東雲製作所

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アスのキョウの終末、神様イタカ 感想

死図眼のイタカ 杉井光 一迅社文庫
かなり陰惨な話だが、犯人の動機が合理的なので、読後感はそれほど悪くない(合理的なら許されるわけではないが)。
作者はライトノベル界では珍しく、毎回きっちりトリックを仕込んでくるミステリー作家なので、東京創元社辺りから単行本を出せば一気にメジャーになると思うのだが。

アストロノト!3 赤松中学 MF文庫J
ライトノベルに出てくる男子って、ハーレム状態で振り回されているか、鈍感で周囲の好意に気づかないか、好きなのに素直になれないツンデレなことが多いが、本作のノトは、一途にレンビアのことを想っていて、くじけたりしながらも、それでも一直線に進んでいく所がすがすがしい。
キャラクター造形自体はかなり典型的なんだけど、そこに生々しい感情を注入してあることで、引き込まれる。

死神のキョウ 魁 一迅社文庫
コミカルからシリアスまでさまざまな要素が混在していて、ライトノベルのショーケースみたいな作品。
死神が「寿命前に死ぬ人を守る」という設定を外してキョウが独断でやってることにした方が話がすっきりしたように思う。

僕たちの終末 機本伸司 ハルキ文庫
恒星間宇宙船の理論に関する部分がやたら長いが、会話中心なのですらすら読める。
終わり方が非常に良い。

神様のメモ帳杉井光 電撃文庫
ああっ、もうこいつらはどうしてどいつもこいつもこんな奇跡みたいに優しい奴らばっかしなんだ!
実際問題、ラーメンはなまる周辺のようなコミュニティなんて現実には存在しないのだろうが、それでも、この世界のどこかにはあるのかもしれないと思わせるような、作者のさじ加減が絶妙で、生きる希望がわいてくる。