東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)のよろず評論サイトです。

金賞の感想

怒涛の新人賞ラッシュ終了。読んだ中では「扉の中」が一番面白かった。
全体の傾向として、敵が希薄化していると感じた。これについては時間があればいつの日かいずれまたそのうちに書く予定。


扉の外 土橋真二郎 電撃文庫
無限のリヴァイアス』+『バトルロワイヤル』+『砂の女』みたいなとんがった設定で引き込まれ、先の読めない展開に引っ張られて一気に読んだ。
評価が両極端らしく、確かに主人公の考え方は青臭いが、その青臭さを失った自分は単に感性が鈍くなっただけではないかと省みた。

世界平和は一家団欒のあとに 橋本和也 電撃文庫
主人公一家の境遇はかなり特殊だが、自由度が高すぎてかえって不自由(東理論の受け売り)なところや、世界規模の出来事が日常と並存しているところなど、現代人共通の問題をデフォルメした設定とも言える。
全体がタイトル通りのテーマで貫かれているので明快だ。