ベン・トー サバの味噌煮290円 アサウラ 集英社スーパーダッシュ文庫
熱い弁当バトルとダメな方向に突き抜けたギャグの怒涛の波状攻撃に圧倒された。
高校生が三万円ももらって文句を言うなんて贅沢だ、そもそも真の貧乏人は昼飯で飲み物など買わずに水を飲むだろう、と思って読んでいたが、何気にこれって貧乏人の話かと思いきやグルメな話であり、自分ももっと食に対し貪欲になるべきかもと思った。
犬はどこだ 米澤穂信 創元推理文庫
ラストシーンがハッピーエンドでもバットエンドでもなく、ひたひたとしたえも言われぬ奇妙な残響がある。
結局の所、誰もが自らを弱者だと位置づけていて、ニーチェが怒りそうだと思ったのだが、その一方で超人たらんとするせいでこじれてしまった話だとも言えるなー。
さよならピアノソナタ2 杉井光 電撃文庫
人生というものはここで描かれているような奇跡的瞬間を味わうために存在しているのではないだろうか。
直巳の鈍さは鈍いとかいう次元の問題ではなく、無意識が全力で気づかないようにしているとしか思えないのだが、もしかするとバンドが崩壊しないよう、あえて気づかないふりをしているのかも知れない。
嵐が丘(下) エミリー・ブロンデ作/河島弘美訳 岩波文庫
陰惨な復讐劇だと聞いていたので、「そして誰もいなくなった」みたいに復讐相手を次々と惨殺していくのかと思っていたら、意外と明るいところもあり、かなり面白かった。
主人公のヒースクリフは確かに悪人ではあるのだが、やっているのが単なる田舎の土地の乗っ取りだったり、少女にまで言い負かされたりと、いじましい悪役であり、むしろキャサリンの親子二代にわたる素晴らしいツンデレっぷりが印象深く、とにかくキャラが立っているという点で、ライトノベルと呼んでも良いだろう。
3/24-28は不在になります。