東雲製作所

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ふつうの戦う神曲薔薇少女 感想

神曲奏界ポリフォニカ ぱれっと 浅井ラボあざの耕平神野オキナ三田誠 GA文庫
されど罪人は竜と踊る』よりさらにどんづまりな浅井さんの短編など、作者の持ち味が出てバラエティー豊かな短編集。
中でもあざのさんの『ダン・サリエルと白銀の虎』は、ばりばりキャラの立った四人がこの短編のためだけに登場し、しかもいくらでも続編を書けそうな所で終わっているという贅沢なもので、私がGA文庫の担当者だったら、これをポリフォニカの第五シリーズにして下さいと頼み込むであろう。

ふつうの学校 ―稲妻先生颯爽登場!!の巻― 蘇部健一 講談社青い鳥文庫
しばらく前にまいじゃーで話題になっていた小説で、確かに稲妻先生はいかにもだめな大人なのだが、生徒に多様な価値観を教えるという意味ではわりと良い先生ではあるまいか。
そう考えると「ふつうの学校」というタイトルはわりと深遠なのかもしれないが、それにしたってまるで売る気が感じられないなあ。

戦う司書と虚言者の宴 山形石雄 スーパーダッシュ文庫
前回は、武装司書を一度解散して、戦闘図書係といった適当な名前で再結成すれば良いのではないかと思い、今回も、神溺教団という名前を変えれば良いのではと思ったのだが、きっと変えられない理由があるのだろう。
作者は読者を驚かすのが巧みで、前半にかなりの驚愕箇所があるのだが、あらすじを読んでから読むと驚愕度が減ってしまうので、これから読む人はいきなり本文を読み始めた方が良いと思う。

文学少女”と慟哭の巡礼者 野村美月 ファミ通文庫
今回登場したラスボスがあまりにろくでなしなので、そんな奴はもう放っておけよ! と思いながら読み進めていたのだが、最後まで読むと、文学の偉大な力と対峙する者として、敵にも相応のやさぐれさが必要であったのだと得心した。
心葉が見えていないものを描いているのが印象的で、自分にも、周りからは見えているのに自分だけ見えていないものがあるんだろうなあ。

薔薇色にチェリースカ 海原零 スーパーダッシュ文庫
作者の文体は、モノローグで実際に人が考える時のように大胆に主語を省略するなど、特徴的で、物語に入り込むまでは読みにくいが、クライマックスになると俄然すごい没入感を発揮する。
銀盤カレイドスコープ最終巻のあとがきで次は当てに行くみたいなことをおっしゃっていたので、こてこての王道展開で来るのかと思っていたら、主人公が絶対権力者の犬でヒロインが蛇って無茶苦茶変わった設定ではないですか。