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最強の盾、汝の名は童貞――逃げるは恥だが役に立つ第7話感想

(本稿は『逃げるは恥だが役に立つ』第7話のあからさまなネタバレを含みます。文中敬称略。)

 『逃げるは恥だが役に立つ』第7話のラストは衝撃的だった。ガッキー演じるみくりがきっちり外堀と内堀を埋め、万全の体制で総攻撃を仕掛けたにも関わらず、平匡(童貞)が陥落しなかったのだ。まさに難攻不落。大坂城もびっくりだ!
 私は今まで、恋愛ヒエラルキーの最上位はガッキーのような美女であり、最下層に位置するのは童貞なのだと思っていた。だが、童貞はガッキーに勝った。言わば大貧民でスペードの3がジョーカーに勝つようなものだ。
 普通、美女は童貞のことなど相手にしないので、童貞は単なる恋愛弱者だと思われている。だが、美女とマッチメイクしてみた結果、こと防御力に関して言えば最強の存在だということが明らかになったのだ。すごい、すごいぞ童貞!

 逃げ恥の優れている所はかなり荒唐無稽な展開でありながら、そういうこともあるかも知れないと思わせるリアリティを保っている点だ。特に童貞役が星野源という所が絶妙だ。これが例えば福山雅治だったら、視聴者に「福山雅治が童貞な訳ないだろ! 」 と思われてしまうし、もっといかにも不細工な役者だったら、「ガッキーが好きになる訳ないだろ! 」と思われてしまい、リアリティーが崩れてしまう。いかにも童貞っぽい雰囲気を漂わせつつ、清潔感もある星野源だからこそ成立した役であると言えよう。何だ、すごいのは童貞ではなく星野源か。

 一箇所、これはファンタジーだな、と思うのは、平匡が夜でも全然髭が生えていないことだ。あれが清潔感に大きく寄与していることは間違いない。星野源になるのは無理だが、取りあえず髭はもっときっちり剃ることにしよう。

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