東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)のよろず評論サイトです。

108年目のぼくと微笑んで感想

ぼくと魔女式アポカリプス2 水瀬葉月 電撃文庫
主人公が偽悪的な善人であるのと同様に、作品自体も一見人死にまくりの暗黒スプラッタ小説でありながら、芯のところではかなり温かいものが流れている。
ちりばめられた戯言も面白く、特に「星屑ほど素晴らしいクズはいない」がツボにきた。

108年目の初恋。 末永外徒 ファミ通文庫
にぎやかさとせつなさを衝突させたクライマックスが見事に決まっている。
校舎の一人称にすることで、一人称なのに校舎内で一人で行動している人を外から描くという離れ業を実現している。

イヴは夜明けに微笑んで 細音啓 富士見ファンタジア文庫
かのイマヌエル・カントは『エミール』を読みふけっていつもの散歩を忘れたが東雲長閑は『イヴは夜明けに微笑んで』を読んでいて出勤途中の電車を乗り過ごした。
ストーリーや設定の骨格はわりとよくあるファンタジーなのだけれど、作品の凛とした気品が凡百と本作とを分けている。


2chライトノベル板大賞 2006下半期2006年下半期ライトノベルサイト杯は特に誘導しなくても(一位以外は)違う結果になりましたね。
投票者が違うのかしらん。