東雲製作所

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市場は日経平均225社が来期以降の全利益を足しても赤字だと想定している

 株価は1株当たりの会社の価値だ。会社の価値には現時点での価値である資産価値と、将来生み出す利益を表す事業価値とがある。

理論株価=(資産価値+事業価値)÷株式数=(純資産+当期利益+来期利益+2期後利益+3期後利益+4期後利益+…)÷株式数

1株当たり資産をBPS、1株当たり利益をEPSと呼ぶ。BPSとEPSを使うと、上記の式は下記のように表せる。

理論株価BPS+当期予想EPS+来期予想EPS+2期後予想EPS+3期後予想EPS+4期後予想EPS+…

 もし会社が今後100年存続するなら、100期後利益まで足した額が理論株価となる。

(普通は割引率という概念を導入し、将来の利益は割り引いて考えるのだが、日経平均の割安さを判定するには割引率を考えるまでもなかったので、割愛する。)

 日経平均理論株価に12月21日のBPSやEPSを代入すると下記のようになる。
日経平均理論株価=19390.57+1831.62+1792.55+2期後予想EPS+3期後予想EPS+4期後予想EPS+…

 12月21日時点での日経平均株価は20166.19円。一方、式の一項目と二項目のBPSと当期予想EPSを足すと21222.19となる。

 現在の日経平均時価総額は総資産と当期利益の合計より低い。
 市場は日経平均225社が来期以降トータルとして赤字しか生み出せないと想定している。
 会社は来期利益を1792.55円と予想しているのに、市場は来期以降全ての利益を足しても1056円の赤字だと予想しているのだ。
 いくら何でもそんなわけあるかい!

 日経平均リーマンショック後の2010年頃に1年程赤字になったが、その後は黒字を出し続けている。いくら日本経済の先行きが暗いとはいえ、海外市場で稼いでいる企業も多い。来季以降の全利益を足して赤字ということは考えにくい。
 マネックス証券の広木氏が「こんな相場は間違っている」と書かれていたが、全く同感だ。

 問題は、日本株が米国株と連動して動いており、米国株が下がると価値とは無関係に日本株も下がってしまうことだ。従って、ありえない安さであるにも関わらず、日本株を買っても、米国株が下がる限り下がり続け、損をしかねない。

 だが、長期的に見れば、株価は企業価値を反映する。いずれ株価は純資産に数期分の利益を足した水準まで戻るはずだ。それがいつになるかは誰にも分からないのだが。