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先進国債券はいつ買えば良いのか

 先進国株式の買い時ははっきりしている。株が暴落している時だ。株の暴落時はリスク回避の円高になるので、ドル建ての株式は二重に割安になる。
 一方、先進国債券の買い時は複雑だ。リスクが高まると株を売って安全な債券を買う人が増えるため、債券が値上がりする。リスクが下がってくると、債券から株に乗り換える人が増えるので、債券は値下がりする。つまり、リスクが高まっている時は円高だが債券は高く、リスクが下がると債券は安くなるが円安になってしまう。

 一体、いつ買えば良いのか。そこで、昨年一年間の、先進国債券価格(eMAXIS Slim先進国債券の基準価額)とドル円レート、米国10年国債利回りから逆算した米国10年債価格の相関を取ってみた所、下記の結果となった。
 先進国債券価格とドル円レートの相関=0.45
 先進国債券価格と米国10年債価格の相関=0.16
 先進国債券価格は米国10年債価格よりドル円レートとの相関が高いことが分かった。先進国債券は、米国債だけでなく、欧州債など、色々な債券が混ざっているからだろう。

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 先進国債券価格とドル円レート、米国10年債価格の年初を100とした値動きを示す。短期的な形はドル円レートと連動しているが、長期的には米国10年債価格の寄与も大きい。

 結局の所、いつ買えば良いのだろうか。日本円で投資信託ETFを買う場合、円高になった時に買うのが良いだろう。ただし、円高になった時は株の買い時なので、先進国債券を買う金があるなら先進国株式を買った方が良い感は否めない。
 ドルで買う場合は円高になった時にドル転し、混乱が落ち着いて価格が下がってから債券を買うのが良い。しかし、債券価格は単純にリスクと比例するわけではない。リスクが非常に高まると債券も下がるし、FRBの政策にも大きく左右される。債券が下がるのを待っている間にFRBが利下げに踏み切れば、債券価格は値上がりしてしまう。なかなか良い買い場を探るのは難しい。

 債券の主な役割は、資産全体のリスクを軽減することと、株が暴落した時に売り払って株を買うための資金にすることだ。しかし、外国債券は為替によって大きく価格が変動し、どちらの面でも十分な役割を果たせない。
 外国債券は無理に買わなくても良いのではないだろうか。