東雲製作所

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M-1グランプリ2020感想――切れ目ないボケとカレーの後に寿司問題

1.切れ目のないボケ笑い

M-1グランプリ2020はマヂカルラブリーが優勝した。
マヂカルラブリーの2本目「つり革」は苦しいぐらい笑い転げた。

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近年の漫才はツッコミで笑いが起きる。
M-1グランプリの持ち時間は4分しかない。M-1出場者達はツッコミの手数と強さを増やす方向で漫才を進化させてきた。
2018年王者の霜降り明星は「○○やないかい!」の「やないかい!」を削って名詞だけでツッコむことで限界までツッコミ数を増やすことに成功した。
2019年王者のミルクボーイは重ねてツッコんで、ツッコミの強度を上げることで大きな笑いにするというアプローチで成功した。

マヂカルラブリー野田クリスタル氏の体を張ったボケだけで笑いが取れる。村上氏のツッコミで初めて笑うというより、ツッコミで笑いを増幅している感じだ。
ミルクボーイの漫才はボケの駒場氏が「おかんが言うには~」と話している間は笑いが起きないが、マヂカルラブリーの2本目の漫才は笑いの切れ目がなかった。
笑いの総量を増やすという点では限界に達した感がある。
ちなみに2位になったおいでやすこがもボケの笑いをツッコミが増幅させるスタイルであり、決勝ではボケが4分間切れ目なくボケ続けるというネタを披露した。ポストミルクボーイの笑いとして2組が同じ答えを出してきたのは興味深い。


2.カレーの後に寿司を食っても美味くない問題

マヂカルラブリーの優勝を受け、ネットではマヂカルラブリーは漫才か論争が起きている。
私はマヂカルラブリーが一番面白かったので、優勝に満足している。だが、インパクトの強い漫才と渋い漫才を並べて評価するのが良いのかという問題はある。
食べ物で例えるなら、「カレーの後に寿司を食っても美味くない問題」だ。

オズワルドは日常会話のトーンのしゃべくり漫才だが、去年から2回続けて優勝コンビの強い笑いの直後にやらされて気の毒だった。オズワルドに対し、審査員の松本人志氏がもっと普段通りの強さでやれ、オール巨人氏がもっと強くやれとアドバイスしていてどうすりゃええねんという感じになっていたが、順番がマヂカルラブリーの直後になった時点で詰んでいてどうしようもない。

おいでやすこがとマヂカルラブリーを続けて観た時点で、誰もが笑い疲れていた。食べ物で言う所の満腹だ。
持ち時間が10分なら徐々に笑いを高めていくような構成も重要になるが、4分の大会だと強い笑いが有利なのは当然だ。
錦鯉だけは味の濃い漫才だったので健闘していたが、他の3組はおいでやすこがやマヂカルラブリーより薄味の漫才なので、強い味に慣れていた審査員が、繊細な旨味を感じにくくなっていた感がある。

現在はくじで出場順を決めている。これは公平ではあるのだが、番組全体としての構成を放棄しているということでもある。
コース料理を食べに行ったらシェフがくじを引き始め、1番めの料理はステーキです、と言ったら、もっと美味しく食べられる順番で出せよと思うだろう。番組スタッフが話し合って、トータルとして最も笑えるような順番に並べた方が、視聴者の満足度は上がるだろう。

それではコンテストとして公平ではないと言うのなら、準決勝の点が高かったコンビから順に何番目に出るかを選んでいったらどうか。
出場コンビは自分達がどの辺で出れば一番輝くか分かっているので、くじ頼みよりは良い並び順になる可能性が高まるのではないだろうか。

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