東雲製作所

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つじ田 濃厚つけ麺感想 ――つけ麺メタモルフォーゼ

生涯ベスト級のラーメンを食べた。つじ田の濃厚つけ麺だ。


つじ田 日本橋八重洲店は東京駅八重洲口から徒歩5分、地下鉄日本橋駅の近くにある。アメリカにも出店している有名店だが、私は初めて来店した。

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L字型のカウンターのみ十数席。普段は行列ができるそうだが、私が行った7月末はコロナで客が減っていたようで待たずに入店することができた。
麺は数人分を大きなざるでまとめて茹でており時間がかかる。十分ぐらい待ってスープが、すぐ後に麺が出てきた。

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茶色のスープは鶏や豚、中でも魚介系の旨味が効いており、尖った所のない優しい味。太麺との相性も良い。トロトロのチャーシュやメンマもレベルが高い。さすが有名店だけあって美味しいな、と思いながら食べていた。

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つじ田ではカウンターの前に推奨の食べ方が書いてある。最初の1/3はそのまま食べ、次の1/3は麺にスダチの汁をかけてから食べる。残りの1/3はさらに黒七味をかけて食べるというものだ。

1/3を食べ終えた私は、麺の上にスダチの汁を絞った。よく混ぜあわせ、つけ汁に浸し、口に運ぶ。そして驚愕した。
さっきまでとは全然味が違うじゃないか!
先ほどまでは和風の穏やかな味だった。それが柚子の汁が加わることで一気に洋風に変化している。これは……チーズの味だ!
チーズなんか入っていないはずなのに、旨味たっぷりのスープに酸味が加わることでチーズの味になっている。プリンに醤油をかけると雲丹の味になるような感じだろうか。
そして今までは普通に美味かったつけ麺が劇的に美味くなっている。控えめだった女性が着飾って社交界の華に大変身したかのようだ。

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残り1/3で黒七味をかけると、味はさらに刺激を増し、完全に洋食屋のスープへと変貌を遂げた。
さらに、麺を食べ終えた後は、熱々のスープ割りを入れてくれる。四段階で味が変貌する。つけ麺メタモルフォーゼだ。


ラーメンに途中でトッピングを入れて味変することはあるが、これほど劇的に味が変わったのは初めてだ。魔法にかけられたかのようだ。
まだつじ田の濃厚つけ麺を食べたことのない人は幸いである。ぜひ来店し、幸せな魔法を味わって欲しい。

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