東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)の投資と評論サイトです。ジオシティーズ(http://www.geocities.jp/shinonomenod/)から移転してきました。

本屋大賞作家のデビュー新人賞まとめ

作家になるのは大変だが、作家になってから生き残るのも大変だ。
作家としてデビューしても、本が売れなければ新刊が出せなくなってしまう。作家としてやっていくにはただの作家ではなく人気作家にならなくてはならない。

人気作家の証の一つが本屋大賞だ。書店員の投票で選ばれる本屋大賞受賞作家ともなれば、押しも押されもせぬ人気作家と言えるだろう。
そこで、本屋大賞受賞作家がデビューした新人賞を調べてみた。本屋大賞受賞作家を多く輩出している新人賞からデビューすれば、生き残れる確率が高くなりそうからだ。

ja.wikipedia.org

本屋大賞は過去17人の作家が受賞している。
過去の受賞作、作家とデビュー新人賞の一覧を示す。

受賞年 受賞作 著者 デビュー新人賞
2004 博士の愛した数式 小川洋子 海燕新人文学賞
2005 夜のピクニック/2017 蜜蜂と遠雷 恩田陸 日本ファンタジーノベル大賞最終候補作
2006 東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜 リリー・フランキー
2007 一瞬の風になれ 佐藤多佳子 月刊MOE童話大賞
2008 ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎 新潮ミステリー倶楽部賞
2009 告白 湊かなえ 小説推理新人賞
2010 天地明察 冲方丁 角川スニーカー大賞金賞
2011 謎解きはディナーのあとで 東川篤哉 Kappa-One登竜門
2012 舟を編む 三浦しをん
2013 海賊とよばれた男 百田尚樹
2014 村上海賊の娘 和田竜
2015 鹿の王 上橋菜穂子
2016 羊と鋼の森 宮下奈都 文學界新人賞佳作
2018 かがみの孤城 辻村深月 メフィスト賞
2019 そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ 坊っちゃん文学賞大賞
2020 流浪の月 凪良ゆう
2021 52ヘルツのクジラたち 町田そのこ R-18文学賞大賞


17人中6人は小説の新人賞を獲らずにデビューしている。残りの11人がデビューした新人賞は見事にバラバラだった。

これでは傾向が分からないので、各年の上位5位までに入った作家に広げて調査を行った所、下記の11の新人賞が複数人の上位選出者を輩出していた。

文学賞 出身作家(候補作→デビューを含む)
文學界新人賞 吉田修一大島真寿美*、宮下奈都、中脇初枝
日本ファンタジーノベル大賞 恩田陸森見登美彦池上永一
ポプラ社小説大賞 小川糸、伊吹有喜、小野寺史宜*
R-18文学賞 町田そのこ、窪美澄
オール讀物新人賞 柚木麻子、小野寺史宜*
メフィスト賞 辻村深月、砥上裕將
鮎川哲也賞 近藤史恵、今村昌弘
江戸川乱歩賞 東野圭吾高野和明
小説現代(長編)新人賞 金城一紀、塩田武士
坊っちゃん文学賞 瀬尾まいこ中脇初枝
すばる文学賞 奥泉光大島真寿美
  *の作家は複数の文学賞出身

最多の4人を輩出しているのが文學界新人賞だ。純文学系の賞なのに、大衆文学中心の本屋大賞にこれだけ選出されているのはすごい。純文学を書いている人は文學界新人賞に応募するのが良さそうだ。
3人を輩出しているのが、日本ファンタジーノベル大賞ポプラ社小説大賞だ。
日本ファンタジーノベル大賞は二回受賞の恩田陸氏をはじめ錚々たる作家を輩出しているが、一時休止していたこともあり、近年デビューの作家は選出されていない。
一方、ポプラ社小説大賞は2019~2021年と3年続けて出身作家をトップ3に送り込んでおり、勢いがある。編集部に本屋大賞狙いのノウハウがあるのかもしれない。
その他、R-18文学賞大賞、オール讀物新人賞メフィスト賞鮎川哲也賞江戸川乱歩賞小説現代(長編)新人賞、すばる文学賞坊っちゃん文学賞が二人ずつ輩出している。

全体的に見ると著名な大衆小説、ミステリー系の賞が強いという印象だが、1人だけ輩出している賞を見るとライトノベルから純文学まで32もありバラエティーに富んでいる。
どんな賞からデビューしても人気作家になるチャンスはあると言えるだろう。

www.hontai.or.jp