東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)のよろず評論サイトです。

鳥籠荘の悪魔の夏の扉の修繕屋感想

鳥籠荘の今日も眠たい住人たち3 壁井ユカコ 電撃文庫
相互に関連した短編集でありながらどういう順番で読んでも良いという超絶技巧を見せている。
キズナ視点の時はキズナ本人はわたわたしている一方で、有生はかわいくも格好よく描かれているのに対し、有生視点の時は逆に有生がわたわたしていて、キズナがかわいくも格好よく描かれている所が上手い。

イチゴ色禁区 1夏の鳥居のむこうがわ 神崎リン 角川スニーカー文庫
主人公の饒舌体とか反ストーリー的な所とかがいかにもハルヒ以降の作品という感じ。
それにしても主人公の呼吸をするように繰り出されるセクハラ発言はすごいな。

扉の外III 土橋真二郎 電撃文庫
書きたいことは詳しい感想に書いたので、どうでもよいことを書くと、沖田宗司とか里見幸太郎とかいう名前は覚えやすくするためなんだろうか。
ポッキー・イチゴ味の値段がカロリーメイト・チーズ味の2.5倍もするのは何故だろうかってほんとどうでもよい感想だな。

悪魔のミカタ666 3スコルピオン・デスロック<上> うえお久光 電撃文庫
前半のケレン味の塊のような展開からこういう風に次巻に続くとはまるで想像できなかった。
菜々那に対する「たとえどのような状況でも、この少女なら引っ繰り返せるのではないかと期待させる」という評はわりとそのままうえおさんの作風にも重なる。

DOORS Iまぜこぜ修繕屋 神坂一 角川スニーカー文庫
こういうファンタジーのようなSFのような不思議世界もの(『食卓にビールを』とか『人類は滅亡しました』とか)の生命線はどれだけ変てこなアイデアを生み出せるかにかかっているが、さすがは神坂さんで、あらゆる妹がリスになっているなんて発想は生物学的常識に縛られた常人には出てこない変てこさだ。
特に、第三章の「行き過ぎた妹文明が人類に反旗を翻したりする話」は爆笑もので、世界三大妹馬鹿小説に認定したい(あとの一つは『ロボット妹』もう一つは未定。誰か考えて下さい。)