東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)のよろず評論サイトです。

2016-01-01から1年間の記事一覧

間に立つ主人公――無花果とムーン感想

(本稿は『無花果とムーン』の抽象的ネタバレを含みます。) 『無花果とムーン』(桜庭一樹著、角川書店)は『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の頃の桜庭氏が完成度を高めて帰ってきたような少女小説だ。『私の男』以降桜庭作品から離れてしまったライトノベ…

すっきりせずにもやもやと残るもの――色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年感想

(本稿は『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の内容に触れています。) 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹著、文藝春秋)は刑事物の構造を持っている。本作を一言で言い表すなら、「仲良し五人組から突然ハブられた謎を解明…

変革の手斧より寄り添うスター――ただ、それだけでよかったんです感想

(本稿は『ただ、それだけでよかったんです』の抽象的なネタバレを含みます。) 第22回電撃小説大賞大賞受賞作『ただ、それだけでよかったんです』(松村涼哉著)はネット上に跋扈するディスコミュニケーションを具現化したような小説だ。はてな風に言うなら…

具体的理性的な方法論――昭和史1926-1945感想

(半藤一利著、平凡社)は日本がいかにして道を誤ったかを書いた本だ。半藤氏の語りおろしになっていて面白く読んだが、内容的には胃が痛い。 一番意外だったのは昭和天皇がわりと頑張って戦争を止めようとされていることだ。政治への感心が薄い魚類学者とい…

サクラエディタを使って小説を要約する方法

テキストのパターンマッチを使って小説の要約ができないかやってみた。 正規表現が使えるエディタなら何でも良いのだが、ここではフリーのサクラエディタを使う。 サクラエディタはここからダウンロードできる。 例として青空文庫の「走れメロス」を要約して…

はてなブックマーカーの必殺技を考えた

昨年の増田でブックマーカーに関するラノベの話題が盛り上がっていた。ブクマカーが戦うラノベ作ろうと思うんだけど とかはてなブックマーカー四天王と愉快な増田たち 【xevra先生 篇】とか。自分も何か書いてみたいと考えている内に一か月以上経ってしまっ…

99%アウトサイダー――面白ければなんでもあり感想

「灼眼のシャナ」「とある魔術の禁書目録」「ソードアート・オンライン」。三木一馬氏はブギーポップ以降の電撃の大ヒット作ほとんど全てに関わっている辣腕編集者である。もし三木氏がメディアワークスではなく他社に入社していたら、ライトノベル界の勢力…

はてなブログへ移行しました。

wattoさんがはてなダイアリーの記事をはてなブログへ統合されたという記事を読んで、私もはてなダイアリーからブログへ移行しました。ついでにジオシティーズの方ではなく、こちらを本サイトにすることにしました。今後とも東雲製作所を宜しくお願いします。

2015小説年間ベスト10

東雲長閑が2015年に読んだ小説のベスト10です。例によって2015年発売作品のベスト10ではありません。 感想を書いてないものだけコメントをつけました。 海を失った男 シオドア・スタージョン著、若島正編 晶文社 海を失った男感想(15.12/15) 六花の勇者6 …