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東雲製作所

東雲長閑(しののめのどか)の書評サイトです。ジオシティーズ(http://www.geocities.jp/shinonomenod/)から移転してきました。

ROOM NOとかの感想

ROOM NO.1301 #4 お姉さまはヒステリック! 新井輝 富士見ミステリー文庫
本シリーズは描写がほとんどなくて、ほぼ会話とモノローグから成っているのだが、それが視点人物たる健一を象徴している。
健一が落ち込んでいるときにシーナと出会ってハーモニカを得たのはもちろん作者がそうしたからなのだが、
それだけではなく、本当に欲していると欲しているものに出会いやすくなるのではないか、といったことを考えさせられた。

ROOM NO.1301 #5 妹さんはヒロイック? 新井輝 富士見ミステリー文庫
シーナが途中で語尾に”本当”とつけなくなるが、これは、シーナがマンガ・アニメ的リアリズムのキャラクターから、自然主義的リアリズムのキャラへと移行したと解釈できる。
それにしてもシーナはもてまくりの健一を糾弾しつつうらやましがっていて親近感がわくなあ。

夢を与える 綿矢りさ 文藝2006年冬季号
すごい力に引きずられて、むさぼるように読んだ。
最初は、本作の「欲望のみに動かされる手」によって引きずり込まれたのだと思っていたが、自らの「欲望のみに動かされる手」が求めていたのだと気づいて自戒した。

走って帰ろう 加藤聡 ファミ通文庫
出来るだけ出さないようにしているのにそれでもぽこぽこと零れ落ちてしまう悲しみの描き方が絶妙だ。
これもある意味『学校の階段』と同じテーマと言えるのだが、走るという行為そのものが、このテーマを内在しているのだろう。