東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)の書評サイトです。ジオシティーズ(http://www.geocities.jp/shinonomenod/)から移転してきました。

謹賀新年

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。
東雲製作所の一月一日の更新はお休みです。


反社会学講座 パオロ・マッツァリーノ イースト・プレス
世間に流布している常識がしばしば特定の意図によって捻じ曲げられたものであるということを示すという核心部分は真面目だが、語り口は『空想科学読本』を思わせるふざけたもので、何度も笑い転げた。
「江戸の町人の三〜四割はフリーターだった」「ヨーロッパの国立大学の授業料はタダ同然なので、大学生が自立しているとはいえない」といったデータを元に、もっと勤勉たれ、自立しろという風潮をばっさりやっているのは痛快だが、最後に「もっと他人に甘えるべきだ」と言われて、自分のことも批判されていたのに気がついた。

ぐっとくる題名 ブルボン小林 中公新書ラクレ
扱っているのは題名だけだが、創作全般にためになる内容で、特に「二物衝突」の項で、「部屋とYシャツと私」という題がどの組み合わせでも二対一の緊張感を持つと解説する下りにはしびれた。
取り上げている題名自体も、「淋しいのはお前だけじゃな」や「幸せではないが、もういい」など、聞いただけで笑ってしまうものがいくつもあった。


クロバット前夜 福永信 リトル・モア
一ページ中一行だけを横向きに読んでいくという版組みも奇妙だが、内容も、登場人物が、一応文字の上では理屈が通っているが、実際にはありえないような行動をとる不可解なもので、永野のりこさんの漫画を思わせる。
どこからか登場人物たちを覗き見ているような、誰でもないのだけれど明確に助平な意思を感じる視点も独特。

スカイ・マスターズ〈下〉 デイル ブラウン、伏見威蕃訳 早川書房
やたら兵器のディテールと人の生き死にが同じように淡々とつづられているが、現代の航空戦の実感はそんなものかもしれない。
やや中国軍人への偏見を感じるが、正義が一方的に勝つのではなく米国側の戦闘機もぼかすか落とされるのはえらい。