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エスカレート・立場の逆転・身体性・斬新さ――キングオブコント2017感想

(本稿はキングオブコント2017のネタバレを含みます。)

 キングオブコント2017かまいたちが優勝した。一方で、最も衝撃を与えたのはにゃんこスターのリズム縄跳びネタだろう。
 全15ネタを見返した所、高得点を得たネタに共通する要素が見えてきた。それが、「エスカレート・立場の逆転・身体性・斬新さ」の4要素だ。

エスカレート
 終盤に行くにつれて段々極端になっていくという要素で、最も多くの作品に見られた。具体的にはかまいたち2本目のウェットスーツの脱がせ方の荒々しさや、1本目の山内のヤバさ、さらば青春の光1本目の一皿を誤配する回数など。

2立場の逆転
 前半と後半で立場が逆転するという要素。ジャングルポケット1本目の、エレベーターで上に行こうとしては邪魔されていたサラリーマンが、後半では逆に残ろうとするネタが典型的。かまいたち1本目のネタにも馬鹿にしていたのが恐怖におののくようになるという逆転要素がある。

3身体性
 足を持って体を床に打ちつけるかまいたちの2本目や何度もロッカーに体を打ちつけるジャングルポケット2本目のようないわゆる体を張ったネタ。ガリガリの体をさらしていたアンガールズ1本目もある意味体を張ったネタと言えるだろう。

4斬新さ
 良くこんなネタを思いついたなという斬新な発想。さらば青春の光アンガールズのネタの発想力には唸らされた。

 上位進出したグループのネタは、四要素の内の一つ、または複数の要素を含んでいる。特に優勝したかまいたちは、練りこまれた脚本の1本目と体を張った2本目という全く違う要素で勝負してきており、引き出しの多さが伺える。
 逆に、得点が伸びなかったGAG少年楽団、パーパーなどは、突出した4要素を持たなかったため、強い印象を残せなかった。

 そこで問題のにゃんこスターだ。にゃんこスターのネタは何と四要素を全て含んでいるのだ。
エスカレート→スーパー3助のツッコミがどんどんエスカレートしていく。
2立場の逆転→サビで縄跳びを使わずに変な動きをすることに批判的だったスーパー3助が、変な動きを渇望するようになる。
3身体性アンゴラ村長が本格的なリズムなわとびを披露する。
4斬新さ→コントの領域を拡張する斬新さ。染之助・染太郎みたいな芸をコントと融合させた。

 にゃんこスターのネタには賛否両論が巻き起こっており、絶賛する人がいる一方で、全然面白くなかったという人も散見される。面白いかどうかは主観の問題だが、少なくとも良く練りこまれた完成度の高いネタではあると思う。

 にゃんこスターのすごさに関しては、hiko1985氏がにゃんこスター「リズム縄跳び」の衝撃という素晴らしい評論を書かれているので、そちらをご覧下さい。

 

hiko1985.hatenablog.com