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東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)の書評サイトです。ジオシティーズ(http://www.geocities.jp/shinonomenod/)から移転してきました。

藤堂MAMAのための氷剣ノスタルジア 感想

千の剣の舞う空に 岡本タクヤ ファミ通文庫
スラムオンラインが提起した問題を継承し、弁証法的解を導いた快作。
そういう意味ではタイトルは『ボーイミーツガール・オン・ライン』のままの方がテーマがはっきりして良かったのではないだろうか。

氷菓 米澤穂信 角川文庫
日常の謎ミステリーなのに、氷菓の名の由来に関するミステリーは凡百の惨たらしい殺人を扱ったミステリーよりもよほど痛切だ。
隠していたものは○○じゃなくてエロ本なんじゃないかと思ったが、そうすると下品な話になるから○○の方が良いのだろう。

under 異界ノスタルジア 瀬那和章 電撃文庫
伏線の張り方やキャラクター造形等々にそつがなく、まるでベテラン作家が書いたかのようだ。
一方、あとがきは新人らしくかつ素晴らしい。

君のための物語 水鏡希人 電撃文庫
語り手が自分と似ているので、滅茶苦茶のめりこんでしまい、第一章の結末では電車の中で涙を堪えるのに必死だった。
読後、美味しいお茶を飲んだ後のような温かい気分になる物語だ。

MAMA 紅玉いづき 電撃文庫
ファンタジー版私の男とでも言うべき作品。
巫女が書いたような神がかりな文章とベタ甘ライトノベルが同居している振れ幅の大きさが作者の持ち味だろう。

藤堂家はカミガカリ 高遠豹介 電撃文庫
私が小説において最も嫌いなことはコミカルに人を殺す描写なので、開始早々に変なスイッチが入ってしまい素直に読めなかった。
客観的に見れば次々繰り出されるギャグは切れてるし、ギャグとぶつけて悲しみを浮き立たせる手法もばっちり決まっており、つまらぬ先入観に引きずられてしまったのはもったいないので、今後は柔軟な心で小説を楽しめるよう精進したいと思います。