東雲製作所

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明るい未来は自分で見つける――ゆるキャン△11巻感想

(本稿はゆるキャン△11巻のネタバレを含みます。)

ゆるキャン△(あfろ著、芳文社)はアニメ化、ドラマ化された大人気キャンプ漫画だ。
11巻はリン、綾乃、なでしこの三人による大井川キャンプが描かれる。


リンと綾乃がバイクで、なでしこが電車で行って、キャンプやいくつかの名所だけ合流するのだが、普通は三人とも電車で行くか、二人でバイクで行くだろう。こういう自由を重んじる個人主義的な所が大好きだ。

ゆるキャン△の登場人物達はみな、自分がやりたいこと、好きなことをしていて、他者からの承認を得るために行動しない。
誰かのことを思って行動することもあるが、それは自分がやりたいからやっているのだ。
リンと恵那はもともと一番仲が良いのだが、二人でキャンプに行くことはない。お互い別の友達とキャンプに行ったりするのだが、焼き餅を焼いたりしない。互いの世界を尊重しているのだ。
11巻でもリンと綾乃がツーリングから戻ってくる間、なでしこは一人で待っている。普通は、疎外感を味わいそうなものだが、なでしこは一人キャンプを満喫している。精神的に自立しているのだ。


ゆるキャン△を読んで感じるのは、楽しさを見つける力の大切さだ。地位や名声を手に入れても、楽しさを感じられなければ人生は楽しくない。楽しささえ見つけられれば、どんな人生でも楽しめる。
ゆるキャン△では観光名所に限らず、作者が取材して面白いと感じたことを描いている。だから話を盛り上げるような劇的なことは起きないのに面白い。
吊り橋のような動的なシーンも楽しいが、静かなシーンも味わい深い。ゆったりとした時間が流れ、読んでいるこちらまで感度が高くなっているので、遠くで電車が登っていくのを見るだけで満足感がある。


本書の白眉はなでしこと綾乃が二人で夜明けを眺めるシーンだ。
しんと澄んだ空気と互いの存在の温かさが伝わってくる描写が美しいのはもちろんだが、明るくなるのを眺めるというのが本作を象徴している。

綾乃が「でもそのうち行く。なでしこの家までバイクで。バイト代貯めて…… 大きなバイク買って…… もっと………色んな所に………」というシーンも心打たれた。こういう感覚を久しく忘れてしまっていたと気付かされた。

やりたいことがあってできることが増えていくと未来は明るい。
明るい未来は自分で見つけなくてはいけないのだ。

 

yurucamp.jp

TVアニメゆるキャン△ SEASON2も素晴らしい完成度で放送中。もうじき最終回なのでぜひ御覧ください。