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東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)の書評サイトです。ジオシティーズ(http://www.geocities.jp/shinonomenod/)から移転してきました。

とある奇妙なヒミツを待っている感想

パズルでめぐる奇妙な数学ワールド イアン・スチュアート著/伊藤文英訳 早川書房
結構高度な数学についても扱っているのに、バラエティー豊かな話題と、軽妙な語りでぐいぐい読ませる。
特に面白かったのは「バターを塗ったトーストがテーブルから落ちると必ずバターを塗った面が床につく」というマーフィーの法則を、テーブルの高さやトーストのテーブルからの臨界はみ出し率等の関数を用いて物理学的に裏付ける章で、マーフィーの法則なんかに科学的根拠があるかも知れないと思うこと自体、よっぽど柔軟な頭の持ち主じゃないと思いつかないよなあ。

とある魔術の禁書目録16 鎌池和馬 電撃文庫
ずっと前から引っ張ってきた葛藤が畳み掛けるような文章で一気に解消され、燃えている所にバーンとイラストが入ったので、心を鷲づかみにされたっ!
漫画やアニメの中であのカットが入るより、文字だけのページが続いていていきなりイラストが入るライトノベルこそが、最も効果的にあのイラストを見せられるメディアではあるまいか。

シフトI―世界はクリアを待っている― うえお久光 電撃文庫
うえお氏は一貫して悪について書く作家なのだなあ。
「悪が見た目によって規定されることへの意義申し立て」というテーマは、ライトノベルではイラストの無い小説より書くのが難しいだろうことは、シェヘラザのイラストがちみっとしか無いことが物語っている。

桜田家のヒミツ―お父さんは下っぱ戦闘員 柏葉空十郎 電撃文庫
図書館戦争ばりにディティールがしっかりしている所とか、良い所は色々あるのだが、私的には、扶美枝おばさんのかわいらさが一押しだ。
私も投稿を始めてからかれこれ七年くらいで、最初の投稿で一次選考を通過して以来、一次選考で落ち続けている点も作者と同じなのだが、投稿回数の点で全然及ばないので、私などまだまだこれからだと気合が入った。


ライトノベル読みにキーワードで勧める「新井素子」初めの1冊
新井素子作品には十年ぐらい前にはまっていたので、何もかもがなつかしい。
あの頃は「ヤンデレ」なんて言葉はなかったので、この記事を読んで、なるほど、言われてみればヤンデレだな、と思った。
しかし、「うわっ、何だこのもやもやとした狂気はっ!」と捉えどころのない思いで読んでいた方が、
「素晴らしいヤンデレだ。」とすっきりとした思いで読むより、より大きく心動かされるように思う。
そういう意味で、「ヤンデレ」という概念を知る前に「ひとめあなたに…」を読めた私は幸せ者だ。