東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)のよろず評論サイトです。

銀河階段王ポイ感想

文学フリマに行く予定です。

銀河英雄伝説1黎明篇 田中芳樹 徳間文庫
今読むと、『創星記』の様にあからさまに影響を受けているもの以外にも、例えば『コードギアス』のルルーシュとスザクはラインハルトとキルヒアイスなんじゃないか、という風にあらゆるエンターテイメントに影が見て取れるところにも本作の偉大さが感じられる。
戦争において、個人の能力がどの程度戦局に影響するかが、小説全体のカラーを決めているということに気がついた。

学校の階段櫂末高彰 ファミ通文庫
 ライトノベルには話し合いが足りないということを書いたとたん『ウィザーズブレイン』で見事な討論シーンが登場したと思ったら、学校の階段7は一冊丸ごと生徒会選挙の息詰まる論戦がメインで、同年代共通の問題意識なのかもしれないと思った。
本巻で、缶バッチが大物だということが腑に落ちたのだけれど、彼のようなタイプ――あえて言えば近藤勇のようなタイプ――で大物なキャラクターというのは珍しいのではないだろうか。

ポイポイポイ 桑島由一 集英社スーパーダッシュ文庫
くだけまくった口調でとりとめなく転がっていく掛け合いが、すこぶるリアルかつおかしい。
ライトノベルでは切ってしまいがちな、めんどくさい家族の問題を踏みとどまって書いた所が誠実だと思った。

時砂の王 小川一水 ハヤカワ文庫
小川さんの描くヒロインは単なる萌えキャラではなく、ぎゅっと抱きしめたくなるような愛しさを感じる。
何かをするときに、それが未来につながっているかに無頓着だったことに気づかされた。