早わかり世界の文学――パスティーシュ読書術 清水義範 ちくま新書
ガリヴァー旅行記がロビンソン・クルーソーに対する怒りから書かれたといった、世界文学に関する薀蓄が興味深い。
自作の内容紹介に頁が割かれているが、殆どが既読だったので、そこはいらなかった。
なぜケータイ小説は売れるのか 本田透 ソフトバンク新書
ライトノベル読者は創作=小説と現実との区別がついているのに対し、ケータイ小説読者はついていない、という対比から自意識の問題を論じていて、単なるケータイ小説の紹介本ではなく(紹介本としても優れているが)、「幸福とは何か」といった哲学的な本になっている。
また、「コミックやライトノベルがかろうじて制度に取り込まれずに「生きた物語」として現在に至るまで生成・消費され続けてきたのは、これらのジャンルに「賞」という権威=制度がないからなのだ。」という指摘に感銘を受けた。
4−2−3−1 サッカーを戦術から理解する 杉山茂樹 光文社新書
「選手の一対一のぶつかり合い」から「監督による軍人将棋」へとサッカーの見かたが180度変わる画期的な本。
サッカーについて詳しくないからあまり批判的に読めないというのはあるのだが、筆者を日本代表の戦術コーチにすれば万事解決するのでは? と思うのは私だけではないだろう。
空と無我 仏教の言語観 定方晟 講談社現代新書
無分別を説きながら分別があるところなど、疑問に思うところもあるのだが、言葉と論理のみを駆使して人間の奥の奥の奥まで到達してしまったすごみには素直に膝を折りたい。
特に「行くものは行かず」がすごく、ということは小説を読むときに、文章を映像化して読んだ方が仏教的真理に近いということが分かったが、どうしてかを一文で説明することはできないので、そのうち別に書くことだろう。
LNFに参加します。よしなに。
池澤春菜氏が池澤夏樹氏の娘だと知って驚愕した。北上次郎氏と目黒考二氏が同一人物だと知った時ぐらいびっくりした。