東雲製作所

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恋愛スキル=全人格じゃない

 童貞に対し自信を持てと説いたはてな匿名ダイアリーが話題だ。

anond.hatelabo.jp

 恋愛に対し不慣れな男性に対する的確なアドバイスになっていて感銘を受けた。この筆者を師と仰ぎたい。
 この記事に対するコメントも概ね好意的だったのだが、筆者に対して怒っている人も結構な割合で見受けられた。
 特に下記の一文に対し、怒っている人が多い。

 

それからこれは強く伝えたのだが、こちとらあなたが女性と付き合ったことがないこともコミュ障なことも、顔があまりかっこよくないことも知っている。それをわかってて好きになったんだから、もっと自信を持って欲しい。

 

 批判者の主な主張は筆者が彼氏に対し上から目線で物を言っているのが良くないというものだ。

 だが、恋愛に対して初心者の彼に対し、中級もしくは上級者の彼女がアドバイスをするのだから、上から目線になるのは当然ではないか。

 例えば、あなたが武術の師範から才能を見込まれて、弟子になったとする。その後、師範から
「私はそなたが武術の経験がないことも、腕力がないことも、闘争心がないことも知っている。それをわかってて弟子にしたのだから、もっと自信を持って欲しい。」
と言われたら怒るだろうか。怒るまい。その分野では弟子が師より劣っているのは当然だからだ。

 私は彼女と彼氏の関係が全ての点で師と弟子だと言っているのではない。確かに恋愛に関しては彼女は彼氏より上級者だ。だが、他の分野では33歳童貞の彼氏の方がスキルが上なものもあるはずだ。例えば料理は彼氏の方が得意かも知れない。その場合は彼氏が彼女に料理を教えれば良い。

 

 では何故ことが恋愛だと怒る人が多いのか。それは恋愛スキルを人格と結びつけて捉える風潮があり、恋愛スキルが低いと全人格を否定されたように感じてしまいがちだからだ。
 しかしながら、実際は恋愛スキルも武術のスキルや絵を描くスキルなどと同様に、その人のごく一部に過ぎない。人間誰しも苦手なことはあり、それが恋愛だったというだけだ。

 そして初心者が能力を高めるには、上級者の言うことを素直に聞くのが一番なのだ。もし自分が恋愛スキルが低く、向上させたいと思っているのなら、「自信など持てるか! 」と怒るより、異性と接する時できるだけ堂々とふるまえるよう努力してみる方が建設的ではないだろうか。