東雲製作所

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アラビアの夜の種族

読んだ本の一文感想を本サイトからこちらに移転しました。
でもって、二文感想に変更。

アラビアの夜の種族I   古川日出男   角川文庫   
後宮小説』と『ブンとフン』を足して二で割ってジョジョ風味に味付けたような破天荒小説。馬鹿みたいに人が死ぬのだが、語り手を通して語られる物語であるが故にあまり陰惨な印象は受けず、むしろ滑稽味が生じている。

アラビアの夜の種族II   古川日出男   角川文庫   
三人の主人公が出揃っていざ決戦となるのだが、善悪を背負ったキャラクターが対決する所や、キャラ達の目的が揺らがない所など、I巻にも増してジャンプっぽいというかジョジョっぽい。こういうのがSF大賞はともかく推理作家協会賞を獲ったというのは、文壇も随分漫画アニメ的なものに寛容になってきたのだな、と思ったが、アラビアンナイトのような口承文学がそもそも漫画アニメ的なのかも知れない。

アラビアの夜の種族III   古川日出男   角川文庫   
作者が本書を翻訳であるという設定にした理由について考えていて、本書はフィクション(作者の物語)内のフィクション(アイユーブの物語)内のフィクション(三人の物語)という三重構造をとるように見せて実は全てがノンフィクションという二重構造となっている。つまるところ、物語と読者は別の階層にいるのに対し、作者と読者は同じ階層に生きているが、物語は決して人間の下の階層にじっとしているようなものではなくて、蛇のようにのたうちながら、作者達や読者達の間を未来へとすり抜けていくようなものだという印象を受けた。

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ARIA The NATURAL感想
第19話A「その 泣き虫さんったら・・・」
第19話B「その 乙女心ってば・・・」
Aパートは言葉ではうまく言い表せない感情を確かに捉えていて、毛がぞわぞわっとなった。すごい。
Bパートはそれにくらべると、藍華の感情は「恋」と言葉で言い表せるので、あんましすごくないが、
地底の景色はなかなかだった。
未来の異星だからって、こんな素敵なガシェットを何でもかんでも詰め込んでしまって良いのでしょうか。