2006-08-10 ひかりをすくう感想 ひかりをすくう 橋本紡 光文社 本作で橋本さんは主人公がストレスのかかる生活を回避しなくてはならないという設定を導入することで、劇的なものをできるかぎり排除しようとしているが、劇的なものなしで面白い小説が成立しうるかという挑戦は、劇的なもののない日常が面白いものになりうるかという戦いと同義だ。 それはそうと、本作は自伝的作品とのことで、主人公のわたし(女性)と同居人の男性のどちらかが橋本さんになるわけだが、性別か視点かを自分とは遠ざけているところが興味深い。