東雲製作所

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暴落した中国ハイテク株は割安か

中国株が暴落している。
中国当局は7月にハイテク企業や教育企業などに対する規制を相次いで発表。
香港ハンセン指数は7月に8.3%下落。特にハイテク株の下げが激しく、KWEB(CSIチャイナインターネットETF)は月初から26.1%、2月の最高値からは一時54%も下落した。

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暴落した中国ハイテク株は割安なのだろうか。

著名投資家の高橋ダン氏は7月27日に「「この」銘柄が大暴落、今はバーゲンセールなのか?」という動画を公開。テクニカル指標RSIが28.26と上場来二番目の低さであることから、テンセント株は長期的に割安だと指摘。動画公開の2日後にテンセント株は10%以上急反発した。

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8月2日現在RSIは34.71まで戻っており、テクニカル的に異常な割安ではない。

ファンダメンタル的にはどうなのだろうか。
中国ハイテク大手のテンセント、アリババのファンダメンタル指標をGAFAMと比較した表を示す。

銘柄名 Ticker PER 益利回り PSR 1年リターン ROE EPS成長率 5年間益利回り 10年間益利回り
テンセント 700 21.15 4.73 7.42 -10.05 18.4 23.41 37.62 145.34
アリババ BABA 31.25 3.20 4.76 -22.24 15.1 16.87 22.39 71.19
アップル AAPL 28.64 3.49 7.07 38.2 131.8 30.91 32.14 155.70
マイクロソフト MSFT 36.34 2.75 12.79 40.32 43.2 26.99 23.48 101.00
アマゾン AMZN 58 1.72 3.78 5.15 25.9 39.42 18.67 116.98
アルファベット GOOGL 35.05 2.85 8.24 81.09 24.7 43.33 33.25 234.40
フェイスブック FB 26.39 3.79 9.67 40.46 24.9 19.33 27.83 95.18
GAFAM平均   36.884 2.92 8.31 41.04 50.1 32.00 27.07 140.65


PER~1年リターンはBloombergの7月30日の値、ROEとEPS成長率(過去2年の年次成長率)はSBI証券のレポートによる。

株の割安さを示すPERを見ると、テンセントが最も割安、アリババもやや割安だ。
しかし、株の成長性を示すROEやEPS成長率ではGAFAMに見劣りしているため、必ずしも割安とは言えない。

株の価値は理論上、将来得られる1株当たり利益の総和と等しくなる。
現在のEPS成長率が維持されると仮定して、今後5年間の益利回りの和を求めると、テンセントが最大になった。テンセントが当局の規制に負けず、成長を維持できるなら、GAFAMより割安だと言える。
一方アリババはGAFAM平均を下回っており、過去一年で22%も下落したにも関わらず、ファンダメンタル的には割安ではない。

テンセントのEPS成長率を下げてみた所、7%まで下げた所で、5年間の益利回りの和がGAFAM平均と概ね一致した。
市場は中国当局の規制によってテンセントの成長率が1/3以下に低下することを織り込んでおり、それ以上の成長率を維持できれば割安だと言えそうだ。

ただし、10年間投資する場合、EPS成長率がより強く効いてくるため、テンセントとGAFAMの益利回りの和はほとんど等しくなる。
10年以上の長期投資をするのであれば、現在のテンセントの株価には中国当局の規制による成長率低下リスクが十分織り込まれておらず、必ずしも割安ではない。

結論:5年程度投資するのであれば、テンセントは利益成長率が7%以下に落ち込まない限りGAFAMより割安。ただし、10年以上の長期投資をするのであれば、必ずしも割安ではない。