になってから延々と下落が続き、119営業日後に41.5%も下落してからようやく下げ止まった。その後、元の株価を回復するまで1年以上かかっている。VIX指数30以上は実に170営業日も続き、ピーク時には80.86にまで達した。2008/09/17に買うのは避けるべきだ。

 

 VIX指数35超で買い向かう戦略を採るためには、リーマンショック級の下落を見分けて避ける必要がある。
 リーマンショック級の下落を見分けるには、PERを見れば良い。
 リーマンショック時は下落後もS&P500の実績PERが27前後と高止まりしており、下落してなお割高だった。
 下落後に株価が反発するのは、下落が行き過ぎて割安になっているからであり、下落してなお割高だったら、反発しないのも道理だ。
 それ以降5回のVIX指数急騰時は実績PERが22以下まで下がっている(うち4回は20以下まで下がっている)。つまり、VIX指数が35以上になり、PERも割安であれば、高確率で反発の利益を得ることができると言えるだろう。

 

結論:VIX指数35以上でS&P500の実績PER20以下なら絶好の買い場である可能性が高い。
(日本で米国や先進国の投資信託を買う場合は1日遅れになるからVIX30超になったら買い始め、下落の度に買い増す方が現実的だ。)

 

 もちろん、過去にそうだったからと言って、未来もそうだとは限らない。VIX指数35以上で実績PER20以下からさらに数十%下落することだってありえなくはない。
 しかし、可能性を言うのなら、VIX指数が極めて安定している所からだって暴落は起こりうる。少なくともVIX指数12.12、実績PER24.4の昨年9月末のような時に買うよりはVIX指数35以上、実績PER20以下の時に買った方がずっと安全である。

 

 VIX指数35法の欠点はむしろ買い逃がすことにある。2016年に投資を始め、VIX指数が35以上になるのをじっと待っていたら、2018年2月まで買うことができず、大きな利益を取り逃すことになる。
 株を全く持たずにVIX指数が35以上になるのをひたすら待つよりは、オーソドックスなドルコスト平均法などと併用した方が良いだろう。

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