東雲製作所

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夜は寝よう――9月18日国会前デモ感想

 9月18日夜。安保法案成立直前の国会前に行ってきた。私が着いた時は夜十時。車道と歩道の間にずらりと装甲車が並んで車道を封鎖しているのに驚く。
 国会に近づくと、歩道にぎっしり人が詰まっており中々前に進めない。小雨が降る中、国会前に置かれた光源に向かってじりじりと前進する。8月30日に来た時は団塊の世代が中心だったが、今回は時間が遅いためか2〜30代くらいの人が多い。スマホで写真や動画を撮っている人が目立ち、ほとんどが会社帰りにふらっとやって来た人達のように見えた。

 SEALDsの学生たちが歩道脇の腰くらいの高さの石垣の上に陣取って、スピーカーでシュプレヒコールの温度を取っている。「戦争反対」「憲法守れ」そして今回は「野党は頑張れ」コールが目立っている。
 辻元清美議員が現れマイクを握る。皆さんの野党は頑張れの声を聞いてますます頑張らなあかんと思った。与党は発言を十五分以内に制限する動議を可決した。言論の府でそんなことが許されるのか、といった演説をし、やんやの喝采を浴びる。私もアドレナリンが出てがんがんコールを送る。ここに来るまでは野党は委員会室占拠のような世論の支持を失うような抵抗をするべきではないと思っていたのだが、コールを送っている内に、徹底抗戦あるのみ、といった気分になってくる。
 まったりしていた8月30日のデモに比べ、今夜のデモは明らかに熱量が高い。法案採決が近づいている、若者が多いということに加え、夜の雰囲気が参加者の気分を高揚させているように見えた。
 「安倍は辞めろ」コールが起こり辺りはますますヒートアップ。私は家路に着いた。

 電車の中で考えた。法案の可否は極めて難しい判断だ。特に安保法案のような、込み入った内容の法案を十本もまとめた法案ではなおさらだ。そんな法案を夜に、しかも連日の長時間審議で疲れきった状態で採決して、果たして正しい判断を下せるのだろうか。夜に書いたラブレターを出してはだめだと言うではないか。
 実際は、ほとんどの議員が単に党の方針に従って投票するので、かなり頭がぼんやりしていても投票することに支障はない。だが、そもそも国会議員という優秀な人々が、党に言われた通りの投票をするという小学生でもできるような仕事をしているというのは人材の無駄遣いではないのか、といったことをつらつら考えたが、連日の残業でぐったりしており、あまり良い考えは浮かばなかった。
 やはり夜は寝るべきだ。