GAFAやFANG、FAANGなどと呼ばれる米国の新興企業が話題だ。
GAFAはグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字であり、FANGはGAFAからアップルを外してネットフリックスを入れたもの、FAANGは5企業全部を指す。
過去最高を更新している米国の株価を牽引しているのがFAANGだ。アップル、アマゾンは最近相次いで時価総額1兆ドルを突破した。
『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』という本がベストセラーになり、アップルがアイルランド政府から巨額の追徴課税を課されたり、トランプ大統領がグーグルやフェイスブックが偏向しているとして調査を命じたりしている。
圧倒的リターンを叩きだしているFAANGだが、「でも、お高いんでしょう? 」と思って買うのを敬遠してきた。だが、9月に入って高すぎる株価に調整が入ってやや下落したので、ファンダメンタルを調べてみた。
データは9月23日にモーニングスター米国株式情報から取得した。EPS成長率は最新と4年前のEPSから、1年当たりの成長率を算出した。
銘柄名 | ティッカー | PER | PBR | EPS成長率 | ROE | 営業利益率 | |
アップル | AAPL | 19.7 | 9.1 | 12.84 | 36.87 | 26.76 | 優良株 |
アマゾン | AMZN | 151.7 | 26.7 | 79.68 | 12.91 | 2.31 | 急成長株 |
フェイスブック | FB | 25.2 | 5.9 | 73.12 | 23.84 | 24.48 | 優良株 |
アルファベットクラスC | GOOG | 50.4 | 5 | -1.45 | 8.69 | 26.05 | 将来性株 |
ネットフリックス | NFLX | 164.2 | 35 | 54.29 | 17.85 | 7.17 | 急成長株 |
アップルは高いROEの割にPERが低く割安である。ROEを重んじるバフェット氏がガンガン買っているのも納得である。
フェイスブックは高い成長性の割にはPERが低く、お買い得である。
アマゾンとネットフリックスはEPS成長率はすさまじいがPERも非常に高い。PERが20になったら株価が1/8くらいになるわけで、ハイリスク・ハイリターンすぎる。
アルファベット(グーグル)は成長性が低い割にPERが高く現時点では良い所がない。将来性が買われているのであろう。
これらの株を買うには米国株取引をするしかないが、大和投資信託から『iFreeNEXT FANG+インデックス』という投資信託が販売されている。
これはFAANGに、アリババ、バイドゥ、エヌビディア、テスラ、ツイッターの5銘柄を加えた10銘柄を10%ずつセット販売したもので信託報酬は0.7614%だ。10銘柄の多くが有望なら、この投資信託を買う方が日本円で買えるので楽だ。そこで、追加の5社についても調べてみた。
銘柄名 | ティッカー | PER | PBR | EPS成長率 | ROE | 営業利益率 | |
アリババ | BABA | 51 | 7.4 | 25.12 | 19.85 | 28.12 | 急成長株 |
バイドゥ | BIDU | 21.4 | 3.7 | 15.03 | 17.63 | 18.5 | 優良株 |
エヌビディア | NYDA | 38.5 | 18.2 | 17.61 | 46.05 | 33.05 | 優良株 |
テスラ | TSLA | - | 13.1 | - | -43.63 | -13.88 | 将来性株 |
ツイッター | TWITR | 91.9 | 3.9 | - | -2.24 | 1.59 | 将来性株 |
ハイテク新興企業10銘柄は下記の3グループに分けられる。
1)ROEや営業利益率が高くて収益性が高いが、EPS成長率がさほど高くないのでPERが割安になっている優良株 →アップル、フェイスブック、エヌビディア、バイドゥ
2)営業利益率は低いが爆発的な成長性を誇り、PERが非常に高い急成長株 →アマゾン、ネットフリックス、アリババ
3)今のところ十分な利益が出ていないが、将来性に期待して買われている将来性株→アルファベット、テスラ、ツイッター
将来性株という言葉はないが、適当なカテゴリーがなかったので私が命名した。
順調に成長する新興企業は「将来性株→急成長株→優良株」という順にクラスチェンジしていく。
フェイスブックはEPS成長率が極めて高い急成長株だったが、直近の四半期決算の伸びが少なかった(四半期成長率が3%)ので優良株へカテゴリーが代わり、株価が急落した。
私は優良株が好きなので、買うとしたらアップルかフェイスブックだろう。
投資信託は通常、個人では買えない幅広い銘柄をセットにすることで、下落リスクを軽減するための商品だ。だが、『iFreeNEXT FANG+インデックス』は近い値動きをする銘柄をパッケージングしており、あまりリスク軽減になっていない。『iFreeNEXT FANG+インデックス』を買うより、最もPERが低いアップル株だけ買った方がおそらくリスクは低い。
また、10銘柄しかないというのもマイナスだ。10銘柄くらいなら自分で買い集めた方が信託報酬がかからないし、自分好みではない銘柄を除外できる。
アマゾン、アップル、アルファベット、フェイスブック、テスラ、ツイッターの6銘柄はワンタップバイで1000円から手数料0.5%で買える。NEXT FANG+の信託報酬は0.7614%なので、1年4ヶ月以上保有するなら、個別に買った方が手数料は安くなる。
逆に言うと、ハイリスク・ハイリターンを好んでいたり、短期に売買を行う投資家にとってはメリットのある商品だ。急成長株が好きだが一社だけ買うのは怖すぎるという人や、手軽にちょっとだけリスキーな商品も持っておきたいという人、相場観に自信があり短期で売り抜けようと目論んでいる人にとっては良い投資信託ではないだろうか。
- 作者: スコット・ギャロウェイ
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
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